第二段階に移行
「では、第二段階に移行ね」
「おい、リリュ。どうしていつもよりもキラキラしているんだ?」
臥せっていた最後の座員を送った後の座長。
「あらぁ。私はいつでも全開よ」
またクルリと一回転するリリュ。逆さの朝顔のようにワンピースの裾が花開く。
「冗談も程々にしろ。その言葉通りなら先代も俺も、苦労はせん。ま、ソシアも無事帰ったし」
腕を組んでいるソシアが、ふんと鼻を鳴らす音が聞こえた。
「頼むぞダイ。そして修道女さんたち」
マーサたちを詳しく知らない座長だった。
「配役はどうなるの?」
「ソシア、まだ不機嫌らしいが、もう諦めろ」
「ふん。半年も離れていた王都から離れていたのよ。一日くらい自由に」
バシッ。ハリのある音がした。
「んもう。お尻叩かないでよ。膨らんじゃう」
そうか?
「子供たちや夜警隊様の前だ。それに本番まで時間がないから、頬を叩くのを免除したんだ。第一お前は自由過ぎる」
「だからって、スゴく痛かったんだからね」
文句の大放出のソシアの背後で、パウロの一言。
「んだども、ふかふかのパンみてだ。悪くねぞ」
これでソシアの機嫌は急旋回する。
「え? そう、そうかなぁ」
「ん、悪くね」
「パウロったら」
大木に雨宿りの構図。パウロにスリスリと身体を預けているソシア。大陸随一の美貌の歌姫は、この食欲の権化がオキニらしい。
「パウロ、それにソシア。そろそろお暇をしましょう。私たち法官はこの食べ当たりを調査することが一座への貢献です」
もっともなペネ判事がこの場をシメようとする。
「あら、ペネちゃんったら、本業〝でも〟協力してくれるのね」
「な、なにを」
クルクルクル。ネジがこんなにスムーズに回れば大工や技術者は労力が半減するだろう。
「ペネちゃんにピッタリの役もあるのよォ」
「わ。リリュ。小官は司法院の高等判事です。もう舞台には上がりませんからね!」
「上がってたんですか。ペネのお姉さん」
冷静にダイが分析してツッコむ。
「ち、違います。その、リリュとかガッペンとかナピとは色々ありまして」
サイズがダイとほとんど同じなら、身体の反応も子供レベルなペネ。本人としては封印したかった過去を解き放たれて大赤面。どころか腕や首まで赤い。
「うふふ。よくわかったわねぇダイ。このペネお姉さんは裁判官だからセリフ覚えがとても抜群だったのよォ」
「ちが、ちが、違います。カラスコ、今の会話を記憶することは不許可です」
ぶるんぶるんと激しく首を降ることが舞台経験が事実だと逆に証明している。
「では、判事。私は他の夜警隊隊員と」
ここから離脱したいカラスコ。でも遅すぎた。
「そうね。男手も男役も不足しているかしら」
「り、リリュ」
「ええっと、あの役は座長。あれはガッペン」
「おい俺は足りない役者のセリフをダイと調整しなきゃならん」
「あら、それもそうね」
けろりとズィロ座長を計算から外すリリュ。