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アラサーTSメスガキ魔法少女に煽られて恥ずかしくないの?♡ざぁーこ♡  作者: 夏川優希


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82/86

82話 待ち伏せはやめて♡


話題ニュースまとめ速報!@Wadaiーmatome 10分

【地方民大勝利】

東京都民に憑いているクマ、人間を取り込む!

どうやら魔法少女が関与している模様?

しかし魔法少女連盟や妖精さんからの声明は未だなく

力を持ちすぎた子供と異界からやってきた生命体の暴走に我々はどう対処すれば良いのか――

【痴漢をしたと思わしき男性が駅のホームでクマに取り込まれている動画】


りりか@riririririnrin

モモカ完全にドパガキで草

魔法少女じゃドーパミン出なくなって怪人になったクチでしょ


尚山光太郎@naoyamanaoyama

若者の暴走!!!

一体日本の教育はどうなっているのか?

今こそ規律と調和を重視した昭和の教育体制を見直すべきだ!


梨梨梨@PEARDAISUKI 9分

テレビに出てるのって魔法少女だよね?

このクマって魔法少女がつけたってこと…?


うに@Uniuniuni 8分

友達がJTVで働いてるんだけど連絡取れない…

誰か局中の状況分かる人いませんか?


怯える子猫ちゃん@Nyan_Nyan_Chan 分

おしまいだ!東京はもうおしまいだぁ!

魔法少女が民衆に牙を剥いた!

俺は東京を出る。新幹線のチケットはもう買った。とりあえず東北の方へ行こうと思う。

みんなも命が惜しいなら早く逃げた方が良い!


ハチミツ舐め太郎@amatoutou

これって魔法少女全員が加担してるってことなの?それともこの子だけ?

リツが人類の敵になっちゃったら普通に"詰み"では?


Eri*@komineeridesu

クマ騒動で国外脱出しようとする人で空港がパンクしそう

このままじゃ暴動になるよ

お願いだからみんな落ち着いて行動して!




***




 律がプイプイと連絡がついたのはその日の夜だった。

 魔法少女連盟戦略会議室へ行くという律の申し出を断り、プイプイはわざわざ律のマンションにまで出向いてこう言った。



「マズいことになったプイ……」


「うーん、マズいどころじゃないね」



 律は思わず苦笑する。

 今までいろいろな怪人と相対してきた。

 最強の怪人組織だった〈黒き森〉をぶっ潰し、ルナ・セイラ姉妹のトラウマだった切り裂きジャックを倒し、悪の精霊との"追加契約"により生み出された怪獣めいた巨大怪人をも倒してみせた。

 このクマを出したのが怪人だったら話は早かっただろう。

 しかし相手はどうやら魔法少女だったらしい。そして、どうやら彼女はみゃうみゃうと怪人契約をしてしまったようだ。



「ネットでちょっと調べたけど……モモカって言うんだよね? プイプイの管轄の魔法少女でしょ? 変身ブローチは回収してなかったの?」


「〈黒き森〉による脅迫で辞めた魔法少女が多かったから、一律に変身ブローチを返すようなことは求めなかったんだプイ。特にモモカは名前が売れてた分、〈黒き森〉に対抗できない魔法少女たちへのバッシングを一身に受けてたプイ。誹謗中傷も酷くて、護身用に変身ブローチを持たせてたんだプイ」



 魔法少女というのは怪人と違い、変身ブローチをプイプイに返却することで普通の女の子に戻ることができる。

 しかしそれは怪人への対抗手段を完全に失うということと同義。

 〈黒き森〉から脅迫を受けた少女が魔法少女活動から身を引きながらも変身ブローチを手放したがらなかった理由は律にも理解できた。



「〈黒き森〉を倒したあとは魔法少女に復帰しないかって誘ってて、前向きな答えをもらってたんだプイ……なのに、なんでこんなこと……」



 プイプイはそう言ってうなだれる。



「勘違いしてほしくないんだプイが……モモカは正義感が強くて、みんなに慕われてたプイ。こんなことをする子じゃないんだプイ。ひょっとしたら〈黒き森〉の時みたいに脅迫されてる可能性もあるプイ」



