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【第1章完結】公爵様、三年限定ではなかったのですか!?~契約結婚したらなぜか溺愛されていました~  作者: 山咲莉亜
第2章 咲き誇る赤薔薇 ──差し色は高潔に──

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38 領地運営における権力図

「ねぇ、リーシャ様。俺は仕事の分野が違うから兄さんやフォルトのような知識がないんだけど、シェイラルの管理人ってどういう立場の人なの?」


 主にイアンやリジーと今日の予定を確認していると、それまでずっと黙っていたレイが遠慮気味に質問してきた。


 先ほどの話が気になったのでしょうか? たしかに使用人としてのスキルはありますが、専門的な知識はレイだけ別の分野になりますね。ルヴィは生まれが王女なのでこのあたりについては詳しいでしょうし、レイひとりだけ話についていけないとなると不安にもなるかもしれない。


「海の街『シェイラル』の管理人、カルロ・キュースはフランクス……つまり、現ユリウス公爵家の傘下にある家の当主です。貴族ではありませんがわたしの《《母》》に仕えていた人物なので、とても信頼できる人ですよ。権力関係で言うと、基本的にあの街のことなら彼の一存で人や物を動かすことができます」


 とはいえ、先日『土木工事に必要な資金提供』を依頼する書簡を送ってきたように、大きく動く場合はわたしへの報告、連絡、相談を義務付けていますが。


 そんな彼の屋敷に、もうあと十分もすれば到着する。

 シェイラルはユリウス領最大の都市なだけあって、他の街に比べればまだ管理が行き届いているんですよね。人や物が多く動いている分、経済も回っているので比較的自由が利くのでしょう。もちろん管理人である彼の実力もありますが。


「このウェルロード帝国を治めておられる、ウェルロード皇家当主の皇帝陛下。皇帝陛下は国全体の運営をする方ですよね。その国を細かく分けた領地を管理するのが『領主』です。この立場にあたる貴族は領地全体の責任者です。つまり、不祥事でも起こそうものなら多くの場合領民にまで被害が及んでしまいますね。そんな領主である、わたしの代理を務めてくれているのがイアンになります。最高責任者はわたしなので、もしも彼がミスをしても国からは怒られない。その代わりにわたしが処分することになります」


 イアンの仕事は屋敷の管理と以前は言いましたが、その屋敷が建っているのがユリウス領なので、イアンにはやっていいことの範囲を指定して、領地運営も手伝ってもらっています。わたしはユリウス公爵家に住むわけにはいかないので、やっぱり現地の人の協力が必要になるんですよね。

 遠くからしか見えないこと、近くで見ないと気付けないこと。それぞれありますし。


「そして、その領地を分けたのが『街』。ひとつの国に領主が複数人いるのと同じように、街を管理する人もその領にある街の数だけいます」

「じゃあ街を管理する人は兄さんの指揮下ってこと?」

「それは恐らく領にもよりますね。ユリウスではわたしの意向を聞いたイアンが各方面へ嚙み砕き、順を追って指示する、という方式になっていますよ。だから指揮しているのはわたし。やはり人を通すよりも直接伝える方が話を進めやすいので、大事な話の時は今回のように自分で足を運びます」


 複雑だけど、これでもかなり割愛して説明している。その割愛した部分を説明するには少々時間が足らないので、他に気になることがあれば後日教えることを約束した。


 ゆっくり停止した馬車の窓の外を覗けば、ユリウス公爵の馬車だと気付いた領民が手を振ってくれている。

 『領地全体の責任者』はとても大変だけれど、領民に慕われているというのは幸せなことだな、と。そんな風に思って微笑みながら、わたしも手を振り返した。

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