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「くたばれ、クソ神様」  作者: 無脊椎動物
いざ、ブリフィアへ
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青年の旅

 ◼◼◼と出会って5年、彼女はすっかり大きくなった。

 そしてぼくは未だに少年の容姿のままだ。

 今年でもう二十歳なのにこの前◼◼◼と歩いていたら姉弟と間違われた、解せぬ。


 ぼくはもう青年だ、青年なのだ。

 ・・・・・・本当に二十歳だよな? 青年だと思いたい。


 馬車のごとごとという音を聞きながらそんなことを考える。

 ちなみにこの馬車は前の村で領主の愛娘の謎の病を魔法で治したときのお礼だ。

 ニコが「疾風丸」という名前を付けた、俺はかっこいいと思うんだけどな。


 そしてそのニコだが最初は大人しく座って景色を眺めていたのだが今ではそわそわとしながら立ったり座ったりを繰り返している。

 ・・・・・・まあ、子供ならこの時間は辛いな。


「◼◼◼、あとどれくらいだい?」


「あと一時間位です」


 さすが◼◼◼、聞いてから答えるまでにほとんどラグが無い。

 はっきり言って◼◼◼はすごく優秀だ。たまにぼくが要らないんじゃないかと思うぐらいには。


「そっか、ありがとう」


 ぼくが笑いながらそう言うと◼◼◼もつられるように笑う。

 前よりも彼女はずっと笑うようになった。

 成長したからかな、最初に会ったときよりもずっと感情豊かに、綺麗になった。

 ・・・・・・最近彼女の笑顔を見てドキッとするようになってきたのは秘密だ。


「ええ~、一時間も~?」


「こら、ニコ! ・・・・・・弟がごめんなさい」


 やっぱり辛かったようだ、それにしてもニーナは大人だ。

 まだ12才なのだからもっと子供っぽくしても良いと思うんだけどな。

 この前それを言ったら頬を膨らませて「子供扱いしないでください!」って怒られちゃったが。


「魔法使いさん! こう、魔法でバビューンって飛べないの?」



「ははは、残念だけどこの人数は無理だね。僕一人なら出来るけど君達を置いては行けないだろう?」


「ちぇ~」


「ニコはもう少し我慢という言葉を覚えなさい」


 ・・・・・・◼◼◼だけでなくこの二人も明るくなった。

 出会った時、この二人は◼◼◼と同じように生け贄にされそうになっていた。

 そして何よりも許せなかったのがこの二人の親が一番生け贄にすることに積極的だったことだ。

 もちろんそいつらはぼくが消したが、二人とも気を失っていたからぼくが親を殺したことは知らない。

 二人がもう少し大人になったらその事を話そうと思う。


「どうしたの◼◼◼姉ちゃん?」


「どうしました、◼◼◼姉様?」


 ぼくが考え事をしている間に◼◼◼が二人の話し相手をしてくれたみたいだ。

 さて、二人(特にニコが)退屈しないように何かしないとな。

 まあ、ここは無難に魔法で手品で良いだろう。

 魔法だからタネが無く手品と呼べるか微妙なラインだが。



 ぼくは未だにほとんど何も思い出せていない、思い出せているのは自分の年ぐらいだ。

 この旅は初めは自分探しの様なものだった。

 だがニーナが、ニコが、そして◼◼◼が。

 最近はむしろ思い出さずにずっとこの旅が続けば良いと思う。

 何故か思い出したらぼくがぼくでなくなってしまう、この旅が終わってしまう、そんな気がするんだ。


 疾風丸はごとごとと揺れる、道を進みながら。

 出来れば道のようにこの時間が終わらないことを願う。

 もしくはぼくが思い出してしまうまでか、今はその事がとても怖い。

 もし、その時が来ても◼◼◼は旅で出会った皆は変わらずぼくに。

 いや、ぼくかもしれないぼくに笑ってくれるだろうか。

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