 怪人契約というのは本人の合意がなければ行えないはずだ。

 とはいえ〈化蛇〉のアジトに連れて行かれたセイラたちが受けた仕打ちを考えれば、みゃうみゃうがどんな卑劣な手を使っていても不思議ではない。


 ――そして気になるのは〈化蛇〉の研究報告書にもあった仮説。



「魔法少女が怪人契約すると強力な能力を得られるって話があったけど、あれってどうなのかな」



 自分で言っていて、律は愚問だと思った。

 東京都の人口である1400万人――旅行者などを入れればそれ以上の人数になるかもしれない――ひとりひとりに自動で動くクマをつけてみせたのだ。

 モモカが魔法少女時代の魔力を遙かに超えた、凄まじい力を持っているのは明白だった。

 下手をすれば律並みに、いや、もしかしたらそれ以上に強い能力を持っているかもしれない。そんな考えが律の脳裏をよぎる。



「魔法少女が怪人契約するなんて初めてのことだプイ。確かなことは言えないプイが、モモカが僕たちの敵に回るんだとしたら厄介なことになるプイ」



 それはただ純粋にモモカが強いからというだけではない。

 元魔法少女が、しかもよりによってモモカが怪人になったという事実そのものが社会や魔法少女たちのメンタルに悪影響を及ぼしているだろうことは想像に難くない。



「魔法少女たちもみんなショックを受けてるプイ……」


「うん……そうだよね」



 魔法少女モモカ。

 律が魔法少女になった時点では彼女は魔法少女活動を引退していたため直接会ったことはないが、話くらいはなんとなく聞いていた。

 ルナ・セイラ姉妹が最初に"切り裂きジャック"に襲われたとき、彼女たちを救った当時最強と謳われた魔法少女。

 彼女たちがモモカを慕うのは当然だ。

 そして怪人になってしまったモモカと相対することがどれほど辛いかくらい、律にだって理解できている。

 なので、律は立ち上がった。



「よし、じゃあ俺が行くよ」


「え?」


「中継してたし、多分テレビ局にいるよね? 俺、行ってくるから」



 ちょっとコンビニ行ってくる、みたいなテンションで立ち上がる律にプイプイが慌てた様子で待ったをかける。



「わ、分かったプイけど……ちょっとだけ待つプイ。いまルナたちに連絡を――」


「いいよ、大丈夫。モモカと関わりのある魔法少女たちが来るのは辛いだろうし。ひとりで行くよ」


「え……ええっ!? そんなの危険すぎるプイ! ちょ、律さん!?」



 プイプイの必死の制止を無視し、律は軽く準備を始める。

 ガスの元栓を閉め、窓の戸締まりを確認し、鍵と変身ブローチを左右それぞれの手に握りしめる。

 魔法少女たちが元先輩であるモモカと相対するのは辛いはず――それは決してウソではない。律は他の魔法少女たちが傷つかないようにと立ち上がっていた。


 しかしそれはそうとして、律には別の思惑もあった。

 この前、プイプイが勝ち取った怪人討伐に対する報奨金の増額。その際に特別ボーナス制度が追加されたことを律は忘れていなかった。

 社会に大きな影響を与えるような重要怪人を倒した際には特別ボーナスが支給される――プイプイは確かにそう言っていた。

 "社会に大きな影響を与えるような"というのがどの程度であるかは開示されていないが、日本を代表する大手企業の本社や中央省庁が集中している東京都に住む全員に怪人の能力が及んでいるのだ。そんな怪人を重要怪人と呼ばないのであれば一体誰が重要怪人だと言うのか。

 つまり。



(特別ボーナスゲットのチャンス! みんなには悪いけど独り占めさせてもらうよ!)



 凶悪な、しかし丸々と太った獲物を前に、律は足取り軽やかに扉を開ける。

 しかし律はそのまま扉を閉めたくなった。

 そこにはセイラがいたのだ。陰鬱な面持ちで。



「え? セイラ? ど、どうしたの?」


「リツさん、今からモモカさんのところに行こうとしてたでしょ」


「え? ええと」


「やっぱり」



 リツと目が合ってようやくセイラはその顔に微かな笑みを浮かべた。しかしその瞳に光が宿っていないことはよく見なくても分かることだった。



「そうだと思いました。リツさんのことだから、きっと危険を顧みずひとりで行ってしまうって」


「あ、いや、そのお……」



 律は思わず目を泳がせる。

 怪人(えもの)を独り占めしようとしていることを咎められるのかと律は思ったが、もちろんそんなわけはない。

 口座にたくさんゼロが並んでいる律が、まさかこの期に及んで金のために行動しているなどセイラは想像すらしていなかった。



「またそうやって自分をっ……犠牲にして……!」


「え、へっ?」



 どうやらセイラがまた盛大に勘違いしていると律は理解したが、しかし「いやいや、モモカをひとりで倒せばお金がたんまりもらえるからぁ」なんて言い出せるような雰囲気ではない。



「ひとりで乗り込もうだなんて無謀にもほどがあります! アタシたちは確かに足手まといかもしれません。でもっ……もう少しアタシたちを頼ってくださいよ……!」


「いや、あの、えっと……い、今みんなのところに行こうとして……」



 涙ながらに訴えるセイラに、律はタジタジになりながら言い訳を口にすることしかできなかった。



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 ところで、魔法少女→怪人→魔法少女と契約・乗り換え契約・更に乗り換え契約とやった場合は、もっともっと強くなれる可能性あり?
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