第十七話:エルフの襲撃と、最強白猫のガチギレ ~誤解が解けたら、エルフたちが土下座してきました~
銀色の子猫が目を覚ましてから、数日の時間が穏やかに流れていった。
北の離宮での生活にすっかり馴染むまで、それほど多くの時間はかからなかった。
一晩中、ハクが暖炉の熱を細かく調整して温め続けたおかげで、子猫はすっかりと元気を取り戻していたのだ。
朝の光が明るく差し込む一階のホールでは、今日も賑やかな足音が床板を鳴らしている。
『みゃあ! みゃあ!』
銀色の子猫は、自分の尻尾よりも大きな猫じゃらしのおもちゃを追いかけて、絨毯の上を元気いっぱいに跳ね回っていた。
透き通るような青い目には、かつて森の奥で倒れていた時の弱々しさは微塵もない。
王都から逃げてきた三毛猫や白黒のぶち猫たちも、この小さな新しい家族をとても可愛がってくれていた。
『ほらほら、こっちだニャ!』
『ジャンプが高いニャ! すごいぞ!』
大人の猫たちが交代でおもちゃを前足で器用に振り、子猫がそれを捕まえようと必死に飛びかかる。
その微笑ましい光景を、私は少し離れた長机の席から温かいハーブティーを飲みながら眺めていた。
子猫の後ろ足にあったひどい怪我は、手作りの薬草ペーストと水属性魔法の力で跡形もなく治っている。
その後遺症を心配していたけれど、こうして元気に走り回る姿を見ていると、どうやら全く問題はないようだ。
子猫の銀色の毛並みは、動くたびに朝の光を反射して、眩しいほどに輝いていた。
朝食の時間には、私が特別に細かく切り分けたお肉のスープを、小さなお皿からペロペロと音を立てて残さず平らげてくれた。
たくさん食べて、たくさん遊ぶ。
それが小さな生き物にとって一番大切な仕事だ。
『皆さん、遊びの時間はそこまでです。子猫の教育の時間ですよ』
クロが静かな足取りで猫たちの前に進み出た。
彼はいつも通り、有能な執事としての厳格な態度を崩さない。
子猫の前に立ち、緑色の瞳を少しだけ細めて語りかける。
『この屋敷で暮らすためのルールは、小さくてもしっかりと覚えてもらいます。こちらへ来なさい』
クロが先導して廊下の隅へと歩いていくと、子猫も小さく首を傾げながらトコトコと後をついていった。
たどり着いたのは、壁際に立てかけられた太い丸太の前だ。
『ここは爪とぎ用の丸太です。他の壁や柱、あるいはカトリーナ様が用意してくださった大切な家具に爪を立てることは厳禁です。このように使うのです』
クロはお手本を見せるように、前足を丸太に当てて、少しだけ爪を研ぐ動作をして見せた。
子猫はその動きをじっと見つめ、真似をするように小さな前足を丸太に押し当てた。
ガリッ、ガリッと、可愛らしい音が鳴る。
『みゃあ!』
上手にできたと報告するように、子猫が胸を張って鳴いた。
クロは満足そうに何度か深くうなずいた。
『大変よろしい。飲み込みが早いですね』
厳しく指導するつもりだったのだろうけれど、クロの尻尾の先が微かに左右に揺れているのを見逃すことはできなかった。
どうやら彼も、この愛らしい小さな生き物には甘くなってしまうらしい。
ひとしきり爪とぎの練習を終えた子猫は、今度は暖炉の前で丸くなっていた白い毛玉の方へと一直線に走っていった。
そして、気持ちよさそうに昼寝をしているハクの真っ白なお腹に向かって、ためらいもなく勢いよくダイブしたのだ。
『むっ……! なんだ!』
お腹への衝撃で目を覚ましたハクが、不機嫌そうに顔を上げた。
しかし子猫は全く気にする様子もなく、ハクの柔らかい毛並みに顔を埋め、喉をゴロゴロと鳴らして甘え始めている。
