35、探索開始
「なあ、アラタ。昨日この宿についた後の記憶が無いんだが」
「いや、まあ、うん」
翌日、四人で囲んでいる朝食でクロードが切り出した。
クーアさん笑いながらこっち見ないで下さい。
いや、ほんと。まじで怖いので。
あのあとは黒焦げになったクロードを担いで部屋に戻った。
クーアに治療法を聞いたら「いつものことだから大丈夫よ。適当に布団に突っ込んでおいて良いわよ」との事だそうなのでそのまま布団に突っ込んだら一日でこの通りだ。
何で一日で治ったんだよ、お前昨日黒焦げになってたろ。
あといつものことってお前常習犯だったのか。
「さて、私から一つ提案が有るの」
「いや、俺の話を聞いてた?」
「それは忘れましょう。ね?」
「いやそれは「ね?」・・・・・・はい」
「よろしい」
そう言ってにっこりと笑うクーア。
初めて会ったならば安心するような笑顔。
だが今の俺には命の危険を感じる笑顔だ。
深入りしたら・・・・・・殺される!
「本来の予定では二日目から三人で調査をする予定だったの。」
「よっぽどことがない限りな」
「でもアラタ君が来てくれたじゃない? だから調査は二人ずつで別れようと思うの」
なるほどな、それだったらこちらも願ったり叶ったりだ。
下手に一緒に行動すると何かやらかす可能性が有るからな。
しかしどうにかして単独行動に出来ないか考えていたから正直助かる。
「なるほどな」
「その方が効率も良いし、いつものメンバーの方が何か有ったら安全かと思って」
「それについては同意見だな」
「俺も」
「わたしもです」
「それじゃあ、朝食を食べたら始めましょうか」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「さて、二人とはしばらくお別れね」
よし、早速調査を始めるか。
「私達は町の外に出て周辺を見てくるわね」
「じゃあ、俺達は住民に聞き込みをしたりするぞ」
「ええ、お願いね」
「デートばっかりじゃなくてちゃんと調査しろよ」
「デ、デッ!? だから違いますって!」
「うんうん、若い頃はいっぱい青春するもんだぞ。お前もカコちゃんを退屈させるなよ」
「もちろんだとも」
「否定してよ!?」
二人はニヤニヤしながら町の外へと歩いていった。
それじゃあ聞き込みをするか。
そう思い振り返るとそこには顔を赤くしたカコ。
「・・・・・・」
「わ、悪かったって。後で埋め合わせするから許してくれ」
「・・・・・・わかった」
良かった、とりあえずは機嫌を直してくれたみたいだな。
さて、おふざけはこの辺にしてそろそろ真面目に行きますか。
とりあえずは・・・・・・
「ローザ、居るんだろ?」
「あら、見破られちゃってた」
「ロ、ローザさん?」
俺が声をかけると何処からともなくローザが現れた。
恐らく火魔法によって蜃気楼の原理で透明になっていたのだろう。
「それで、あなたがリヒトで良いのよね?」
「ああ。あとこっちからも聞きたいことがある」
「何かしら?」
「ずっと見張ってたのはあんたか?」
「ええ。正確に言うと見張ってたんじゃなくて機会を伺ってたんだけどね」
「けど何故?」
「二人だけとお話したかったからよ」
まあ、確証は無かったがな。
強いて言うなら勘の様なものだ。
ただ一つ許せないことがある。
「話すのに岩を転がす必要が有るのか?」
俺は少し殺気を放ちながら続ける。
対してローザは意にも介してないようだ。
・・・・・・戦うとしたらこの体じゃ、ちと厳しいな。
「岩? 何の事?」
「え?」
どういうことだ?
反応は一つ、そして他には誰もいない。
ならば嘘をついてる? いや、そうは見えない。
「どう思ってるかは知らないけどそれに関してはノータッチよ」
「・・・・・・そうか、すまない」
「別に良いわよ、気にしてないし」
それならばただの偶然か?
まあ、あり得ない話ではないか?
「疑問も解決したところでとっとと行きましょう」
その時の俺は知るよしもなかった。
「行く? 行くって何処にだ?」
これから待ち受けること、
「決まってるじゃない、火の王のところよ」
そしてここに呼ばれた理由を。




