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第十七話 【予期せぬ返答】
「久しいな、長十郎」
「う、右近様!?何故こちらへ・・・」
余程驚いたのだろう。
長十郎の声は完全に裏返り、しどろもどろになっている。
「今朝江戸に着いたところだ。長十郎、お主に話があってな。」
「話!?・・・話とは直訴の事でありますか?」
「そうだ。」
「その事なら私の決意は変わりません!止めても無駄です。」
「止める?何の事だ?」
「ですから例え右近様が止めても私は断然行う所存・・・」
「良かろう。」
「・・・えっ?」
余りにも予想外の返答に、長十郎は間の抜けた声を上げてしまう。
「幕閣への直訴の件、お主の好きにすると良い。」
「あの・・・止めないのですか?」
「止めて欲しいのか?」
「いえ!決してそのような事は・・・」
「だが直訴に及ぶ前に行きたい所がある、お主も付き合え。」
右近はそう言うと、風のように部屋を出て行ってしまう。
長十郎は暫し言葉を失なって立ち尽くしていたが、やがて我に返ると急ぎ右近を追いかける。
「右近様!お待ちを・・・一体どちらへ!?」
部屋に取り残された直訴衆の面々は、未だに何が起こったのか分からず、呆然としたままであった。
次回は4月30日(金)20時に公開予定です。




