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「あれ?私、さっきまで何やってたっけ。」


目の前には校門。端の方には狭間学園の文字。


「狭間学園?うっ!」


頭に鳴り響く音。その音が頭に何かを入れ込んでいく。


(うぐっ、何これ?頭の中に直接?私はこの狭間学園に転入してきた?そして今日がその転入日?そっか。そうだったかな。)


頭の音に従って、かゆは学園へと入って行った。


-------------------------------------------------------------------------------------


数週間が経った。狭間学園高等部に入ったかゆはクラスでごく普通に過ごし、授業が終われば近くにあるアパートで寝て過ごしていた。ずっと何かが欠けていると感じながら。


(とても大事な事を…。とても大事な時間を忘れている気がするんだ。うぐっ!)


頭に音が響く。思い出すことを拒むように。


(この音…うるさいなぁ。)


耳を塞いでいても響く音にかゆはうんざりしていた。しかし…


(絶対に…諦めないから。)


かゆは思い出そうとする事をやめなかった。


-------------------------------------------------------------------------------------


そして数日後、いつも通り学園に通っていたが、今日は一つの発表があった。


「皆さん、今日から部活動への参加が可能になります。入る部活動が決まり次第報告してください。新しい部活を作りたければ何人か集まって報告してください。」


(部活動?って何だろう?)


かゆは特に理解はせずに部活動のリストを確認した。すると…


(…ゲーム部?)


その文字にやけに目が吸い込まれた。この部活に何かがある。そう感じたのだ。


「先生。私はこの部活にします。」

「ゲーム部ですか?ゆうりんかさん、その部活動は呪われているという噂がありますが大丈夫ですか?」

「呪われている?」


先生の話では最近部活動のメンバーが皆行方不明になっており、それ以来部室に行くと幽霊が出るのだという。


「そう言う事なら、なおさら興味が湧きました。」

「本当に大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫です。未知を経験してこそ、冒険者ですから。」


先生がぽかんとしている所を見て、改めて自分の発言に気付く。


(私、今なんて言った?冒険者って?)

「先生!私早速部室に行ってきます!」

「ゆうりんかさん!?気を付けて下さいね!」


かゆは教室から飛び出してゲーム部の部室へと急いだ。


(ゲーム部。きっとそこに何かある!)


かゆは自分の考えを疑わなかった。それはかの世界で英雄と言われた彼女の勘でもあった。


(ここだ!)


部屋の前にかかっているゲーム部の文字。かゆは噂の事もあり、大いに警戒しながら扉を開けた。すると中から半透明の物体が揺れながらも飛んでくる。それをみたかゆは即座に手に短剣を持ち、その物体を切りつけた。半透明の物体は簡単に切れ、かゆの横に落ちて行った。


「これは?」


半透明の物体はただの水になっていた。とてもただの水では無かったが。不思議に思うも納得している自分がいる事に、そしていつの間にか手に短剣を持っている事に驚いたかゆに一人の人物が話しかけてきた。


「いらっしゃい。ゆうりんか かゆ。待っていましたわ。」


その人物は白いローブを着た年齢は同じに見える少女がいた。しかしかゆにはその少女が纏う気配が普通の人のものではない事に気付き警戒を緩めなかった。


「あなたは誰ですか。」

「警戒は不要ですわ。私はあなたに依頼したい事があるだけですの。だから世界を跨がせてまで呼ばせて頂きましたの。まあ依頼の前に、まずはあなたの規制を解きましょうか。」


少女が手に持っている本を開くとページが光り始め、そしてその本を閉じたその時、かゆは頭を何かで殴られたかのような錯覚を覚えた。しかし、少しすると頭の中が晴れ渡るように全てを思い出した。


「そうだ、私は手紙を開いたらこの学園にいたんだ。」

「無事思い出せたようで良かったですわ。」

「…ギルは!?」

「一緒にいた彼の事なら心配ありませんわ。無事依頼を報告したみたいですわよ。急にいなくなったあなたの事を探し回っているようですけれどね。」

「早く戻らないと!」

「その為には私の依頼を聞いて頂かないといけませんわ。」


かゆが少女を睨みつけるも少女は何でもないように話を続ける。


「あなたに助けてほしい人がいるの。」

「…なんで自分で助けに行かないの?」

「私は長い間ここを離れる訳にはいかないの。怒られちゃうわ。」

「あなた程の人が怒られる事を恐れるとは思えない。」

「それが恐れるのよ。私はね。」


少女は困ったような顔をする。かゆは少女の様子を見て少なくとも嘘をついているようには見えなかったため話の続きを促した。


「ある世界に囚われてしまった女の子がいるの。その子を助け出して欲しいの。まぁ、あなたに頼むことは簡単ですわ。眠っている子を起こして連れ帰ってくれるだけでいいの。」

「捕まっているとかじゃなく?」

「えぇ。眠っているだけ。」


簡単であると言われてかゆは本当に疑問に思った。


「それだけの事なのに何故私を?」

「…あなたなら大丈夫だと思ったからよ。」


少女のその表情からは何も分からないが色々考えている事だけは伝わってきた。


「わかった。その依頼受けるよ。」

「ありがとう。お願いするわ。」


少女は礼を言うと、手元に本を出し、先ほどと同じ様に本を閉じた。すると部屋の中に円形の光が現れた。


「これは?」

「簡易のポータルよ。この先がその女の子がいる世界に繋がっているの。」

「そうなんだ。そういえば起こすのに条件とかはないの?それに信用も得ないと逃げられるかもしれない。」

「それもそうね。その時はこう言えばいいわ。『ゼロから頼まれた』と。きっとそれで察してくれるわ。」

「わかった。あなたの名前は?」

「そういえば言っていなかったわね。私はしのうた ゼロ。あの子に作られた人造人間とでも言えばいいかしら。」

「人造人間!?」


ゼロが人造人間であることに驚くと同時に、錬金術師のギルドマスターが知ったら爆発するのかなぁとか思うかゆであった。


「帰りはそちらで何か大きな魔法でも使ってくれれば座標特定してポータルを出すわ。さぁ、行って。あの子をよろしくお願いするわ。」


かゆはゼロに見送られながらポータルを潜った。


「あ、最後に一つだけ。」


ポータルを潜った後のかゆはポータル越しにゼロの方を向いた。


「自分の時間意識はしっかり持ちなさい。そうしないと、もしかしたらあなたでも飲まれるかもしれないから。」


真剣な顔をしたゼロの姿はポータルが閉じると同時に見えなくなり、その言葉の意味はかゆには分からなかった。

キャラの名前はひらがなで表記していますが、一部はちゃんと漢字です。

人物紹介でも作ってそこに漢字は表記しようと思います。

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