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プロローグ

今から十数年前、腐り切った王政に対し反乱が起こった国があった。最終的に、反乱の首謀者であった辺境伯側に王立騎士団らも付き、伯爵側が勝利を収める形でその戦いは幕を閉じた。

国中が歓喜に沸いた一連の出来事の中で、王家の命に従っていただけの善良な夫婦の命が散らされた事を知る人間はほとんどいないだろう。夫婦が残した小さな少女の存在も。


憧れだった騎士団に入り、正騎士になって間もなかったとある青年は、上官と共にその場に居た。昼間は暖かな食事と客の笑顔で溢れているであろう定食屋に似つかわしくない光景が、眼下で繰り広げられようとしていた。

騎士団の詰所や王城からそう遠くない場所で、定食屋を営みながら情報収集と情報操作を行っていたと言う彼らだが、青年の目には一般市民と何ら変わりなく映った。

夫婦は必死で幼い娘を守ろうとするが、青年の上官は容赦なく剣を振り上げ、夫婦の命は絶たれた。


幼い少女の目の前で。


両親の血を顔面に浴び、泣き叫ぶかと思われた少女は、言葉を失い、その体はふらりと傾いた。青年は慌てて少女を受け止めた。

当時新人だった青年には、どうする事も出来ない事だった。

人を守るために騎士になったはずなのに、そう嘆いた日はもう遠い。今は割り切ることも、切り捨てることも出来るようになった。

だが、あの日の事を忘れたことはなかった。自分たちが今平和に暮らしている一方で、犠牲になった人々がいることを。青年であった男は覚えていた。

はじめまして、熊猫ヒロです。お読みいただきありがとうございます!続きもよろしければ宜しくお願いします。ほんとに序盤のみなので、本編早めに追加できるようがんばります。

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