64、広がる疑惑
すいません、私の所にクリスマスが見当たらなかったのですがどなたかご存知上げませんか?
「来たか、アラタ」
「ああ」
「・・・・・・どうやら本気になったみたいだな」
「そうか?」
「ああ、今までのお前はどこか余裕があって飄々としていたからな」
俺達は、いや、ブリフィアに集まっていた冒険者たちはクロード達によってオブジェの前に集められていた。
話がある、ということだが、まあ十中八九これからの事についてだろう。
俺達は孤児院に行っていたため遅くなったが、広場にはもうかなりの人数が集まっていた。
「アラタ達で最後だな。よし、それじゃあ! 今から今後の方針について説明する!」
その声に冒険者たちは一斉にクロードに顔を向ける、しかしその動きはどこか覇気が無かった。
だがそれも無理はないだろう、かなりの人数が負傷していた。
いまだに血の滲む包帯を巻いたもの、顔や手足に痣のあるもの、そして頬を大きく腫れさせた者、様々な怪我が有ったがその者らの共通点は一様に疲労した様子が見られることだろう。
「・・・・・・確かに、今回は俺たちの負けだ。いや、完敗と言っても良いだろう。お前らのやるせない気持ちもわかる」
意外だ、てっきりもっと発破を掛けることを言うと思っていたのだが。
これでは逆効果ではないのか?
「だがそれで良いのか? このままの結果で本当に良いのか?」
・・・・・・良いわけないだろう。
俺はレーナに約束した「助けてやる」と。
ならこのままで良いわけないだろう!
「・・・・・・良いわけない」
誰かが、名も知らぬ誰かがポツリと呟いたその言葉。
しかしその言葉はまるで波のように広がっていき、各々が己の言葉で否定の意を示す。
「そうだ! 俺達はまだ負けていない!」
「「「「「そうだ!」」」」」
「今度は奴らに泡を吹かせてやる番だ!」
「「「「「「「オオォォォォ!」」」」」」」
気が付くと、さっきまで痛みに呻いていた者は呻きを決意の言葉に、嘆いていた者は嘆きを咆哮に変えていた。
「よし! それでは明日改めてここに集まれ、その時に作戦を伝達する! 今日は各々の体や武具の整備をすること。そして今回の敵で何か変わったことに気づいたものはこの後俺のところに来てくれ、今は少しでも情報が欲しい! それでは、解散!」
解散の号令で今、それぞれがしなければいけないことに動き出す。
さて、俺は新技の開発でもするとするか。
「カコはこれからどうするんだ?」
「私は・・・・・・とりあえず今日の宿を取ってくる。アラタの部屋はいる?」
「いや、今日は良い。ちょっとやりたいことがある」
「アラタ君、やりたいことって?」
その声に振り替えるとそこにはクーアが立っていた。
・・・・・・まずいな、今の会話を聞かれていたか?
「おいおい、盗み聞きしてたのか?」
「ごめんなさい、別にそのつもりは無かったんだけどうっかり耳に入ってしまって」
「本当だな?」
「本当よ、それとも何か聞かれたらまずいことでも有るの?」
「・・・・・・いや、やましいことなんて無いさ、ただ単に気持ちが悪いだろ」
「気分を害してしまったのなら謝るわ。けれども本当にそこだけがたまたま耳に入っただけよ」
{カコ、どうだ?}
{・・・・・・うん、嘘は言っていない}
こっそりカコに鑑定での真偽を確かめてもらったがどうやら白らしい。
ならば本当にあの部分だけが耳に入っただけか?
「そうか。すまない、疑うような言い方をして」
「大丈夫よ、気にしてないわ」
「なら何で俺達のところに来たんだ?」
「ちょっと聞きたい事があって」
「聞きたい事?」
「ええ・・・・・・今回の襲撃おかしいと思わない?」
「・・・・・・まあ、確かに町を襲撃するにしても、俺達が丁度出た後なんてタイミングが良すぎる」
「そう、だから正直に言うと私達はいま裏切りの線が濃厚と見ているの」
裏切り、か。
まあ、それならばこのタイミングにも納得がいく。
本音を言うと今それを考えたくはないんだけどな。
「だから私は何か怪しいと思ったことはないか聞きに来たの」
「なるほどな、だがあいにくだが力になれそうにない。すまない」
「大丈夫よ、もとからそんなに期待はしてなかったから・・・・・裏切者は何処に居るかわからないから気を付けてね」
「わかった、ありがとう」
「それじゃあまた明日」
そう言ってクーアは去っていった。
・・・・・・よし、とりあえずは危機は去ったな。
「それにしても裏切者か。カコはどう思う?」
「うーん、まだ分からないな。とりあえず警戒しておく事に越したことは無いと思うよ」
それが無難だろう。
・・・・・・裏切者か、カコの護衛のリヒト球増やさないとな。




