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魔法大国の花嫁様!?  作者: ルナ
エピローグ
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エピローグ ~魔法大国の花嫁様~

 その日は朝から大忙しだった。

結婚のための衣装やパーティーの料理、

他にもやることがたくさんあり、

メイドや従者たちは走りまわっていた。

 魔法も使えるから、なんとか今日の

午後には間に合うのではないかとのことだった。

 今回はうちわだけのパーティーで、親類や

貴族たちを招いての大規模なパーティーは

後日やるとのことである。

 そんな中、美冬は部屋で待機していた。

胸がドキドキと高鳴るのを感じる。

 結婚なんて、一生自分にはできないと

思っていた。誰も、自分だと嫁には

選びはしないと。ここに来るまでは、

そう自分で思いこんで落ち込んでいた。

「ミフユさま!! お召変えの時間です」

「はい。今行くわ」

 メイドに呼ばれたミフユはすぐに立ち上がった。

ドキドキと胸が高鳴るのを必死で抑え、歩き出す。

 メイドは今まで見たことがない女性だった。

きっと手伝いとして連れて来られた子なのだろう。

 美冬の世界では、結婚する花嫁はウエディングドレスと

呼ばれる純白の花嫁衣装に身を包む。

 こちらではどんな衣装になるのだろうとちょっと

美冬はわくわくしてしまった。

 メイドは物静かな子なのか必要なこと以外口にせず、

ただ美冬の手を引いて歩くばかりだった。

 美冬は話しかけては見たのだが、短い返事だけで

すぐに会話を叩き切られてしまうのだった。

 しばらく重苦しい空気に耐えながら歩いていると、

メイドが立ち止って美冬を振りむいた。

「着きました。こちらです」

 美冬はメイドに手を取られながら部屋に入った。

その部屋は青色系統の色で統一されていた。美冬の目が

ある一点に止まって目が見開かれる。

 淡い青色の豪華な衣装が彼女の目に飛び込んできたのだ。

まるで青空の色を布に写したかのような素敵な色合いだった。

「これが婚儀の衣装でございます、美冬さま」

「きれいね……」

「青はここでは清浄なる色ですから」

 ドレスはフリルやレースで飾られており、袖のないイブニングドレスだった。

その代わり、薄い水色の長い手袋がそばにおいてある。

 最初はフリルやレースやドレスの種類も分からなかった美冬だが、ミステル達との

お勉強で少しずついろいろなことを覚えて行ったのだった。

 と、コンコンとノックの音が響いたので美冬はドレスから目を離した。

メイドの少女が美冬の代わりに戸の外にいる人物に声をかける。

「どなたですか」

「ミフユお姉さま!! 来たよ~」

「ありがたく思いなさいよ来てあげたんだから」

 客人はフィレンカとアクアだった。メイドが扉を開け、二人を

中に招き入れる。美冬はしらなかったのだが、この国ではメイド

だけじゃなくて花嫁に服を着せるのは友人の役目でもあるのだ。

 時間がないと言われ、アクア達は慌てて美冬に衣装を着せ始めた。

ドレスをまとわせ、長い手袋をはめさせ、水色のシンプルな靴をはかせる。

 全ての身支度が整う頃には、もう小一時間が経たとうとしていた。

全身が映る鏡を見ていた美冬が大きく目を見開いている。

(嘘、これが私、なの……!?)

 美冬は元々美人な部類だが、うっすらと化粧を施され、結婚への興奮から

頬が赤らんでいる美冬はこれ以上並ぶもののないほど美しく見えた。

 フィレンカが歓声を上げて美冬に飛びつこうとし、慌てたアクアに首ねっこ

を掴まれて拗ねたような顔になっている。

「ミフユ……カインを頼んだわよ。幸せにしないと許さないんだから」

「アクア、幸せにするのってお兄様の方なんじゃ……むぐっ!?」

 アクアは睨むように美冬を見つめながら言った。笑顔になりながら

美冬はアクアを見つめる。幸せなハズなのに、嬉しいのに、何故か

涙があふれそうになった。余計なことを口にしたアクアの口をふさぎ

ながら、アクアが「泣くな」と怒鳴る。

「化粧が落ちちゃうでしょ!! 晴れの舞台に泣いてるんじゃないわよ!!」

「ごめんね、アクア……」

 と、コンコンと扉が再び叩かれた。今度もメイドが受け答えする。

その顔が何故か興奮したように輝き、顔を赤らめて美冬を前に押し出した。

「カイン王子がお見えですよ」

「カインが!?」

 美冬が扉を押しあけると、そこには水色の正装をしたカインの姿があった。

美冬の着飾った様子に顔を赤らめ、そして手を伸ばす。

「ミフユ……僕の花嫁、準備はできた? 行こう」

「はい……」

 美冬は手袋に包まれた手を差し出した。カインが手を取り、歩き出す。

フィレンカとアクアは幸せそうな二人を温かな目で見つめていた。

 ルーとシーレーンも遠くから見守っている。

こうして、美冬とカインは無事に結婚し、美冬は本当の意味で『魔法大国の

花嫁様』になったのだった――。


 ついに『魔法大国の花嫁様!?』が完結しました。

このサイトの小説で初の完結作品です。

 終わると言いながら長くかかってしまってすみません。

またいつか後日談とか短編とかを投稿したいと思って

いるので、興味がある方はまたみてやってください。

 最後に、この作品を見てくださっていた方、今まで

本当にありがとうございました。

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