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「せ、成功です!王様ッ!!」
その言葉の後に、何人もの『おぉーーーーー!』と大音量でハモった声が聞こえた。
その後、僕達の目の前に一段高い所に座っている初老の人が右手を少し上げる。
すると、先程から大音量で叫んでいた声がピタリと止んだ。
「ふむ…あ~、汝らに告げばならぬ事がある。
驚かせてしまったかな?ここはそなた達の住んでいた世界と異なる世界、いわば異世界である。」
でしょうね!正直、魔法陣が現れ、そして目の前に見知らぬ人達がいるのだから、もはやテンプレである。
だが、そんなテンプレでも、改めて驚く事はある。
そう…それは、僕達が先程の姿のまま、この場に現れていると言う事…。
つまり、ヒーロー&ヒロインは立っているが、流石に身体を起こしたとは言え、僕は座り込んでいると言う事。
何が言いたいかと言うと、この王様…僕の状態を無視して話を始めたのだ。
「異世界…ですか?確かに見た事もない光景ではあるけど…。」
「だ、ダメだよ光輝君、そんな偉そうな口聞いちゃ…。」
確かに、王様相手にそんな口の聞き方はNGだから、河合と呼ばれた女の子の言う通りなのだが、論点がズレている。
そもそも、僕達は異世界に召喚されたのだ。
もしも、異世界召喚がテンプレであるなら、魔王と戦え…とか、戦争の道具として召喚された…と考えるのが普通だ。
それに、元の世界に帰れるかどうかも怪しいのだ。
「いや、河合さん…だってコレって、要は異世界とやらに誘拐されたって事じゃん?
こいつら犯罪者、俺等、被害者…しかも、この世界の人間じゃないんだから別に口の聞き方なんて、どっちでも良くね?」
「それはそう…ううん、それとこれとは話は違うと思う!」
この場合は女の子の言う通りだと思う。
そもそも誘拐されたのであれば、犯人を刺激しても良い事はない。
犯人が逆上して人質を殺すと言うのは、ドラマではテンプレの一つだ。
だが、そんなやりとりも中断される事となる。
「その件に関しては、本当にすまないと思う、心から謝罪しよう。
だが、我々にはさほど猶予が残されていないのだ。」
「お、王様!なりませぬ!この様な何処の馬の骨とも分からぬ者達に頭など下げては!」
謝罪のつもりか、王様と呼ばれた人物が少し頭を下げる…すると、すぐに隣りにいた人が止めに入る。
おいおい、もしかして、それで有耶無耶にするつもりなんてオチはないだろうな?
しかしそんな茶番に反応したのが河合さんである。
「王様、お顔をお上げください!」
河合さん、お顔をお上げくださいって言ったけど、殆ど下げてないからね?むしろ、上がったままだからね?
と、ツッコミ満載ではあるが、更に話は勝手に進む。
「まぁ、謝罪はどうでも良いんだけどさ…結局、俺達に何の用な訳?」
うん、イケメン君も、もう少し空気読もうな?
「おぉ、そうじゃった…お主達を召喚したのは他でもない。
今現在、人族と魔族は戦争をしておってな…その中でも我がマルガーリ国は、かなりの劣勢。
そこで目を付けたのが古の秘術、その名も『勇者召喚』の儀式なのじゃ。
そして、我々はついに多大な犠牲の元、『勇者召喚』を成功させ、お主達を呼び寄せたと言う事なのじゃ。」
「つまり…簡単に言うと、あんたらの代わりに僕達に戦えと?
でも、それって僕達にメリットありませんよね?
それに、当たり前の事を聞きますが、僕達は元の世界に帰れるんですか?」
「そ、それは…。」
質問に対して吃る王様…そりゃそうだ、この手の相場として、戻る事が出来ないのはテンプレである。
「もちろん、戻る手段は存在する…が、残念ながら、今すぐとはいかない。
こちらとしても、そなた達を直ぐに帰してやりたいと思わなくもないが、如何せん、肝心の魔石がないのでな。」
と、先程、王様に頭を下げさせるのを止めた男が、説明をする。
しっかし…この男、本当に何者だ?
