79話 靄、80話 不思議な家
不思議な家、完結です。
79.靄
出張から帰ると、うちの近所一帯にもやがかかっていた。留守番を頼んだ妹に聞くと、2,3日前からだという。
「ほら、神社の森から発生しているのよ」
外に出て、妹が指さした先に神社の森があって、そこから濃い靄が立ち上っているのが見えた。
「初めてね」
「うん。でも、ちょっと幻想的で私は好きよ」
妹が笑ってそう言った。
「神社に行ってみる?」
「今日はもう遅いから、明日行こうよ」
「そうね」
私は何故か無性に神社に行きたくなったけれど、もう夕方だ。私は妹と一緒に家に入った。
80.不思議な家
姉が消えた。
朝起きると、姉はすでにいなかった。
犬は悲し気に遠吠えをして、猫は姉の椅子の上で丸くなっていた。インコは落ち着きなく鳴いていた。
私は神社へ向かった。神社へ続く階段を登った。靄がかかっていて、ひんやりする。
神社の境内で、姉はただ上を見上げて静かに立っていた。
「姉さん」
私の声に振り向いて、微笑した。私が姉に近づこうと一歩踏み出したところで、姉の姿は薄くなって、駆け寄った私の手が触れる前に、溶けるように大気に消えた。
「おばあちゃんも、そうだったな」
思い出して、少し泣いて、実家に戻った。
この家は、私を新しい主に選んだのだ。
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