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この『アイなき世界』で僕らは  作者: 京 高
3 魔王軍結成!?
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30 作り込まれた裏設定

 前回のあらすじ。


 PK集団に狙われて鬱陶しいので、プレイヤーがいないだろうサウノーリカ大洞窟へ『転移』。

 探索にも飽きたので、イグルポックの町跡地へ向けてさらに『転移』。

 隠し技能が発動して、魔王だとバレちゃった!?


 という状況なんだけれど、さてどないするべ?


 その一、「その通り!オレ様が魔王だ!」と肯定する。

 正面に立っているお姉さんは魔王『様』と敬称付きで呼んできたから、敵対するつもりはないような気がするんだけど、他の人たちがどう考えているのかは分からない。

 そもそもこの人たちは何者なのかも不明だ。最悪『ミュータント』だという可能性もあるし、正体を曝すにはリスクが大きい。


 その二、「な、なんのことでしょうか?ぴー、ひゅるー……」と誤魔化す。

 突然やって来て、町にかけられていた撹乱の術なるものを消しておいて、吹けもしない口笛を吹いて――リアルでならちゃんと吹けるよ――誤魔化す?

 ……あ、怪しい。怪し過ぎる!オレだったら即座に敵認定して攻撃してしまうかもしれない。


 その三、魔王であることは伏せて情報収集する。

 「ロピア大洞掘から調査に来た」とでも言っておけば確認する手段はないだろう。あー、うん、実質的にこれ一択だわ。

 問題は上手く誤魔化すことができるかどうかなのだけれど、その辺はそれなりにレベルの上がっている変装とか偽装とかの隠密系の技能に期待ということで。


「なんのことかな?オレはロピア大洞掘から来たただの調査員――」

「誤魔化されなくても結構です。あれだけのことができるのは魔王様を除いて他にはいませんから。それに今ならあなたが魔王であるという証しがはっきり見えています!」


 仕事しろよ、隠密系技能!!

 どどどどうしよう?バレちゃってるよ!?

 それより魔王である証ってなんだ!?そんなものがあるなんて聞いてないぞ!?


「ミディミアリ様、まずは我々のことを説明した方が良いのではありませんか?」


 混乱していると、お姉さんの後ろの路地からお年寄りが出てきて助言していた。


「そうですね。魔王様、私はミディミアリ・チ・ユーと申します。どうかアリィとお呼び下さい。そして私どもは魔ぞ――」

「待った。あんたたちからどう見えているのかは知らないけれど、オレはグドラクだ。そう呼んでくれ」

「……かしこまりました。それではグドラク様、私ども魔族についてお話しさせて頂きます」


 一瞬迷った後、アリィさんはそう言って語り始めた。

 この『アイなき世界』の隠された歴史を。




 人類がこの地下世界、大洞掘の元となる各シェルターに逃げ込んだのは今から数千年前のことだとされている。その理由としては大災害だの、核戦争だの色々言われているがはっきりとは分かっていない。

 ただ一つ言えるのは、この地下世界は逃げ込んだ人々にとって過酷だったということだ。


 それでも大半の人々は、そんな過酷な世界に真正面から挑んでいった。『ライトクラウド』の元となる照明の技術が開発されると、植物の栽培は一気に進んだ。それに伴い畜産なども盛ん行われるようになる。

 また、大塩湖を発見して魚介類の養殖も行われていった。

 細いながらもいくつかの大洞掘では互いを繋ぐ通路も切り開かれて、交流も行われるようになっていく。


 一方でもっと簡単に世界に適合できないかと考える者たちもいた。

 彼らが着目したのは遺伝子だった。そして遺伝子を解明していく内にある重要な発見をすることになる。

 世界に満ちる魔力を扱うための遺伝子の存在である。

 こうして魔法は瞬く間に世界中へと広がっていった。


「魔法による加工を施されて『ライトクラウド』が完成したのもこの頃になります。他にも様々な魔法技術が生まれ、地下世界における一大文明が興ったと伝えられています」


 しかし、その栄光も長くは続かなかった。魔法による豊かさを享受した人々は、より多くの豊かさを求めていった。

 一方、その豊かさを支えてきた技術はやがて頭打ちとなり人々の欲求に応えることができなくなっていった。閉塞感を打ち破るため、時の権力者はある決定を下した。


 遺伝子操作による新たなる生命の誕生を。


 遺伝子の解明により魔法という大成功を得ていたこともあって、反対派はごく少数にとどまった。

 人は元より、保存されていた地上の生き物たちの遺伝子に、地下世界で見つかった新たな生き物の遺伝子など、あらゆるものが組み合わされていった。

 その結果生まれたのが、


「魔物に亜人種、そして……、神々です」

「んなっ!?」

「そうは言っても、神々に関しては完全に偶然の産物だったようです。ですから二度と生み出すことはできません。例えできたとしても新たな神の出現を望まない既存の神々の妨害にあうのがオチでしょうね」


 それはそうだろう。誰だって自分の存在を脅かすようなものが登場するのを快く思うはずがない。


「神々が顕現したことで研究所は崩壊し、多くの魔物が世に放たれることになりました。これら魔物がもたらす被害によって、文明は衰退の一途をたどることになるのです。

 それに責任を感じた神々は、亜人種たちと共存することを条件に人々に守護を申し出ました。既に自力で魔物を駆逐するほどの力を持っていなかった人類は、神の守護下に入ることになりました。そしてそれが現在まで続いているのです」


 驚き過ぎて何とコメントしていいものやら……。


「えっと、あなたたち、魔族だっけ?神々と同じ時に生まれた亜人種ってことになるのか?」

「厳密に言うと異なります。この時生まれた亜人種は妖精種と獣人種、そして竜人種になります。この後、長い年月をかけて妖精種と獣人種は多くの種族に分かれていくことになります。唯一、竜人種のみが当時とほとんど変わらない姿をしているそうです」


 運営さんや、ファンタジーな世界観にするために設定頑張り過ぎじゃないか?

 その割に一般のプレイヤーに全く知られていないっていうのも、どうなのよ?


「私たち魔族は妖精種から派生した一族となります。他にエルフやドワーフ、小人たちも妖精種から進化していった者たちです」

「へえ。そうだったのか」


 こんな返事しかできない自分のボキャブラリーの貧困さにがっかりである。


「しかし、他の種族に比べて能力が高い傾向にある私たち魔族は危険視されて迫害されることになりました。そして時には、あの伝説の化け物の『ミュータント』だと誤解を受けることもあったのです」


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