第21話 パーティー
「モコモコ狩りのクエストを受けたいのだが」
そう受付に話すと、受付嬢は微妙な表情をする。
何かあったのだろうか?
「申し訳ありません。西の森関連のクエストは、今は全て鉄級パーティー3人以上に限られているんです」
「低ランク用のクエストは無いという事か?」
「実はあの森にキメラが出る様になったらしくて。最低でも鉄級3名以上いなければ危険という事で、それ以下の冒険者の方にはお断りをさせて貰っている所なんです」
「そうか……」
あんな犬っころの10や20、俺の敵ではない。
だが向こうも仕事だ。
言っても仕方のない事だろう。
別の仕事を――そう考えていると、後ろから声を掛けられた。
「鉄級2名に銅級3名じゃ駄目ですか?」
エルだ。
カウンターに近づいて来ていたのは気づいていたが、此方の用が済んでいないのにそれに割り込む様な真似をするとはな……
どうやら思ったより礼儀知らずの様だ。
「ギルド的には銅級3名で鉄級同等の強さと扱われますので、問題ないかと」
ギルドの判定では、単純に3名で1等級上の強さと判断される。
銅級3名なら鉄級1名と同等。
鉄級3名なら銀級1名と言った感じだ。
勿論これは戦闘能力だけを指す指標なので、討伐外のクエストではまた話は変わって来るが。
「じゃあモコモコ討伐を受けます。鉄級はあたしとウーニャ。銅級はそちらの3人の計5名パーティーでの登録でお願いします」
そちらの3人の部分で、エルは俺達の方を見る。
どうやら今のは順番ぬかしではなく、俺と組んでクエストを受ける話だった様だ。
クエストが受理されたので、カウンターから離れ。
俺はエルに尋ねる。
「俺と組む事に決めたのか?」
「はい、やっぱり貴方をそのままには出来ません。でも、命を助けて貰った恩もあります。だから、申し訳ありませんが貴方の側で見極めさせて下さい」
そう言うと、彼女は俺に頭を下げる。
別に謝る必要はないのだがな。
「わかった。これから宜しく頼む」
「は、はい!ありがとうございます!」
エルとウーニャを加え、これで俺のパーティーは5人だ。
かなり大所帯になって来た。
「今の俺はマスター・レジェンドと名乗っている。マスターかレジェンド、どちらでも好きに呼んでくれていい」
「そ、そうなんですか?じゃあレジェンドさんでよろしくお願いします」
「ああ――ん?」
ウルが俺の服の袖を引っ張る。
「用が済んだのだろう?ならケーキを喰いに行こう」
食いしん坊な奴だ。
ここ数日ウルはケーキばかり食べている。
余程気に入ったのだろう。
だがケーキばかりだと体に悪い気もするのだが。
魔物だとその辺りはどうなのだろうか?
ステータス欄を見る限り異変は感じられない。
まあ何かある様なら、その時改めて対処すればいいだろう。
「今から俺達はこの前の店でケーキを喰いに行くが、エルもどうだ?なんならウーニャも連れてくると言い。俺の奢りだ」
「え?いいんですか?」
「ああ、これから同じパーティーでやって行くんだ。親交の挨拶も兼ねてな」
「わかりました!私、ウーニャを呼んできますね!」
そういうと、エルは足早にギルドを飛び出していく。
「早く行こう」
「やれやれ」
ウルに急かされ、俺もギルドを後にする。