『おい、小娘。我の尊い体を大きなクッション代わりにするな。我は今、食後の大切な休息をとっているのだぞ』
ハクは口では文句を言いながらも、子猫を乱暴に追い払うことは絶対にしない。
ただ面倒くさそうに前足を動かし、子猫の頭をポンポンと軽く叩くだけだ。
子猫はそれが嬉しいのか、さらにハクに擦り寄っていく。
最終的にハクは諦めたように大きなため息をつき、子猫を抱き抱えるような姿勢でもう一度目を閉じた。
素直ではないけれど、彼なりにこの小さな家族をしっかりと受け入れているのだ。
「みんな、すっかり仲良しね」
私が微笑みながらつぶやくと、クロが足元にやってきて静かに座った。
『ええ。あの銀色の子猫は、少し特別な魔力の気配を持っていますが、本質はただの無邪気な子供です。ハク様も、口ではあのように言っておられますが、あの小さき者を庇護の対象として認めているのでしょう』
「ええ、そうね。森の奥で倒れていた時はどうなることかと思ったけれど、本当に元気になってくれてよかったわ」
窓の外に視線を向けると、春の穏やかな日差しが降り注いでいた。
北の離宮の平和な日常は、こうして今日も続いていくのだと、私は疑いもしなかった。
◇
その日の午後。
私は、クロと一緒に屋敷の外へと出ていた。
裏庭のガラスの温室からさらに奥へ進むと、手入れされていない広大な庭が森の入り口まで続いている。
太陽の光はすっかり暖かくなり、分厚い上着を羽織らなくても十分に過ごしやすい気候になっていた。
地面を覆っていた雪はすでにほとんどが水となって土に吸い込まれ、黒々とした地面があちこちで顔を出している。
「雪もだいぶ減ってきたし、この広い庭に何か役立つ植物が生えていないか、探してみましょうよ」
『良い提案です、カトリーナ様。森の動物たちが種を運んできているかもしれませんし、春の野草が芽を出しているはずです』
私たちは並んで、広大な庭をゆっくりと歩き始めた。
土の良い匂いと、森から吹いてくる新しい草の香りが重なり合い、深く呼吸をするだけで体が元気になっていくのがわかる。
王都にいた頃の、香水と化粧品の匂いに満ちた窮屈な日々が、まるで遠い昔の幻のように思えた。
足元の土を少しだけ掘り返してみると、小さな緑色の芽がいくつも顔を出しているのが見えた。
「見て、クロ。これは食べられそうな野草じゃないかしら」
『風よ、土を払え』
クロが短く言葉を発すると、優しい微風が足元の落ち葉と表面の土を綺麗に吹き飛ばした。
そこには、根っこがふっくらとした春の野草がたくさん群生していた。
「素晴らしいわ。これをお肉と一緒に煮込めば、きっと美味しいスープになるわね」
私が持ってきた小さなカゴに野草を摘み入れていると、ふと、周囲の空気がわずかに変化したのを感じた。
先ほどまで元気よく鳴いていた森の小鳥たちの声が、一斉に途絶えたのだ。
風の音さえも止み、周囲が不自然なほどの静寂に覆われた。
肌を刺すような、冷たくて鋭い気配。
私は野草を摘む手を止め、ゆっくりと顔を上げた。
庭に面した森の木陰。
そこに、いつの間にか複数の人たちの姿が音もなく立ち並んでいたのだ。
彼らは人間ではなかった。
緑と茶色を基調とした、森の風景に完全に同化するような滑らかな衣服を身にまとっている。
長く尖った耳と、人間離れした美しい顔立ち。
おとぎ話の中にしか登場しないと言われていた、森の奥深くの住人、エルフたちだ。
全部で五人。
彼らは一様に険しい表情を浮かべ、その手には大きく引き絞られた弓が握られていた。
鋭い矢の先端が、はっきりと私に向けられている。
その瞬間、私の横を歩いていたクロが、音もなく私の前へと進み出た。
