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93話 入国審査

書籍版、発売中です。

こちらともども、よろしくお願いします。


今回、短いです。

「また移民候補が増えていますのね」


 ダンジョンに受入れのための審査を待つ妖精たちの長い列を見てモルガンが呟く。ほとんどは幻夢共和国(ドリームランド)からの避難民だが妖精教国(シャンバラ)からきている者もいるので、国家元首としては思うところもあるのだろう。

 だからといって彼女は移民の邪魔をしたりしないので、この場から排除することはしない。


「ワタクシだってお姉様がおられるこの国に住みたいのに……」


「いや、国じゃなくてダンジョンだから」


 国とかなったら政府とか用意しなきゃいけないでしょ。そんな面倒なことしたくないっての。

 そうなったら無料復活を諦めて、ディアナを復活させて妖精たちの生活は丸投げするしかなさそう。ダンジョンとしては生活する場所は提供するけど、あとのことは自分たちでやってほしい。


「入国審査もあきてきたにゃ」


 ドーム空間で新たに避難してきた妖精のチェックをしていたニャンシーがぼやく。アンコと交代して休憩に入ったようだ。

 彼女にも<鑑定>スキルを購入済み。俺の100分の1バグが適用される小型種でよかったよ。


 避難民としてやってきた妖精はここのキャンプで審査を受けて問題なしと判明してから、うちのダンジョンに受け入れることにしている。

 その間の食料は持参品以外はトリップトレントの蜜や実でなんとかしているようだ。


「そう言うな。面倒なやつがまじってくるようになってるんだから」


「そいつらはちゃんと第2層じゃなくて第1層に誘導してるにゃ」


「見逃さないようにな」


 せっかくダンジョンのトラップも強化してるんだから使用感を確認したいのに、ラット・キングのおかげでこの辺りの生き物はまだ減少したままだ。眷属やゴーレムたちのレベルアップもしづらい。

 そんな時に現れたのが避難民に紛れて侵入してきたあいつらである。


リアン4>インプ三匹、トラップにて撃破しました。残り二匹です

フーマ>わかった。引き続き監視を頼む

リアン4>了解しました


 タイミングよく報告がきたか。

 ムリアンとなったレギオンアントたちにはメイド服を支給したが、現在の主な任務はダンジョンの監視である。監視ウィンドウを常時見張れるようになったのはありがたい。

 もちろん交代制である。元が働きアリだからって働きっぱなしってわけにもいかないでしょ。

 実は働きアリは全部が働いているわけじゃない。種類にもよるんだろうけど働いてないアリも結構いるらしい。

 だからアンコはムリアンたちがサボらないように「ネームドにするのはまだ早いのであります」と言ってきた。働き次第で名前をつけてやってくれと。それまではコールサインでいいと。

 俺としては可愛そうかとも思ったのだが、ムリアンたちにも異論はないようなのでリアン1~12という仮称で呼ぶことになっている。


「今回はインプのようだな」


[【インプ】

 ランク(レア)

 小人サイズの魔族

 角と蝙蝠の翼、長い尻尾を持つ]


 インプはテリーをグロテスクにして蝙蝠の翼を生やしたようなモンスターだ。黒小鬼が瘴気で進化した姿なのかもしれない。

 それが、最近ダンジョンに現れるようになった。

 戦闘力はそんなに高くないが翼があるので飛行可能。飛べる侵入者対策の実験にはちょうどいい相手でもあったりする。


「あいつらの数、増えてきてるにゃ。面倒なのは一緒にいた普通の妖精が気づいていない時なのにゃ」


妖精教国(シャンバラ)でも僅かですがインプやボギーが確認されているのですわ」


「そっちでもか」


「シスターが始末しているのですわ」


 強いなシスター。悪魔相手にお祈りで戦っているんだろうか。

 おっさんは妖精教の神様にされちゃってるけど、そんな戦いの役には立ってないはずだよな?


幻夢共和国(ドリームランド)のダンジョンから沸いてきてるんだろうね」


 悲しそうな表情のミーア。故郷の荒廃が感じられて胸が痛いのだろう。

 初めてこのダンジョンにインプがやってきた時は捕獲して尋問したのだが、その際にドリームランドにダンジョンが発生していることが判明した。しかも邪神のダンジョンのようだ。


「まったく、あの子はなにをやっているのかしら? 夢見がちではあったけれど、国の異変に気づかないほどお間抜けさんではないと思っておりましたのに!」


 モルガンは不機嫌だ。あの子、というのはドリームランドの大統領、マブのことかな。


「モルガン、あなたもここにきてばかりいる状況ではないでしょう。シャンバラを奪われないように注意しなさい」


「お姉様、ご心配をおかけして申し訳ありませんわ。ですが、その対策のため、フーマ様のご加護を強化するためにも、こちらに参じることは必要なのですわ!」


 ご加護って、そんなの与えた覚えないんですけど?

 モルガンが参拝にきてるのは俺じゃなくてレヴィアだよな、どう考えてもさ。

 それとも、俺が意識してなくても妖精神の効果って発揮されちゃってたりするんだろうか?


 ……植物薬は妖精神に関係するような鑑定結果だったっけ。

 俺が特になにもしなくても、妖精たちには影響があるってこと?

 そういや、スケさんが酵母のイキがいいとか言ってたな。関係あるのだろうか。



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