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とある世界、魔法が存在しているその世界で、森の中を歩く少年少女がいた。
「姉御ー、ここら辺にしておくッスかー?」
少年の方はギル=ゼムト。短い緑髪で鎧を着こんでいる。
「うん。いーよー。ここら辺で一休みしようか。」
少女の方はゆうりんか かゆ。金髪のポニーテールで軽装である。
「じゃあ俺は辺りをちょっと見回ってくるッス。ついでに食料も調達してくるッスよ。」
「りょうかーい。じゃあたき火でも焚いて待ってるよ。」
ギルは手を振りながら周りの森を見回りに行った。
「ふ~む。とりあえず依頼は問題なく終わってるしー、夕方近くには帰れるかな。」
現在は昼頃で森の中でもまだ明るい状態である。かゆはたき火を焚いて付近の倒木に腰をかけて足をぶらぶらしていた。
「ん?」
足元に小さな影が映った為、かゆが空を見上げると、手紙が一枚降って来ていた。
「手紙?誰かの落とし物かなぁ。でも空から落ちてくるってかなり珍しいと思うんだけど。」
かゆは手紙を手に取り宛先を確認する。
「あれ?私あて?」
かゆは不思議に思いながらも手紙の封を剥がし中を確認しようした。すると手紙の中からまばゆい光が放たれ辺り一面が光に包まれた。
「何…これ…!?」
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「姉御!?」
少し離れていたギルは異変に気付き直ぐにかゆの元に向かった。しかし、光が収まったその場所に残されていたのはパチパチと鳴り続けるたき火だけであった。