有能な執事としての穏やかな気配は完全に消え去り、そこには戦闘態勢に入った強獣の姿があった。
クロの緑色の瞳が、冷たく鋭い光を放ってエルフたちを射抜く。
彼の足元の土がかすかに隆起し、いつでも防御の壁を作り出せるように準備が整えられている。
同時に、クロの周囲の空気が刃のように鋭く流れ始め、目に見えない風の一撃がエルフたちへ向けて放たれる寸前の状態になっていた。
一触即発の、張り詰めたにらみ合いが続く。
「動くな、強欲な人間」
先頭に立つ、ひと際美しい銀髪のエルフの青年が、低く冷たい声で言い放った。
その声には、隠しきれない強い怒りと敵意が込められていた。
「我々がお前たち人間との接触を絶って、どれほどの月日が流れたと思っている。我らが森の中で、このような真似をするとは、決して許されない行為だ」
私はゆっくりと息を吐き出した。
突然、矢を向けられれば普通ならパニックになる状況だ。
けれど、私の思考は驚くほど冷静だった。
クロという用心棒がいるから――ただ、それだけではない。
この人達には何かの目的があって接触してきている、と直感したからだ。
「あなたたちは、エルフの方々ですね。私は武器を持っていませんよ」
私は手に持っていたカゴをゆっくりと足元の土の上に置き、両手を胸の高さまで上げて、武器を持っていないことをはっきりと示した。
「私は、この北の離宮で暮らしている、カトリーナと申します。あなた方が怒っている理由はわかりませんが、話し合いの余地はありませんか」
私の落ち着いた態度に、エルフの青年は少しだけ戸惑いを見せたようだった。
しかし、すぐに再び表情を険しくして、弓を持つ手に力を込めた。
「白々しい嘘をつくな。お前たちの目的は初めからわかっている。希少な魔力を持つ聖獣の幼体を高く売り飛ばすつもりだろう!」
「幼体……?」
私が首を傾げると、エルフの青年はさらに声を荒げた。
「我らが森の希望である、聖獣をどこへやった! 今すぐここに連れてきて、無事に返すのだ。さもなくば、その体を矢で貫くことになるぞ」
聖獣の幼体。
その言葉を聞いて、私はすぐに気がついた。
数日前の夜、山猫たちが森の奥で倒れているのを見つけて運び込んできた、あの銀色の子猫のことだ。
普通の猫とは違う魔力の気配を感じてはいたけれど、まさかエルフの森の聖獣だったなんて。
彼らは、私が森に入り込んで聖獣を攫ったと勘違いしているのだ。
「誤解です。私は誰も攫っていません。あの小さな子は、怪我をして倒れていたところを助けられて、ここに運ばれてきただけなのです」
「黙れ! 人間の言葉など、誰が信じるものか。お前たちの欲望の深さは、我々が一番よく知っている!」
エルフの青年が矢を放つ寸前まで弦を引き絞った。
『その弓を少しでも動かせば、あなたたちごと、すべてを風の魔法で吹き飛ばします。カトリーナ様への無礼は、この私が決して許しません』
クロが低い声で警告を発し、周囲の風がさらに鋭く唸り声を上げた。
まさに戦いが始まろうとした、その時だった。
『みゃあ!』
少し離れた屋敷の裏口の木扉がわずかに開き、そこから元気な鳴き声とともに、銀色の小さな毛玉が飛び出してきた。
私とクロが庭に出ているのをどこからか見ていて、一緒に遊びたくて追いかけてきたのだろう。
太陽の光を浴びてキラキラと輝く銀色の毛並み。
透き通るような青い目。
その姿を見た瞬間、弓を引き絞っていたエルフたちの動きが完全に止まった。
彼らの顔から怒りが消え去り、代わりに深い畏敬の念が浮かび上がる。
「おお……聖なる森の猫よ!」
「ご無事であられたか!」
