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いつから一緒だったか思い出せないほどユゼルとは一緒にいた。
それが当たり前であって、それが崩れる時が来るとは思ったことはなかった。
「リューちゃんっ!!」
だから、終わりが来る時はこんなあっさりしているのかとどこか遠い現象のように感じる。
「お前は失敗作なんだねリューステイン」
主が呼ぶ。
「――命令だよ。僕の邪魔をするな。リューステイン」
名前に力があった。命令に魔力があった。
守るために立ち塞がるつもりだった身体が唐突に動かなくなる。
「な、何を……」
「さあ、ユゼル。抵抗しないで、僕にその二人の【完璧な人間】渡しなさい」
今度はユゼルに向かって、命じる声。
「ユゼっ⁉」
「…………名前を通して人形にする術。ですか」
ユゼルの顔色が悪い。
「おや、抵抗するの?」
「………名、前で支配するのは、【完璧な人間】から……遠ざ…かる行為ですよ」
顔色が青を通り越して真っ白になっていき、大量の汗を流しながら必死に抵抗をしているユゼル。
「さすが、黒猫だな」
カラクレナイが呟く声が聞こえる。
「黒猫……」
「魔女の使い魔と呼ばれるほど、魔力の強い猫だ。もっとも俺たちの母国では神の使いほど黒を宿しているが」
だからこそ必死に抵抗で来ている。
でも、それだけだ。
「銀鼠」
「ええ」
カラクレナイがギンネズの本体を手に取って演奏を始める。
「なんで、今、演奏を」
理解できないと叫ぼうとしたが、演奏が主君の魔力を乱しているのか拘束する力が弱まっていく。
「今の内だ!!」
その声に押されるようにその場から後にする。
「リューちゃん!!」
一番疲労感が激しいユゼルがこちらを気遣うように、手を掴んでくる。
その様に自分の情けなさを感じるが、今はそれで落ち込んでいる場合ではない。
その手を掴んで主君から逃げる。
「異国の魔術か。面白いね……」
残された魔術師は心底楽しそうに笑う。
こんな楽しみは悠久の時を生きていて初めてだったから。
ごめん。長く書けなかった。




