EP75
で?
なぜこんなことになってるんでしょーか?
私は今。
井桁さんと近所の焼き鳥屋で向かい合っています。左手には生ビールのジョッキ。そして、右手にはネギマ……ネギマ?
「ぷはーーうめ〜〜」
井桁さんは生ビールをぐいっと一気に半分ほど飲むと、泡の口ひげを作りながらネギマにくらいついた。
そして、私はというと……
同じく、ネギマにくらいつき、「うまあっうまあっ」と連呼。
ビールを喉に流し込むと、一気に本日の疲れが取れるような気がした。
ちらりと井桁氏を見る。
生ビールのジョッキを握ったまま、次の焼き鳥へと手を伸ばす。
「あんたさ」
社長をあんた呼ばわりかいっ!
「男に色目とか使うんじゃねえよ」怒
「いやいや色目なんか使ってませんよ」怒
「使ってんじゃねーか」怒
「えーーそれっていつです?」怒
「だってよ! 松谷販売店の神林悟しかり、山路雅也しかり、だ。なんかモテててんの気に入らねえ!」怒
「知らんわっ」怒
本日、『怒祭り』開催かい! 怒ってるやつ、出てこいやーー!!
だが、ここは冷静にならねば。私は手を上げて店員さんとアイコンタクトも合わせて叫ぶ。
「すみませーん、生中ひとつ追加でーー」
「俺もひとつ!! ってか今も色目使ったんじゃねーか?」
「はぁ?? 井桁さん、酔ってますう?」
すっげ難癖つけてくんなあ。私はムカついて残っていたビールをごくごくと一気に飲み干した。
「だあぁぁぁあああ。いったいなんなんすか? 私、社長ですよ? 私のこと、ペットかなにかと思ってません?」




