第3話 軍隊生活の始まり
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実際のところ心配は杞憂に終わった。訓練は楽だった。まず訓練ルームに連れていかれ、整備兵課程のシミュレーションを受けた。
整備兵課程といっても航宙士学校の時のような道具一式背負わされ命綱一本で宇宙に放り出されることなく、修理ロボットをコントロールして修理を行うもので、最初は少し戸惑ったがなれるとすぐに思い通り動かせるようになった。
いい気になって次々課程をクリアしていったら、1時間ほどで終わってしまった。
訓練ルームの監督官はあまりに早く課程を終わらしたことに驚いていた。
訓練ルームはいつでも使用できること、いろいろな訓練課程があり好きに挑戦できること、達成度によってより上位の職種につけることなどの説明を受けた。
そのあと、配属先の整備班に連れていかれた。
「私は整備班第5分隊隊長のミサ軍曹である。おまえは今後本班にて訓練兵として任務に従事してもらう」
「はい」
「おまえといっしょに訓練する仲間を紹介する。アイ訓練兵」「よろしく~」「マイ訓練兵」「よろしくな」「ミィ訓練兵」「よろしく」
アイさんはフワフワとしたかわいらしく、マイさんはスポーティな感じの元気な感じで、ミィさんは知的で冷たい感じの女の子だった。
「ヤタ訓練兵です。よろしくお願いします」
「任務の詳細はミィ訓練兵達から聞くように。ミィよろしく頼む」「了解しました」軍曹は出て行った。
「ミィ先任殿よろしくお願いします」
「何その古臭い言い方。戦争映画の見すぎじゃないの。本物と映画とは違うの!」
そうあきれた調子で言うと「はあー。とんだお荷物背負わされたわ。男が兵士なんて務まるはずないじゃない。そんな奴に任務を教えろなんて、班長殿も何を考えているのかしら」
なんかこの人も男のことを差別しているな。まあ、逆らっていいことないからなと、私は無言でいた。
「人の言うこと無視するなんてあんた人を馬鹿にしているの?」いきなり金切り声でわめき始めた。
「あ。申し訳ありません」いかん、怒らしてしまった。
「軍を馬鹿にしているの?第一男なんかが軍隊で勤まるはずないでしょう!」
「はあ」また、無視している言われて切れられると困るので、曖昧な返事をした。
「あんたなんかにかける時間なんてないんだから。勝手に覚えなさい。でも私に迷惑かけたら承知しないから」早口でまくし立てると、ミィは足早に立ち去って行った。なんか、すごく短気な人だな。
「あはは。ミィを怒らしたみたいだな。いつもはこんなに短気な奴じゃないんだが。男が兵士の訓練を受けるのが気に食わないだろう。ごめん、助けてやりたいが、おれも任務があるから行くわ。あとアイよろしく」マイ訓練兵は申し訳なさそうな顔をして出て行った。
「ミィちゃんはエリートだからな~。いろいろ忙しいんだよ~。マイちゃんも陸戦隊の訓練があるからね。代わりに私が教えるね~」
アイ訓練兵は申し訳なさそうに言った。
「ありがとうございます。アイ先輩」さっきより砕けた口調で言った。また怒らせてはまずいからね。
「アイでいいよ~。ヤタ君」ニコッと笑って言った。うん、かわいい。
「じゃあアイさんで」
「うん。それじゃ説明するね~。うちら整備班は5つの分隊に分かれていて~5時間づつ勤務するんだ~。勤務内容は艦の破損個所を見つけて修理ロボットを使って修理するんだ~。勤務が終わると次の勤務まで自由時間で~寝てもいいし~ご飯食べてもいいし~自由なんだよ~」まったりとするしゃべり方で私に説明すると、「それじゃ艦内を案内するね~」と言って、私の手を取って歩きだした。
なんかとっても雰囲気がまったりとしているひとだ。そう思いながらつないだ手は、小っちゃくてとてもかわいい手だった。
「ここ食堂ね~。ここからプレートを取って~好きな食べ物の前にいって~ボタンを押すと~食べ物が出てくるんだ~」
「ここ運動場ね~体を動かすのね~でも私あんまり使わないからよく知らないの~。マイちゃんここよく使っているから後で教えてもらうといいよ~」
「ここ図書館ね~使い方は席に座わると司書プログラムが答えてくれるよ~」
館内の場所を回りながらアイさんは説明してくれた。手はつないだままだった。
「ここシャワー室ね~ちょっと使い方特殊だから詳しく教えるね~」
そういうと手をつないだままシャワールームに入っていった。
「ここで服を脱いでね~」と言われたので、アイさんの手を放し、おもむろに服を脱ぎ始めた。脱ぎ終わって、ふと見ると、アイさんも服を脱いでいた。
「えーとアイさん何をしているのでしょうか」
「服着たままじゃシャワー使えないよ~」
「そのとおりなのですが、出会ったばかりの男の前で脱ぐのはいかがなものでしょうか。」
「男の人の前で裸になると問題あるの~」
そうかこの世界は男女比がすごく偏っているので、男に対する羞恥心が欠落しているのか。
「早く脱いで~説明できないよ~」
アイさんは男の前でも全く臆することなく、全裸になった。
「ちょっと待ってください、アイさん。それ以上は勘弁してください」
「?」アイさんは立ち止まって首を傾げていた。
さて、軍隊生活の長い若い男がかわいい女の子の裸を見たらどうなるか。
すなわち一部が大変なことになります。とにかく隠さなきゃ。急いで隠そうと前かがみになったら、「どうしたの~大丈夫~」とアイさんが私のそばまで近寄ってきました。
私は思わず逃げ出してしまいました。
後からアイさんに叱られました。「せっかく教えているのに何で逃げるの~」
私はいろいろ説明して何とか理解してもらったのですが、正直アイさんの裸が目に焼き付いて離れなくなってしまった。いかんいかん、無念夢想。
シャワーの浴び方については後日利用マニュアルを作ってもらいそれを見ながら入った。ちなみにシャワーは水ではなく、全身に粘性の高い泡のようなものを吹き付け、それを暖かい空気で吹き飛ばすものだった。最初はなれなかったが、慣れてくると水よりも爽快できれいになった。
ただ、困ったことに、ここのシャワー室には男女の別がなく、というか男が入ることを考慮していないようで、私が使用していても気にせずほかの女性が入ってくる。そのたびに出ていくわけにもいかないので、私は隅っこで浴びるようにし、女性が入ってきてもそちらを見ないように心掛けた。
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