そして、僕は未だに殴られたダメージの所為で座ったままであり、そのまま放置されていたりする。
こいつらに不敬罪とか言われなければ良いが…と、内心、ビクビクである。
「魔石…ですか?それは何処に?」
「ふむ…。」
ん?例の男が少しニヤついた気がしたのは気の所為か?
「魔石か?魔石自体は、普通にそこら中にあるぞ?
ただし…残念な事に、貴様らを元の世界に戻すには、もっと強力な魔石が必要なだけだ。」
…なんで、この男は、こんなに偉そうなんだ?
「…それはどこに?」
そんな態度に、イケメン君が不満げに質問する。
「その魔石は…魔王を倒せば十分な魔石が手に入るだろう。
しかし、今の貴様らでは魔王どころか、我が国の兵士にすら勝てんだろうなー。」
「なん…だと…。」
プルプルと震えるイケメン君の手…。
まぁ、確かに、そんな風に言われたら、誰だって怒るよね…。
「そもそも、貴様達は自分が何者かも分かっていないのでないか?」
「それは…どう言う意味だ?」
「つまり…だ、我々は貴様らが何者か知っている。
しかし、肝心の貴様らは、その事を知らない…滑稽だと思わないか?」
つまり、ここでもテンプレがあると言う事か。
ちなみに、僕はテンプレに次ぐテンプレだった事もあり、こっそりと確認しており、自分が何者かは既に確認済みである。
「…それを知るにはどうすれば良い?」
「簡単な事だ、『ステータスオープン』…その言葉で、お主ら自身が何者か分かるであろう。」
そう、確かにそれで分かるだろう…ただし、『ステータスオープン』は、相手の罠である。
そんな事をしなくても、『ステータス』と心の中で念じるだけで良い。
そうすれば、他の誰にかに見られる事なく、自身のステータスを見る事が出来るだろう。
「そうか…『ステータスオープン』!」
そこに顕れるのは、イケメン君…光輝のステータスである。
案の定、イケメン君のステータスが公開される。
普通に考えれば、相手にステータスを公開するのは、不利になると言うのに…だ。
「なになに…『勇者:Lv1』か、他の数値はレベル1にしては若干高い様だが、勇者ならば当然か?」
「ふむ…確かに能力値は高いが、それでも、やはり我が国の兵士に劣るな。
とは言え、レベル1でその能力値…か、流石は勇者と言う所か…。」
うへ~、流石は勇者様、僕のステータスの約10倍ですか…。
「え、えっと…私も確認した方が良いのかな?」
「そうだね…多分、みんなも待ってるよ?」
「う、うん…『ステータスオープン』!」
そこに映し出されたのは…。
「「「おぉーーーーー!」」」
元々イケメン君が勇者なのは分かっていたのだろう。
イケメン君がステータスを公開した時は驚かれなかったが、どうやら彼女のステータスは予想外だったみたいで、歓声が上がる。
それもそのはず、彼女のステータスには『聖女:Lv1』と書かれていたのだ。
「よもや、『聖女様』までも一緒に召喚されていたとは…。」
と、王様もビックリしている。
まぁ、個人的には言えば、勇者と聖女はワンセットだと思う。
今までのテンプレで言えば、彼女が聖女でも賢者であったとしても不思議ではないのだ。
そして、そのテンプレは残念ながら僕にも当てはまる…そう、悪い意味で…。。
「して、そこの者…お主はどうなのじゃ?」
誰も何も言わないから、僕に気が付いていないかと思ったが、流石に、そんな都合良くはいかないようだ。
「ぼ、僕ですか?」
「そうじゃ、お主以外、誰がおるのじゃ?」
ですよね~…正直、僕のステータスは見せたくない。
だが、流石にそう言える雰囲気でもないし、それは許されないだろう。
仕方ない、流石に直ぐに命を取られる事はないと思うので諦めるとしよう…。
「あ、あまり期待しないでくださいね…ス、『ステータスオープン』。」
その言葉により、僕のステータスが、みんなの前に顕れたのだった…。
拙い作品ではありますが、気に入って頂けたら幸いです。
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