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潰える希望 前編

人々の最後の希望


彼らは魔王のもとへと向かう

滅ぼされる世界に住まう人々は


数人の力ある者たちに

希望を託した


各々の得物を握りしめ

魔王が破壊し続ける地へと

彼らは勇歩む


黒く禍々しき炎が蔓延り

焼き尽くされた木々の残骸が残る地は

訪れる者らに絶句させる


「……これが……魔王の所業なのか……」


「……なんて……惨い……」


「……見るに耐えぬ……」


「……生き残っている人は……いないか……」


生命が途絶え、生き残る者は皆無


苦痛と怨嘆が燃えながら

地を踏む者の精神に響き


漂う焼死臭は歩む者を苛ます


直視することすら耐えられぬ絶望の地


そして、その中央に

彼らの目的の存在はいた


遠くからでも分かるその巨体は

頭部は天を点くように生えた一対の角を持った狼

剛力を思わせる四腕は

右下の手に一振りの巨大な大剣を持ち

それ以外の三腕は大鎌のように鋭い爪があり

巨人のようなたくましい胴体は

胸に漆黒の巨大な球体が埋め込まれている

下半身は獣のように四脚であり

巨獣のように太く

硬質だと分かる輪を幾重にもはめている


獣特有の尾は

たくましき全身に反して

細くしなやか


それら全てが黒で統一されている


見るだけでも

心底から恐怖感が湧き上がり

勇んでいた足はすくみ上がる

凄まじい威圧感に襲われながらも

世界に平穏をもたらすために


彼らは魔王のもとへと歩みを再開する



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