29、思わぬ再開 side other
「さて、どう見るクーア?」
「うーん、そうね……」
長年付き添った相棒と今まさに待ち合わせをしている少女について考える。
カコちゃんとは初めはただの学生として出会った、その時はゴーレムに襲われた被害者として。
唐突に、草原にゴーレムが出た、という通報を受けたがギルドはあまり動こうとしなかった。
なんせあの辺はほとんど魔物なんて出ないような平和な場所だ。
しかもいざ報告者に詳しく話を聞こうとしても見つからず、それどころか十代前半の子供だったということしかわからなかった。
それらも合わさって派遣されたのは俺たちAランク二人と暇だったFからDの冒険者という、ゴーレムと戦うには
いささか不十分な戦力だった。
だがいざ蓋を開けてみると移動の最中に魔術師たちが異常な魔力を感じただの、現場に行くとそこには怪我人やゴーレムの残骸が転がっているだの。
正直カコちゃんについては何か隠し事があると睨んでいる。これについてはクーアも同意見だ。
でなければ突然何者かが現れ助けてくれた、なんてお伽噺みたいな嘘は吐かないだろう。
俺個人としてはゴーレムを倒したのはカコちゃんだと睨んでいる。だが、これに関してはクーアと意見がはっきり別れた。
{あんな異常な魔力が人間に出せるはずがない。出せるとしたらそれこそ共歩者ぐらいよ}
とのことだ。
魔力やらなんやらの事ははっきり言って俺にはさっぱりだ。
ただ一つ言えることは、ゴーレムの残骸からして倒したやつはまともじゃない事だな。
「……今日会ったときは何も感じなかったわね。正直に言って、本当にただの冒険者だと思うわ」
「うーん、そうなのか」
魔術師としてトップクラスのクーアが言うのだ、信憑性はかなりあるだろう。
「もしくは」
「もしくは?」
「私でも一切感知させず、なおかつこちらに隠していることを悟らせもせずにに魔力を隠しているとかね。そんな使い手だと私じゃお手上げだけど」
まあ、それは最悪のパターンだな。
クーア相手ですら完璧に隠し、偽装出来るほどの使い手なら、ほとんどの魔術師はお手上げだからな。
そうなるとめんどくさいことになるな。
なんせただでさえ貴重な魔術師で、トップクラスの実力を備えているにも関わらず、どこにも属してない、そして一番の問題は腹の中が分からないことだ。
「だからこそあのジジイは俺たちに監視を依頼したのか……知り合いじゃなければお断り案件だな」
「しかもギルドマスター権限で私たちの冒険者資格を人質に取ってくるとわね」
はあ、と俺たちは揃ってため息をつく。
「……ま、ネガティブな方向で考えても仕方ないさ。」
「そうね。ただの冒険者か味方であることを願いましょう」
「おっと、来たみたいだぞ」
こちらに向かって走ってくるのはどこからどう見ても普通の少女。
「すみません、お待たせしました」
「ううん、大丈夫よ」
……やはりただの冒険者としか思えない。
これで違ったってんなら、この子は何処かの劇団で主役として食っていけるだろう。
それか俺の目が鈍ったか。
「おし、それじゃあそろそろ行くか」
「はい」
「ええ、そうね」
こうしてクーアと楽しそうに話しながら歩く姿はまるで姉妹のようだ。
さて、鬼が出るか蛇が出るか。
全ては神の導きのままにってか? 神頼みは嫌いなんだがな。
俺は一抹の不安を抱えながら二人の後に続いた。




