61、混乱
「居合いの型 光渦」
俺が剣を振り抜くと同時に迸った光が黒い槍を引き裂き、その持ち主をも蹂躙せんと黒ローブに迫っていく。
しかし、それは黒ローブの人外じみた反応速度で避けられてしまった。
ちなみに「居合いの型 光渦」は振り抜いた剣と腕をから光の刃を生み出して三百六十度並行に回して周囲を切り裂く、という技だ。
光の刃は全力でやればこの姿でも十メートル位まで伸ばせる。
こんなところでそんなことをやったら大惨事だからやらないが。
それにしても危ないところだった、今まさに殺られようとしているときに駆け付けることが出来た。
あと少し遅ければ彼は死んでいただろう。
「おい! 大丈夫か!?」
「え? あ、ああ、大丈夫だ・・・・・・です」
しかしまた技を使ってしまった。
まあ、これだけ混沌としている場所ならばそこまで問題は無いだろう。
「よし、ならとっとと立て!」
「は、はい! ありがとうございます!」
そう言って名も知らぬ冒険者は足を引きずりながら後方へと下がっていった。
・・・・・・さてと。
「お前らは何者だ! 一体何故こんなことをする!」
「「「・・・・・・」」」
まあ、期待はしていなかったが教えてはくれないよな。
これで教えてくれれば楽だったんだが。
「おい、アラタ! 無事か?」
「ああ。それよりもクロード、どうだった?」
「孤児院の区画は大丈夫だった、むしろ孤児院が避難所になってたぞ。」
「そうか」
良かった、シスター達は無事か。
これで心置きなくこいつらと戦えるな。
「さて」
あとはこいつらだな。
だが今ここで俺と対面している奴等だけでも既に五人。
それと目に見える限りは十五人前後か?
・・・・・・全力で、ならともかく力を抑えながらだと厳しいな。
「はあっ!」
先ずは目の前に居る奴に向かって剣を振り下ろす、当然のようにこれは避けられる。
だがまだだ!
「せいっ!」
振り下ろした剣から光を出しその勢いを利用して無理やり切り上げへと繋げる。
「うっそだろ!」
そんな俺の不意をついた、あり得ないような剣の動きすら避けられる。
そしてそれを見計らったかの様に回りの奴等が一斉に飛びかかってくる。
俺は何とかそれを「居合いの型 乱反射」で迎え撃つがそれすらも避けられた。
「アラタ、加勢するぞ」
「助かる!」
よし! クロードが加勢してくれるのならば少なくとも多対一と言う状況は避けられる。
「こいつらは速いぞ」
「ああ、何だこいつらの人外じみた速さは」
正直に言って光渦はともかく乱反射すら掠りもしなかったのはショックだ。
と言うか乱反射はそんな避けられる様な範囲と速度はしてないぞ。
それを光の隙間を縫うことで避けられてしまうとは完全に想定外だ。
「アラタ、正面から出来るだけ激しく攻撃してくれ。俺が隙をついて横から刺す」
「出来るのか?」
「言っただろう、俺が得意なのは偵察や暗殺だと」
そう言って剣を納め懐からナイフを取り出すクロード。
・・・・・・さて、こいつらは出し惜しみ出来る様な相手じゃなさそうだな。
クロードにバレるのが少し怖いが覚悟を決めるか。