エルフたちは慌てて弓を下ろし、その場に片膝をついて深く頭を下げた。
彼らにとって、あの小さな銀色の子猫は、命をかけて守るべき絶対的な存在なのだ。
先頭の青年が、感極まったような声で子猫に呼びかける。
「さあ、聖獣様。我々がお迎えに上がりました。恐ろしい人間の手から、今すぐお助けいたします。こちらへ……!」
青年が両手を広げて待ち構える。
当然、子猫は喜んで彼らの元へ駆け寄るはずだった。
しかし、銀色の子猫はエルフたちの方をチラリと見ただけで、全く興味を示さなかった。
彼らの前を素通りすると、後ろからのっそりと姿を現した、彼よりも大きな真っ白の毛玉の方へとトコトコと走っていったのだ。
『騒々しい。我の昼寝の邪魔をするとは、なんの騒ぎだ』
大きなあくびをしながら出てきたハクの足元にたどり着いた子猫は、ごろんと仰向けになり、無防備にお腹を見せた。
『みゃあ、みゃあ』
もっと遊んで、と要求するかのように、ハクの足にすりすりと頭をこすりつける。
ハクは面倒くさそうに大きなため息をつきながらも、前足で子猫の頭を優しくぽんぽんと叩いてやった。
それに満足したのか、子猫は今度は立ち上がり、私の足元へと駆け寄ってきた。
そして、私の靴に体を擦り付け、ゴロゴロと大きな音を鳴らして甘え始めたのだ。
「ふふ、どうしたの。お昼寝の時間はもう終わったのかしら」
私がしゃがみ込んで子猫の顎の下を優しくさすってやると、子猫は気持ちよさそうに目を細めて手にすり寄ってくる。
その一連の光景を目の当たりにしたエルフたちは、口を半開きにしたまま完全に硬直していた。
「な……っ!?」
「気高く、決して何者にも靡かないはずの聖獣様が……人間の足元で、あのように愛玩動物のように甘えているだと……?」
彼らの常識では絶対にあり得ない光景なのだろう。
弓を下ろしたまま、信じられないものを見るような目で私と子猫を凝視している。
その時、私を背後から守るようにして、ハクがゆっくりと前に進み出た。
彼の金色の瞳が、鋭い光を放ってエルフたちを射抜く。
『ほう。我が家臣と、我の居城に向かって武器を向けるとは、ずいぶんと度胸があるではないか』
ハクの低い声が聞こえた瞬間、周囲の空気が一変した。
ただの猫の姿をしているはずの彼の体から、目に見えない強大な圧力が放たれたのだ。
空気がひどく重くなり、呼吸をすることすら困難になる。
それは、ハクが本気を出した時の何分の一かの力に過ぎない。
ほんの薄く放たれただけの王の威圧だったが、エルフたちにとっては十分すぎるほどの脅威だった。
「ぐっ……! なんだ、この途方もない魔力は……!」
「息が、できない……」
エルフたちは顔を青ざめさせ、地面に手をついて顔を苦痛に染めた。
彼らは森の魔力に敏感だからこそ、ハクの放つ力の恐ろしさを誰よりも正確に理解してしまったのだ。
伝説の白虎としての偉大なる力。
ハクがその気になれば、瞬きをする間に彼らを消し炭にすることなど造作もない。
『身の程をわきまえよ。我の庭で騒ぐことは、この偉大なる王が許さん』
ハクがさらに威圧を強めようとしたその時、クロが静かに声をかけた。
『ハク様、どうかお怒りをお鎮めください。カトリーナ様のお庭が荒れるのは好ましくありません』
クロの言葉を聞いて、ハクはふんと鼻を鳴らし、威圧の力をわずかに緩めた。
クロは戦闘態勢を解き、再び有能な執事としての姿に戻ると、地面に手をついているエルフたちを見据えた。
『エルフの方々。まずは武器を完全に地面に置いてください。私たちは争いを望んでいません』
クロの理知的で落ち着いた声に、エルフたちは弾かれたように弓と矢筒を地面に放り出した。
