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僕が屈辱に耐えながら、ピンハネに商品の代金を貰った、次の日の朝、僕の部屋を訪ねてきたのは、オジサン事、オジーさんである。
ちなみに、訪ねてきた理由とは、ピンハネが別の街の貴族の所へ、昨日、僕から無理やり買い取った商品を売り付けに行く…との情報を伝えに来てくれたからだった。
そして、その情報が正しい事を証明する様に、ピンハネ一行は早々に準備を済ませると、宿を引き払い、イサスの街を出ていった。
ガタゴト、ガタゴトと馬車は大きな音を立てて進んでいく。
なお、馬車が通るその道は、元の世界と違い、ちゃんと整備されていないからか、それとも別の要因があるのか…激しい振動の所為で、身体をあちこちぶつけて痛かった。
ちなみに別の要因とは、昨日、商品を積み込む時に見たが、棒に車輪が付いただけの様なシンプルな作りだった事もあり、振動を逃がす作りではないので、さもありなん…と言った所だろうか?
それから、移動する途中、馬車は何度か休憩をしたが、五時間ほど経っただろうか?
ピンハネ一行は、ウタカンの街へと辿り着く。
道中で出てきた魔物は、幸いにもゴブリンが三匹のみで、それも護衛が簡単に倒していたので問題はない。
そして、ピンハネ一行は、ウタカンの街に着くと、そのまま貴族の屋敷へと向かっていったのだった…。
え?何でこんな説明みたいな語りなのかって?
それは、僕が、その馬車に乗り込んでいたから…だ。
もちろん、僕一人では、そんな大それた事をする事は出来ない…そう、協力者がいなければ…だ。
協力者…もちろん、それはオジーさんである。
昨日の出来事を一緒に体験したオジーさん、彼もまた、今まで部下を部下と思わない様な、ピンハネの行動にキレていたのだった。
そして、この一件は、彼の同僚をも巻き込んで復讐劇が始まった。
その結果、僕はオジーさん達の協力の元、ピンハネの馬車に忍び込みウタカンの街へとやってきたのだった。
ちなみに、残念ながら、僕は街に入る手続きの為、オジーさん達とはウタカンの街の入り口でお別れである。
とは言っても、目的地である貴族の屋敷については場所を教えてもらってるし、泊まる予定の宿屋は聞いているので、オジーさん達との合流は、十分可能なので心配は無用である。
せいぜい、ピンハネと鉢合わせしない様に注意するだけで良い。
「さて、第一段階は無事に終了…っと。」
無事に街へ入る手続きを終え、街へと入った僕は、そう呟くのだった…。
†
街に入った僕は、オジーさん達との待ち合わせの場所へ向かった。
少し分かり辛い場所だったが、目的の場所は直ぐに見つかった。
しかし、待てど暮らせど、一向にオジーさん達が来なかった…。
「う~ん…予定では、もう来てるはずなんだけどな…。」
まぁ、いつもなら、この時間で…って話だったが、それはあくまでも、いつもだったら…である。
今回、ピンハネが取引しようとした商品は、品質は劣るものの、現代社会を生きる日本人にとって、必需品とも言える『トイレットペーパー』である事を考えれば、話が変わっても仕方がないかもしれない…と思った。
それから更に時間が経ち、そろそろ宿屋を探そうか…と思った時、待ち人がやってきた。
「ま、待たせてしまって、すまない!いつもなら、とっくに取引が終わり動けたはずなんだが、ホシガーリ男爵が例の物を偉く気に入ってな…なかなか帰れなかったんだ。
しかも、ピンハネの野郎、例の物を一つ、金貨一枚で売りつけやがった。」
「そ、そうですか…ほ、他には何かありませんでしたか?」
ピンハネは、僕から買う時は十分の一の値段で無理やり買ったのに、十倍の値段で売る付けるとは、なんて酷いヤツなんだろう…まぁ、その分、被害は大きくなるんだろうけど…。
と、僕が、これから行う復讐に少しばかり同情してしまう。
「あとはそうだな…例の物は『私からしか』手に入らないと、豪語していたくらいか?」
「そ、そうですか…その言葉を、言ってしまいましたか…。」
よもや、ここまで思い通りに動いてくれると、笑えるどころか逆に恐ろしくなってくる。
しかし、ピンハネの自己中の所為で、被害を被っている者が多々いるのだから、息の根を止めるのを躊躇する訳にはいかない。
僕は、ピンハネと鉢合わせしない様に、ピンハネとは違う宿を取り、その足でホシガーリ男爵邸へと面会の予約を取りに向かうのだった…。
†
「まさか、『珍しい物』を取引したいと言ったら、直ぐに面会になるとは思わなかったな…。」
いや、確かにホシガーリ男爵は珍しい物好きで、珍しい物には目がないとは聞いていた。
もちろん、情報元はオジーさん達である。
でも、だからって、見ず知らずの怪しい商人を『はい、そうですか』…と、直ぐに屋敷に上げるとは思わないだろう。
普通に考えれば、いくら男爵とは言えアウトである。
まぁ、そのお陰で、無事に潜入出来たのだから、何とも言えない気分になってしまうのは仕方がないであろう。
何はともあれ、豪華な応接室に通された僕は、場違いな気分に凹みそうになりながら、ホシガーリ男爵を待つ事になる。
なお、僕の目の前には紅茶と、お茶菓子が用意されている。
どうやら、本当にお客様として、この場に案内されたようである。
『ガチャッ!』
そんな事を考えていると、部屋のドアが急に開けられる。
まぁ、相手からすれば、自分の家なのでノックをする必要がないだろうが、マナーとしてはどうなんだろう?
何はともあれ、部屋のドアが開けられたのであれば、そのまま座った状態で待つ訳にはいかない。
僕は、慌ててソファーから立ち上がる。
「私はホシガーリ、この家の当主だ。
私は、こうみえて何かと忙しい身でね…待たせてすまなっかったよ。」
入ってきたのは、年の頃は四十歳くらいの、小太りのオッサンである。
ただし、その表情からは、何となくだが優しい雰囲気が伺える。
「い、いえ…何の約束も面識もない僕なんかの為に、貴重な時間を用意していただき、感謝してもしきれません。」
「よいよい、そんな畏まる必要はない。
もちろん、多少であれば不敬罪などせぬから、そう固くならずとも良いぞ。」
と、ホシガーリ男爵が、こちらの緊張を察し気を使ってくれる。
「とりあえず、まずは座るが良い。」
「は、はい、それでは失礼いたします。」
こんな言葉が本当に敬語なのか分からないが、一先ず、言われた様にソファーへと座る。
そして…僕が座るのを確認したホシガーリ男爵は、待ちきれないと言わんばかりに、その口をひらいたのだった…。
拙い作品ではありますが、気に入って頂けたら幸いです。
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