出会い6
「+4¥tltuso’Peπrl&’%#π3*’’」
「MIIONSS」と同じように暗号で答えると、凛はびっくりしたように一瞬だけ固まった。注意して見てなかれば見逃すぐらい一瞬だった。
━━…流石プロだ……経験の差が違う。
その後凛は考えこむように言った。
「本当にスパイの暗号をそんなにスラスラと出てくる人が居るんだ…」
「え?」
「ううん。なんでもない」
それだけ言うと凛は何事もないように言った。
「これで本当にどちらも味方だと分かったね」
「そうだね」
凛が任務の話題に移したことで、先凛が考えこむように言った言葉を聞き返すことが出来ず、任務に集中すること事にして、凛が次に言う言葉に耳を傾ける。
しかし、次の言葉は全く想像が出来ないものだった。
「うーん……。やっぱり…見張るにはレンに近づくしかないね…」
「……えっ……えっ…え?……」
ぱっとすぐに返事出来ず、間抜けな声しか出ない。
「どしたの?」
凛は私の声を聞いて私の様子がおかしいと思ったのか、本気で分からないような顔で聞いて来た。
そんな顔で見られると答えない訳にはいかないし、多分……先輩…だよね……。会話的にも……私の名前も知っていたから。
「……い、いや、なんでもないんだけど。もっと具体的に指示されるかと思っていたから、意外で…」
「ああ。私にもないよ〜。そんな具体的例な指示は。任務をもらった時にも何も話されていないしね。」
「そうなんですか?もっと言われているものと…」
「うん。相方は澪里ちゃんという子で、初の任務って聞かれただけだよ」
「そうなんだ…」
見張るって言ってたのに、詳しいことは何にも言わないの?と心の中で叫びながら、無性に泣きたくなりながらも、我慢する。
はっ。これも任務なのか。自分で考えてより良い選択肢を選ぶっていうことか!なるほど……納得しながら、レンに近づける方法を考えていると……凛が不意に言った。
「レンに近づけるためにはやっぱり、澪里ちゃんが話しかけるべきだよね!」
「ええっ?そこは凛先輩では!?」
「えっ?」
「え?」
「…………」
「…………」
どちらも黙ってしまい、辺りはシーンと静まり返る。
気まずくなり、先に口を開いたのは私だった。
「……だって、凛先輩の方が可愛いし綺麗だし礼儀も持っているし…」
凛は信じられないように目を見開きながら、
「えっ!?うっそでしょ?本気で言ってる?」
……本気?そりゃ大真面目である。
こくりと頷くと、凛ははああ━━と深いため息をついた。
「嬉しいけど…嬉しいけども……えっ?まじか……いやいやでもそんな事ある?」
「え?何がですか?」
「なんでもない…聞き流して……それかもう聞かなかった事にして……」
どうしたんだろう…?何か私、やらかしたのかな……。
…とりあえず、返事をしなきゃいけないよね……。
「分かりました」
凛を側で観察する。やっぱり可愛いっ……。まつげ長いし、顔小さいし……これを世間は美少女と言うんだろうな……。━━…さっきのレンといい、凛といい、このパーティーは美形な人が多くない?こんな確率でいるんだ……。すごいな……。
一方で凛は沈んだり、明るくなったり、と思ったらまた沈んだり………。…………それと一緒になんかブツブツ言っているけど……。
凛は表情が豊かだな……あれ?…こういう時って表情がコロコロかわって忙しいな……って表現するんだっけ?
う〜ん…
大丈夫か……。うん!大丈夫大丈夫っ!実際に言ってないし……
と、考えていると、これまでブツブツ聞こえていた凛の独り言がぴったりと止まり、「そうだっ!」と大きな声を出した。
私はビクッと跳ね上がった。
びっくりした……。急にはっきりと声を出すから……。
自分の声で私が驚いた事に気付いたのか、凛は「ごめんね。大丈夫?」と聞いてきた。
「うん。大丈夫だよ。」
その問い答え、私は疑問を聞いた。
「それで、『そうだっ!』って何が?」
「あ!そうそう。分かってしまったんだよ!」
「何が?」
「レンに近寄るのは二人一緒に行けばいいってことが!」
「ええ〜!?だめだよ。私が一緒に行ったら格がただ下がりにしかならないよ。凛とだったら、私はすっぽんで凛は月だよ」
「そんな事はないから!ぜっったいに!ないから!まあ、とにかく一緒に行くわよ」
そうなること以外だめだ。とでも言うように凛は言った。
もちろん。押されてしまい、私の負けである。
二人で一緒に行くことに決まったのだった。