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【第1章完結】公爵様、三年限定ではなかったのですか!?~契約結婚したらなぜか溺愛されていました~  作者: 山咲莉亜
第2章 咲き誇る赤薔薇 ──差し色は高潔に──

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74 格が違う

 ◇


 ウェルロード帝国の皇城を出発して三日目の夜。到着して早々、アルランタ国王主催のパーティーに参加すべく大急ぎで準備を整えたわたし達は、先ほどまでの焦りをおくびにも出さず優雅に他の参加者と歓談していた。


 今宵は各国の重鎮ばかりが集まっているとのことで、一周回って普通の貴族との社交よりも平和な気がする。

 たしか八割ほどが王族とのことでした。馬鹿な王族は中々いませんので、そこまで警戒することはないのかもしれません。少なくとも王族は、この場に集まっているすべての国がウェルロードと友好関係を結んでいるようですし。


「両陛下、お加減はいかがでしょうか?」

「私は問題ない」

「わたくしも大丈夫」

「それなら良かったです。お傍におりますので、何かありましたらお声掛けくださいませ」


 お二人が頷き、リラックスしておられることを確認してから少しだけ距離を取った。王族同士で話したいから他の者はいない方が良い、という方もいらっしゃるでしょう。それでも目は離さないようにしておく。


 あくまでも護衛。けれど表向きは正式に招待を受けている貴族。特に後半を忘れぬよう、笑みを絶やさず壁の花と化する。現在、リジーはわたし達がお借りしているお部屋で待機。シエル様は女性に取り囲まれている旦那様のお傍で、レリック公爵はわたしと同じような位置から両陛下を目で追っている。


 ちなみにルヴィなんですけど、王都に入る前最後の休憩の際に着替えた彼は、わたしや旦那様と共に両陛下と同じ馬車に移動し、王城に向かいました。別の馬車に乗っていたレリック公爵は、ルヴィはどこに消えたのかと困惑していましたね。もちろん説明するはずがありませんけれど。


 そしてこの数日王族の入国が多かったでしょうが、大陸一の国力を誇る帝国だからか様子を窺う民も多く。中にはルヴィに気付いている人もいて、彼は優雅にメルヴィン・アルランタとしての対応をしており。王城に到着してからは、事前に帰省すると伝えてあったのか出迎えた使用人に『後ほど両陛下へのご挨拶に伺います』とだけ告げ、王女宮へ入っていきました。


 普段の姿とは似ても似つかない王女としての姿を見て、継承権放棄の話が出るまでのルヴィはとても苦労していたのだろうと思いましたね。


 背筋を伸ばし、淑やかな笑みを張り付け、凛とした雰囲気を崩さず歩いて行くその背中は、わたしとは遥か遠い場所で生きる人間のもの。


 皇族に次ぐ権力を持つ『ロード』という存在であろうと、本物の王族には遠く及ばない。生まれ持ったあのカリスマ性は彼らにしかないもので、わたし達とは格が違うのだとよく分かる。……それはまあ、当然かもしれません。だって彼は王位継承権を持っている。不謹慎ですが、もし彼の兄王子方に何かあればルヴィはアルランタ国王となる──そんな、尊き身分のお方なのだから。

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