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122話 神殺

2巻発売中です。

よろしくお願いします。


前話、微妙に修正してます。

 宴会するぞ!

 そう眷属たちにチャットで連絡しようとしたら、コルノがすぐに来てくれと言うので最下層ボス部屋(コルノルーム)へと移動する。

 ヘスティアとレヴィアはもう始めていたのでおいてきた。

 ボス部屋にはミコちゃんの姿がないからアシュラのとこか第2層の妖精村にいるのかな。


「どうした?」


「あのね、……フーマ、なんかいい匂いがする」


「ああ、それで呼ぼうとしてたんだ」


 さすがコルノだ。

 あの二人も飲みながらけっこう食べてそうだけど、餅も海苔もまだあるし〈複製〉用に一個別に貰ってあるからなくなる心配はない。

 うちでお米ができたら搗き立ての餅を食べたいけど、あれってもち米じゃないと駄目なのかな?


「そうだったんだ。あのね、ボクがフーマを呼んだのはね」


 なんだろう。

 なんかもったいぶってる?


「えへへへ。できちゃった!」


 鼻こすりの癖のあとに、その手でブイサインをするコルノのドヤ顔に驚愕する俺。

 できちゃった?

 ……え?


「で、できちゃったって……」


 思わずコルノのお腹を凝視。

 いつもよく食べるのに細いあの中に?


「ほら、これ見てよ! まだコアだけなんだけど!」


「コアってゴーレムのコア?」


「うん! トーゲンみたいに大きな子にしようと思って造ったからいつものより大きいでしょ」


 ですよねー。

 わかっていながらも焦ってしまった。

 おっさんのダンジョンレベルではまだ子供ができるはずもないというのにさ。


「見てって言われても、おっさんにはよくわからないんだけど?」


「そう? じゃ、アイテムボックスに入れてみて」


「これをか?」


 言われるままに野球のボールくらい、おっさんたちから見るとバランスボールぐらいの大きさのコアをアイテムボックスに収納……しようとしてもできなかった。


「むむ。これはまさかゴータローたちと同じ?」


「そう。心があるゴーレム。ちゃんと会話もできるんだよ!」


 アイテムボックスは生きてるものは収納できない。でも植物は収納できるから、その条件はよくわからない。アンデッドモンスターも入らないみたいだし。

 その判別のよくわからないアイテムボックスだが普通のゴーレムなら収納できる。ゴータローとレッドは収納できない。

 二体(ふたり)は高い知性と自意識を持っているので、コルノいわく特別なゴーレムとのこと。石化してたら大丈夫なはずなんだけど、石化してても動けたら駄目なのかね?

 残念ながら狙って出来たわけではなく、レッドのあとは普通のゴーレムしかコルノは造れないでいた。


「すごいじゃないか!」


「でしょー! ねー」


 コルノが愛おしそうにゴーレムコアの表面をなでると、球から「ヴゥン」と音がする。


「今のがゴーレムの声?」


「うん。身体がないからまだしっかり喋れないみたい」


 そんなもんなんだろうか。専門家であるコルノが言うんだから間違いはないんだろうけどさ。


「どうやって造ったんだ?」


「それがね、大きさ以外は普段と同じ造り方なんだよ」


「ゴータローたちと同じでわからないのか……」


 また手がかりなしか。原因を突き止められれば戦力増強できるのに。

 人手不足だからさっきだって〈ガラテア〉で大事なフィギュアを減らしたばかりだっての。

 俺のため息にコルノは首を振った。


「ううん、ボク見当はついてるんだ。たぶん、フーマのガラテアのせいだと思う」


「ガラテアの? ……たしかにゴータローとレッドが出来たのもガラテアを使ったあとだったけど」


「ガラテアは像を本物にするスキルでしょ。それで使われなかった余計な力がゴーレムに影響したんじゃないかな?」


 ふむ。おっさんは〈ガラテア〉を使う時に失敗しないよう、最低限必要とされるポイント以上にHP、MP、CPをつぎ込んで行っている。そのせいというのは考えられる、か?


「ならあの謎だった赤ファンドも……」


 アイテムボックスから土を出して、石粉粘土(ファンド)を〈複製〉してみる。すると……。


「赤くなったな」


「なんで赤くなるのかはよくわからないけど、これもガラテアのせいじゃない?」


「だが、あの時もファンド以外のものも複製をしていたけど特に変わったことは……コルノのフィギュアの原型もファンドで作られていてそれで?」


 なんとなく説明がつくようなつかないような?

 コルノの言うように赤くなるのも謎だ。


「でもこれで赤い粘土がたくさん作れるね。リニアちゃんにも花束作れるよね!」


「花束って、あれか? プロポーズの時の」


 手持ちの土をどんどん赤粘土にしながら会話する。

 赤粘土は色以外は特に違いはなさそうなんだけど綺麗だし、よく考えたらそんなに詳しくも調べていなかった。

 他に〈ガラテア〉の余剰で影響が起きないとも限らないので使い切っておいた方がいいだろうし。悪い影響が起きたら困る。


「ボクの宝物だよ!」


 そういって貰えると嬉しいけど、そろそろ結婚指輪も用意したい。

 おっさんの100分の1DPがバグじゃなくて種族特性だと確認もできたことだし、もう少しは稼いでもいいだろう。


「そっか。ありがとな」


「リニアちゃんもよろこぶよー」


 俺がリニアにプロポーズの花束をあげるのは決定事項らしい。

 たしかにリニアはいい子だよ。真面目で一生懸命でしかも美少女。さらには巨乳!

