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「まぁ、待てって!俺らとちょーっと、イイコトしようって言ってるだけだろ?」

「そうそう、良いじゃねーか、お互い気持ちよくなるし減るものじゃないんだからよー。」

「まぁ、逆に増えちまうかもしれないけどな!」


 と、ゲスな笑い声がどこからか聞こえてくる。


「い、いやッ!!誰か助けてください!」


 そんな助けを求める女性の声を聞き、僕はそちらへと目を向ける。

 そこには強面の大人の人が、美少女の手を掴んでいるではないか。

 あの子は確か…河合さんッ!?


 そう思った瞬間、僕は…。


「そ、その手を離せ!その子、嫌がってるじゃないか!

 それ以上その子に触れるなら、警察を呼ぶぞ!」


 と、我ながら何とも馬鹿な事をしでかしたと思う。

 学校帰り、いつもの帰り道で遭遇した、ちょっと危険な場面。

 いつもであれば、人助けなどする様な人間ではないにも関わらず、今日に限って助けようとした事を後悔する。


「なんだ、てめぇーは!」


 男は怒鳴るが早いか、直ぐ様、僕の顔面を殴り付ける。

 当然、そんな攻撃を喰らうつもりはないのだが、いかんせん身体は思う様には動かない。

 と言うより、一歩も動けず、『ボコッ』と言う音と共に、男の放った拳はモロに僕の左頬を捉え、僕は吹き飛ばされた。


「グハッ!」


 何とも語彙力(ごいりょく)のない言葉だ。

 いや、本当に殴られて、こんな言葉を言うヤツがいたのに驚きだ。

 しかも、その言葉を吐いたのが自分だって事に驚きを隠せない。

 だが、そんな事よりも…。


「いって~~~!」


 そう…殴られた頬がズキズキ痛むだけじゃなく、火傷でも負ったんじゃないかと思う位、熱いのだ。

 しかも、それだけじゃなく足はガクガクするし、身体に力が入らない。


「うるせーんだ、ボケッ!!」


 痛いんだから仕方ないじゃないか!と思うものの、その声が気に食わなかったのだろう。

 『ドゴツ!』と言う音と共に、腹部に追撃が入る。

 なんと言う事はない、追撃は腹部への蹴り上げである。

 だが、そんな攻撃も僕の意識を刈り取るには十分だった様で、僕はその場で気を失った。



 『ピーポー、ピーポー』や『ウー、ウー』と言う様なサイレンの音が遠くから聞こえてくる。

 そんな救急車やパトカーのサイレンが五月蝿いな~と思い、僕は目を覚ます。

 そして、ここが、いつものベッドの上ではなく硬い地面の上だと言う事に気が付く。


「そ、そっか…僕は…。」


 ガラにもなく女の子を助けようとして、速攻でノサれた事に気が付き、憂鬱(ゆううつ)な気分になる。


「もう大丈夫だから、そんなに泣くなって!」

「だ、だって光輝(こうき)、すっごく怖かったんだよッ!」


 そんな声のする方に倒れ込んだまま視線を向ける。

 そこには、先程の女の子と抱き合うイケメン…しかも、その周りには先程、僕を殴り倒した強面の大人が二人。

 どうやら先程までの僕同様、意識を失っているようだ。


 そんなイケメン&美少女な二人を見ていると、物語のヒーローとヒロインの様で凄く羨ましく思う。

 それに引き換え、僕は…うん、モブがお似合いだな。

 ってか、先程の男達が倒れているって事は、あのイケメンが二人を倒したのだろうか?


 でもまぁ、何の役にも立たなかったけど、それでも女の子が無事なら良かったじゃないか…。

 この際、自分の情けない姿は考えないようにして、モブはモブらしく、もう少しだけ、このまま倒れておこう。

 ズキズキと痛む頬を、目からツーと流れる熱い物は気の所為だと自分に言い聞かせ、僕は気配を消すことにした。


「あ、そうだッ!あの人ッ!!」

「あの人って?」

「私を助けようとして殴られてた人ッ!!」

「あー、それってそいつ(コレ)の事?」


 ん?それって僕の事?

 少し休んでいたからか、なんとか動ける様になったみたいで、ズキズキと痛いものの何とか身体を起こす事が出来た。


「だ、大丈夫ですかッ!?」

「えぇ、まぁ…一応、大丈夫かと…。」


 身体を起こす事で、女の子は僕に気が付き駆け寄ってくる。

 ぶっちゃけると、先程までボコボコに殴られ倒れていた状態を見て大丈夫だと思うなら、頭のネジが数本抜けているのでは?と心配ではあるが、女の子に心配を掛けない様に、ここは大丈夫だと伝えようと思う。


「河合さん、大丈夫だよ?さっき救急車を呼んだし。」

「そ、そう?それなら…。」


 なんと言うか、川合さん(女の子)と違い、光輝と呼ばれたイケメンの僕に対する扱いが酷い気もする。

 だがヒーローと違い、そこら辺のモブでは仕方がないのかもしれないな…そんな事を考えていると、急に僕達の身体が光りだした。


「な、なんだコレッ!?」


 イケメンが騒ぎ出す。


「う、嘘ッ!なにこれッ!?」


 女の子も騒ぎ出す。


 そんな二人を余所目に、僕は光ってるのが自分達だけじゃなく、同時に地面も光ってるに気が付く。

 そして、僕はそれが何なのか気が付いた。


「これって…もしかして魔法陣?」


 そう呟いた瞬間、僕達三人の姿は、その場から消え去るのだった…。

拙い作品ではありますが、気に入って頂けたら幸いです。

また、感想や誤字報告等ありましたら、励みになります。

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