one's first campaign
☆メジャー☆
飛翔体を停止させながら作業体に変形。
慣性が残ったが姿勢制御バーニアで堪える。
分子融合パルスエンジンに向けてエネルギー砲の砲口を向ける。
頭の中に内部経路を呼び起こす。
どこを撃てばいいか辿る。
ナウティルスの下部と右側部から作業体が二機飛び出してきた。
軍の労働者の小倅と前首席か?
「邪魔をすると落とす」
聞こえているか、いないか。
「だめだよ」
子どもの声。
小倅と?
「やらせない」
小倅だ。
前首席は多分内層ブリッジだ。
ビームガンか?
コロンにはビームガンとビーム刀が有ったはずだ。
動きが良いコロンがランダム軌道で突っ込んできた。
軍の労働者の小倅か。
ショルダーアタックを腕で受け止める。
二機もつれて態勢がくずれたか、腕をつかみ振り回し投げる。
「うああぁぁー……」
子どもの悲鳴を残して、コロンはくるくる回りながら彼方へ消えてゆく。
永遠に迷子になりな勇敢な軍人くんよ。
動きの悪いコロンが、行き過ぎ戻り、右に下に、よたよたと飛ぶ。
無様な素人の子どもだな。
「ッツ!なにぃ!」
突然痺れ目の前がフラッシュしたのだ。
電流?
あのコロン、無様な動きの振りをして、この機体の隙間にモル径のワイヤーを付けたのか!
こっちが軍人か!
もう少し電圧が高ければブラックアウトする所だった。
頭を振ったわずかの間にコロンがおれの新型を羽交い締めにしている!
いやいや、いけない、いけない。
この機体の改良点だな。
コクピットの溶液を絶縁にしないといけない。後ろをとられたが冷静にな。
「このまま……」
「新型はな、パワーが上なんだよ」
何かいいかけた子どものコロンを、肘うちからの振り払い、続けて更に蹴り飛ばす。
あっという間に二丁上がりだ。
エネルギー砲の砲口を……。
「だめぇぇぇーッ!」
また別の子どもの声だ。
真上?
銃を構えて真上からコロンが降って来る!?
二機ではなかったのか?
射つか。
え!
下から?
コロンがもう一機だと?
下のコロンが何か撃ってきていた。
エネルギー砲を構えるマニュピレーターに。
鳥もちだぁ?
群集制圧用の。
ねばねばの。
絶縁体。
エネルギー砲のトリガーが動かない!
上のコロンも撃ってくる。
メインカメラが目隠し。サブカメラも。
あちこちの関節も鳥もちで動かない。
思考しても実働しない。
吹っ飛ばした二機のコロンも飛翔体に変形して戻って来たのが生き残りのサブカメラで見えた。
「同道願います」
モルワイヤーのコロンが子どもの声で言った
「わかった。敗けだ」
少年たちは新型ごとおれを船内に運び込んだ。
あの船の自動トレースはこの新型を目印に設定してある。
おれは、まんまとナウティルスの内部への侵入に成功した。