『よろしい。では、事実を正確にご説明いたしましょう』
クロは背筋としっぽをピンと伸ばし、非の打ち所がない態度で語り始めた。
『第一に、カトリーナ様が聖獣様を攫ったという事実は一切ありません。数日前、森の奥深くで獣に噛まれ、ひどい怪我をして冷え切っていた聖獣様を、森に住む山猫たちが見つけてこの屋敷に助けを求めてきたのです。第二に、聖獣様の傷を完全に治癒し、一晩中暖めて命を救ったのは、他でもないカトリーナ様とハク様です。そして第三に……』
クロはエルフたちの方へと数歩近づき、緑色の瞳を細めた。
『森の魔法に精通しているあなた方なら、聖獣様の毛並みから、カトリーナ様が作り上げた薬草の残り香と、水魔法の痕跡を感じ取れるはずです。それが何よりの証拠です』
クロの淀みない論理的な説明を聞いて、先頭のエルフの青年はハッとして子猫の方を見つめた。
彼らは少しだけ顔を近づけ、子猫から漂う気配を探る。
「……確かに。血の匂いはなく、清浄な魔力の痕跡と、森の最深部でしか採れないはずの薬草の匂いがする」
「傷跡一つない。本当に、この人間が治癒魔法と薬で命を救ったというのか」
エルフたちは顔を見合わせ、自分たちの致命的な勘違いを完全に理解した。
彼らは、自分たちの尊い聖獣の命を救ってくれた恩人に対して、あろうことか弓を向け、命を脅かそうとしたのだと。
先頭のエルフの青年が、顔を真っ青にして深く項垂れた。
「なんという……恐ろしい過ちを犯すところだった。我々は、森の怒りに任せて、真実を見失っていた」
青年は地面に両膝をつき、両手を土の上に添えて、額が地面につくほど深く頭を下げた。
後ろに控えていた四人のエルフたちも、全く同じようにして地面に平伏する。
それは、彼らの文化における最大級の謝罪と敬意の表現だった。
「無礼をお許しください、カトリーナ殿。そして、偉大なる白き王よ。我々は恩人に対して武器を向けるという、決して許されない愚行を働きました。いかなる罰も受ける覚悟です」
青年の声には、先ほどまでの冷たい敵意は全くなく、ただ深い悔恨だけが込められていた。
私は足元で甘え続けている子猫をそっと抱き上げると、平伏しているエルフたちの前に進み出た。
「顔を上げてください。誤解が解けたのなら、それで十分です。罰など必要ありません」
私の言葉に、青年はゆっくりと顔を上げた。
その表情には、強い驚きが浮かんでいた。
「許して……いただけるのですか。我々は、あなたの命を狙おうとしたのですよ」
「あなたたちが、この子を大切に想っているからこその行動だったのでしょう? 愛するものを守るために必死になる気持ちは、私にもわかります。それに、誰も怪我をしていませんから」
私が微笑みながら言うと、エルフの青年は言葉を失ったように私を見つめた。
彼の目には、もはや私が強欲で恐ろしい人間として映っていないことは明らかだった。
気高く、誰にも懐かないはずの森の聖獣が、完全に心を許して腕の中に抱かれている。
その事実こそが、私が何者であるかを彼らに雄弁に語っていたのだ。
「カトリーナ殿……あなたは、聖獣様に愛された稀有なお方だ。我々エルフは、森の命を救い、聖獣様に愛されたあなたに、永遠の感謝と友情を誓います」
青年が胸に右手を当てて、厳粛な声で宣言した。
背後のエルフたちも、深くうなずいて敬意を示している。
ハクは後ろで『ふん、我の寛大さにも感謝するが良い』と鼻を鳴らしているが、その尻尾の先は少しだけ機嫌良さそうに揺れていた。
クロも、交渉が進んだことに満足して静かに見守っている。




