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『ザラザラザラ…。』
「ほ~ら、お腹いっぱいお食べ~。」
あえて狼達を呼び寄せると、僕は木の上からドッグフードを眼下へと撒いていく。
僕のスキル〖レプリカ〗で作り出した食料は不味いのだが、それでも僕が誤って落としてしまったおにぎりを、よほどお腹を空かせていたのか、狼達は美味しそうに貪った。
ならば、同様に、〖レプリカ〗で作り出したドッグフードを撒いたなら、狼達はどんな反応をするか…もしかしたら、お腹いっぱい食べて、僕から離れていくのでは?と思ったのだ。
結果は…見ての通り。
『ガッガッガッ、ガリガリガリ。』
よほどお腹が空いていたのか、我先にと競うが如くドッグフードを食べていく。
あれよあれよと言う間に、作り出した袋が空になり、一袋、二袋と狼達のお腹へと消えていく。
そして、三袋目が空になろうかとする頃、五匹いた狼の内、二匹が、その場からゆっくりと離れていく。
「お?成功か?」
とは言え、木の下にはまだ三匹も残っている状態では、降りる事が出来ない。
その三匹も何処かへ行かないかな~と待っていると、茂みがガサガサッと音を立てる。
出て来たのは、先程離れていった二匹。
すると、今度は、先程まで残っていた三匹が離れていく…。
何処に行ったのか分からないが、交代で何処かへ行ってきたみたいだ。
「なんだかな…こいつら、無駄に頭良いよな…。」
いや、本当に頭が良いのなら、僕を諦めて他の獲物を狩れば良いと思うのだが、狼達にも、何かしらのこだわりがあるのだろう。
とは言え、それでも一定レベルの知能があるのは理解出来た。
もちろん、それが直ぐに役に立つ訳では無いが、それでも貴重な情報と言えるだろう。
それに、普通の獣ならば、お腹がいっぱいだと獲物を襲わない…と、何かで聞いた事がある。
まぁ、異世界で、その理屈が通じるか分からないが、今はそれに賭けるしかない。
僕は再びスキル〖レプリカ〗を発動させると、木の下へドッグフードを撒いていくのだった…。
†
「もう、お腹いっぱいだよな…。」
今まで夢中にドッグフードを貪っていた狼達は、お腹が膨れたのか、木からある程度、離れた所で睡眠を始めた。
こんな場所で全員寝るとか、危ないんじゃ…と思うが、相手は狼、僕の敵だ。
むしろ、狼達が襲われた方が、僕にとっては都合が良いのでは?と思ったが、その狼達を襲った者が、僕を襲わないと言う保証がないので、ここは早急に脱出した方が良いのかもしれない。
「とは言え、これ絶対に気付かれるよな…。」
だが、どう頑張っても木から降りる時は、否が応でも音が出る。
ただ、僕が持ってきていた物は、不注意から狼達に壊されてしまったが、幸運にも僕には〖レプリカ〗があるので、今は荷物の心配はない。
まぁ、残念ながら〖レプリカ〗で作り出した物は、性能やら味が落ちるが、それでも移動するのに余計な重しがあるのとないのとでは大違いである。
『ドサッ』
そんな事を考えていたからだろうか?
あともう少しで地上に降りると言う時に、足を滑らせて、地面へとズリ落ちた。
「いってぇ~~~ッ、尾骶骨打った~!」
あまりの痛さに、極力、声は抑えていたが叫ばずにはいられない。
だが、そんな小さい声も、狼達は見逃さず、直ぐに起き上がると、こちらをじっと見ている。
やばい…急いで木に登らなければ…とは思うものの、恐怖と痛さの所為もあり身体は言う事を聞かない。
そんな僕の気持ちなど考えるはずもなく、狼達は少しずつ近付いてきて包囲網を狭めてくる。
ぶっちゃけ、今から急いで木に登ったとしても間に合わないだろう。
「うん、思えば短い人生だったな…。」
今までの思い出が、走馬灯の様に頭の中をよぎる。
だが、いつまで経っても、狼達は襲ってこなかった。
いや、それどころか…。
「ちょッ!やめ、こしょぶったいってばッ!」
近付いてきた狼達に襲われる!そう思った僕は反射的に防御態勢を取る。
だが、狼達は僕の身体に飛びかかって来たと思うと、僕の顔を『ペロペロ』と舐め回す。
ただし、狼達の身体は大きい為、押し倒されてしまってはいるが…その行動は、隣の家のポチの行動とそっくりである。
どうやら、僕が大量の餌を与えた事で、僕=餌ではなく、僕=餌をくれる者と言う図案が狼達の中に出来たみたいだ。
その為、僕は襲われずに済んだ様だ。
「た、助かった…。」
狼達は気が済んだのか、今は僕の周囲で寝転ぶようにして待機している。
ハズレスキルと言われた〖レプリカ〗だが、僕の命は〖レプリカ〗によって救われたと言えよう。
「ってか、誰だよ〖レプリカ〗をハズレスキルなんて言ったヤツ!
使い方によってはチートスキルじゃん!」
僕は思わず、そうツッコミを叫ばずにはいられなかったのだった…。
拙い作品ではありますが、気に入って頂けたら幸いです。
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