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第19話 トロフィー

何と言うことでしょう~

あの虚弱その物だった子ゴブリンがー……

止めておこう。


目の前にはムキムキのマッチョが跪いている。

その腕や首は人間の胴ほどもあり、立ち上がれば体長は軽く3メートルを超える。

その肌と髪は、草花の様に鮮やかな緑色をし。

口からは鋭い犬歯がはみ出し、その落ち着いた眼差からは多くの苦難を乗り越えた男の重みが伺える。


「感謝します。お頭」


誰がお頭だ。

変な呼び方すんな。


「俺の事はマスターと呼ぶがいい」


「ははっ!」


俺の言葉に、緑の巨人は地面に擦り付けんばかりに頭を下げる。

行動の糸がよく分からん。


「このゴーブン必ずやお頭への恩義に報いるべく、その忠義を貫く事を誓います」


口調が無駄に仰々しいな。

忠義を誓ってくれるのは有難いが、お頭は止めろ。

物凄く小物臭くなる。


ゴーブンは先程助けた子ゴブリンだ。

進化させたら何故かこんなんになった。

ウルの時もヘイルの時も見た目はそれ程変わらなかったのだが、こいつは完全に別物だ。


ゴーブンのステータスをチェックする。


名前:ゴーブン

年齢:18歳

性別:雌

種族:ゴブリン

職種:勇者Lv.1


生命:800

筋力:70

早さ:65

魔力:20


え?

勇者なのかこいつ?

眷属が何でマスターの俺と同じ職種(クラス)になるんだよ。

いやそれよりも問題なのは――


“性別:雌”


……

…………マジかよ。


ムキムキマッチョで声も野太い。

どう見ても雄にしか見えないのだが……

まあきっとゴブリンは雌雄の見た目が変わらない種族なのだろう。

そういう事にしておこう。


能力的には、生命力以外は全てウルを下回っている。

まあ元が子ゴブリンだった事を考えれば、かなり伸びた方か。

ゴブリン時代のステータスは、下手したら生命力以外全部一桁だってあり得るからな。


スキルを見て見よう。


〈パッシブスキル〉

【光合成 Lv.2】【言語習得】

【ラストアタック】

正義の力(ジャスティスオーラ)


〈特殊スキル〉

【変身】


パッシブは4つ。

ラストアタックとジャスティスオーラが俺と同じという事は、これは勇者の固有スキルの様だな。

光合成に関しだが、どうやらこの世界のゴブリンは植物系のモンスターに当る様だ。その為、光合成でエネルギー補給やダメージの回復が出来る。


言語習得や変身はウルと同じだな。

俺は変身してみる様、ゴーブンに命じて見た。


「畏まりました」


ゴーブンの巨体から煙が上がり。

姿が変わる。


「これでよろしいでしょうか?」


ロリだ。

変身したゴーブンは可愛らしい少女へと変貌する。

年齢は10歳前後と言った所だろうか。


艶やかなブラウンの髪に、吸い込まれそうなエメラルドグリーンの瞳。

その姿はまごう事無き美少女だ。

衣類は瞳と同じ色の物を身に着け、足には植物を編んだようなサンダルを履いていた。


その少女が恭しく膝を折り、俺に頭を下げる。


「戻っていいぞ」


「は!」


再びゴーブンの姿がマッチョに戻った。

愛らしい少女が、月明りの森の中で最強の俺に跪く。

それは幻想的な光景ではあるが、中身がこのマッチョだと思うと興がそがれた。


俺は続いて耐性をチェックする。

予想通り、聖と光の耐性が俺と同じで9だ。


但し同じ勇者でも闇への耐性は4しかない。

これは種族の差だろう。

後は火と冷気に弱いぐらいで、それ以外は可もなく不可もなくと言った所だ。


最後に魔法だが。

魔法に関しては、勇者関連である低レベルの光と聖属性の物を習得しているだけだ。それ以外は特にない。


ゴーブンのステータスを閉じる。

そして俺は新たに表れたステータス欄にタッチする。

そこには大量の?マークが並んでいる。


その内にポツンと支配者と表示されている。

それはトロフィーだった。

ゲーム等で良くある、条件を満たすと付与される例のあれだ。


ゴーブンを眷属にした瞬間、頭の中でファンファーレが鳴り響き付与される。

条件は、俺に心から忠誠を誓う者を眷属に加える事だった。


このトロフィーという物は只の称号だけの場合も多いが、この世界におけるトロフィーは実利を兼ねている様だ。

トロフィーを取得した事で、俺は特殊な魔法を習得している。


眷属召喚と言う魔法だ。

この魔法を使えば、どれ程離れていようと瞬時に眷属を呼び出す事が出来る様だ。

正に支配者と言う称号に相応しい能力と言えるだろう。


「さて、狩りの続きだ」


俺はこの森にモコモコを狩りに来た。

さっさと終わらせるとしよう。

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