表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/22

第1話 光と闇が合わさって最強に見える

気づけばそこは夜の森だった。

起き上がり、辺りを見回す。

夜の帳に包まれた森は、とても穏やかだ。


辺りに響く虫の鳴き声(がっそう)が俺の心を潤わせる。

唯一欠点があるとすれば、さっきから蚊がプンプンと俺に集って来ている事位だろう。


正直うっとしいので叩き潰してやりたいところだが、光と闇を合わせ持った俺が態々蚊如きにムキになるのは、クールとは言えない。

ふ、運のいい奴らだ。


ステータスオープン。

俺は心の中でそう唱える。

クールな俺は、それを口ずさむ様な無様な真似はしない。


……

…………

……………………


「ステータスオープン」


声に答えて俺のステータスが開かれる。

どうやら音声認識の様だった。

オーケー了解した。

俺をたばかるなんてやるじゃないか異世界。


さて、気を取り直してステータスを確認しよう。


しかし蚊がうざいな……

こいつ等、相手がヴァンパイアでも容赦なく血を吸ってきやがる。

アンデッド蚊になったりしないだろうな?


名前:マスターシャインダーク

年齢:1歳

性別:雄

種族:ヴァンパイア

職種:勇者Lv.1


存在:2000

筋力:130

早さ:135

魔力:180


ヴァンパイアにして勇者。

正に光と闇が合わさった最強の存在、流石俺だ。


しかしステータスはかなりシンプルだな。

4項目しかない。

筋力魔力速さは分かるが、存在というのは何だろうか?

桁が一つ多い所をみると、ひょっとしたらHPなのかもしれない。


俺は試しに自分の腕を強めに殴ってみた。

ドスンという鈍い音共に痛みが腕に走る。

どうやらアンデッドでも痛みは感じるらしい。


ステータスを確認すると、存在の値が50減っている。

どうやらHPで間違いない様だ。


ん?あれ?

筋力も減ってるぞ?


ひょっとしたら、腕を殴ったせいで筋力が一時的に低下した分が反映されているのかもしれない。

シンプルなステータスの癖に芸の細かい事だ。


次はスキルを見て見よう。


〈パッシブスキル〉

【超回復 Lv.9】【全てを見通す眼 Lv.9】

【基本魔力操作 Lv.8】【魔力感知 Lv.7】

【高速詠唱 Lv.6】【超聴覚 Lv.6】

【超嗅覚 Lv.6】【ラストアタック】

正義の力(ジャスティスオーラ)

負の波動(ネガティブオーラ)



〈特殊スキル〉

【吸血】【変身】【隠形】【眷属作成】


特殊スキルの吸血・変身・隠形は、ヴァンパイアの基本スキルみたいな物だろう。

パッシブスキルは、まあ読んで字の如くの効果だ。

分かりにくいのは3つだな。


ジャスティスオーラは周りに居る生者に安心と勇気を与えるスキルで。

ネガティブオーラはその全くの逆の効果だ。

周囲の者に不安と恐怖を与えるスキルになっている。


これがパッシブで常に同時発動してるって事は、不安と安心。

勇気と恐怖を同時に与える事になる訳だが……いったいどんな気分になるんだ?

周りの人間が滅茶苦茶混乱をきたしそうなんだが、大丈夫かこれ?


まあいいや、これは一旦置いておこう。

考えるのは具体的な弊害が出てからでいいだろう。


最後はラストアタックだな。

これは最後の攻撃になる場合、破壊力が倍増するという勇者の起死回生の一撃的スキルだ。漫画とかで、それまで押されていたのに最後の最後で急に奇跡の逆転勝利する事があるだろう?きっとそれと同じ感じなのだろう。


具体的には、次の一撃を喰らうとで死ぬようなピンチの状況で発動する様だ。


ん?だがヴァンパイアはそもそも死んでいる?

ちゃんと発動条件は満たされるのだろうか?


疑問に首を捻った。

だが最強の俺は、直ぐ様真理に到達する。


俺は光と闇が合わさった最強の存在なのだ。

そんな俺が、そもそもピンチに陥る事等ない。

つまり……発動条件以前に、役目の無い死にスキルだという事だ。


ふ、強すぎると言うのも考え物だな。


さて、続いては魔法だ。

魔法の項目を開くと、ずらりと魔法の一覧が並ぶ。

ちょっと多すぎて、真面に目を通す気にはなれない。


ぱっと見、火・水・風・土・闇・聖・光の7属性全ての魔法が操れる様だ。

但し光と聖属性に関しては、低レベルの物しか扱えない。

たぶんこれは勇者としてのレベルが低いからだろう。


最後に耐性だな。

状態異常に関しては完全無効になってる。

良い事だ。

毒とか麻痺とか、最強の王者が喰らう様な物じゃないからな。


それ以外の属性体制に関しては、光と聖と闇以外はLv.7になっている。

レベルの上限が9ならかなり高い方だろう。

上限が99とかだと糞低い事に成ってしまうが、天下のヴァンパイア様の耐性がそんなに低いわけがない。9、もしくは10が上限と考えて間違いないだろう。


闇と聖と光はLv.9だった。

但し聖と光には弱点Lv8も付いている。

プラマイで考えるなら、Lv.1相当の強さという事になるのだが。

残念ながらどう影響するのか分からない。

取り敢えず日が昇ったら、陰から手でも翳して確認してみよう。


「さて、何処へ向かうとするかな」


俺は呟き、周囲を見回す。

今俺の位置はまるで不明だ。

何処に何があるか分からない以上、目的地は定められない。

取り敢えず適当に――


「ん?これは血の匂いか」


風に乗って微かな血の匂いが漂って来た。

それに連れ添うかの様に、悲鳴も聞こえて来る。


「女の声か……ま、デビュー戦としては悪くないな」


俺はそう呟くと、臭いの元へと急いぐのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