 問題点があるとすれば親ってことになっているディアナことアルテミスぐらい。

 ……前世のアルテミスは処女神で男には厳しいというイメージだからかなり怖い。さらにその上、ダンジョンマスターとの戦いで敗れて力を奪われているらしいから、ダンマスにはあまりいい印象を持ってない可能性が高い。


 やっぱり復活前に眷属になっておいてもらおう。かなりDPが入るかもしれないけど、稼ぎすぎて運営に目をつけられても問題はない。

 だってやましいことはないもんね。


「それでねフーマ、このコアなんだけど、あげちゃってもいい?」


「このゴーレムコアを?」


「うん。ゴーレムスレの人。ほら、トーゲンの時にアドバイス貰ったりしてお世話になったから」


「ああ、ロボの人か」


 ゴーレムスレの住人で、なんか女性だったらしいダンマス。

 コルノが眷属でも気にせずに友人になってくれて、トーゲンの時は参考になるアドバイスが本当に助かった。


「それもいいか。このコアのことを調べてくれればもしかしたら秘密もわかるかもしれないだろうしね」


「うん!」


「だけど、ゴーレムスレの反応だとタダであげると、スレの他の住人が騒ぎそうだからなにかと引き換えにした方がいいんじゃないか?」


「そう、かな?」


 別にタダであげてもいいんだけど、書き込みを見ると真面目そうなダンマスだったから気にするかもしれない。


「余ってる金属があったらちょっと分けてもらえないか聞いてみて」


「そんなのでいいの?」


「うちは不足しているから」


 きっとロボの人ならたくさん持っているだろう。

 一番ほしいアルミは無理かな?

 アルミがあれば缶を使うハイボールや発泡酒、コーラ等が複製しやすくなるんだよね。アルミホイルを使えるようになると焼き芋もやりやすくなるしさ。



 ◇ ◇



 コルノや他の眷属たちを集めてリビングに戻ると、さすがにちょっと狭かった。

 リビングはけっこう大きくなってるんだけど囲炉裏がね。

 なのでDPで囲炉裏を追加する。


「これがダンジョンマスターの力……なんで囲炉裏?」


「おっさんの浪漫なのさ」


 ミコちゃんが驚いたのはダンジョン作製の能力じゃなくて囲炉裏の方だったらしい。若い子にはこの良さはわからんか。


「そっち……の方は? 神気が凄いけどもしかして」


「あら、そっちも新神さん? 私はヘスティア。レヴィアさんのお友達よ」


「ヘスティアというとオリュンポス十二神で炉の女神の?」


「ああ。だからなのか、なんか囲炉裏が気に入っちゃったみたいでね、最近よく遊びにきている」


 女神を呼ぶために創ったんじゃないってのにさ。

 早く魚を焼きたい。

 ってヘスティア、その炙ってるのはなに?


「これですか? デスワームの干物ですよー」


「デスワームってあのでっかいミミズ?」


「人間種たちも高級食材として扱うくらい、美味しいんですよー」


 そりゃ手に入れるには苦労するだろ、あのモンスター。高級にもなるだろうさ。命がけでも食べたいぐらい美味いのかね?


「はい。この大きさだと消費が少なくて本当にいいですねー」


「夫の先見の明が今ごろわかって?」


 うむ。レヴィアもヘスティアもいい感じに酔っているな。

 未開封だった巨大一升瓶の酒もかなり減ってるし。これ、二人だけで飲んだのか?


「フーマ、これすっごいおいしーよ!」


「へえ。どれどれ」


 ミミズを口にするぐらいおっさんには余裕だ。

 ミミズバーガーの都市伝説が流行った頃だって気にせずハンバーガー食えたんだぜ。

 渡された干しデスワームはビーフジャーキーのような感じで、言われなければミミズにはとても見えない。

 筋肉の繊維なのか、やはりジャーキーやスルメのように裂ける。香りも悪くないな。

 繊維が太いからかなり硬い。唾液で湿らせながらしゃぶるようにゆっくりと噛んでいるとその強い旨味が口いっぱいに広がっていく。


「ちゃんと処理してるのか全然土臭くないな。すごく味が濃くて美味い」


「そうよー。お酒に合うのー」


 味としてはスルメに近いだろうか?

 それよりももっと濃い旨味。これ、いい出汁が出そうだ。

 気づけばみんな無言で干しデスワームをしゃぶっていた。


「あ、今日は新しい眷属、ミコの歓迎会だ。警戒当番以外は楽しんでくれ」


「めでたいでアリますな」


「警戒当番とトレントたちにはあとで差し入れしよう」


「ゴ! ゴ!」


 ゴータローとレッドは飲み食いはできないが、眷属の一員ということで宴会に参加してもらっている。二体の秘密が判明したかもしれないお祝いでもあるしね。


「ドリ、ドリ」


「自分たちは食事ができないぶん、宴会芸で楽しませる、だって」


 いつの間にそんなもん覚えたんだろう。

 ……妖精たちが毎晩宴会やっててゴータローもレッドも休みの時それに参加してることもあったな、そういえば。


「このお酒は……神ごろし?」


 ミーアの呟きにラベルを確認するとたしかにそんな銘柄だった。

 物騒な名前だな。おっさんも神だとわかったから余計に。


「神様も悪酔いするぐらい強いお酒ですよー。飲むには耐性スキルが必要なので、持ってない方は止めておいてくださいねー」


 〈毒耐性〉スキルでいいのかな?

 名前だけじゃなくて本当に殺しにかかってる気がする酒だけど、飲むしかないでしょ!!



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