↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
∞クロニクル・アルディア∞ ~101年目の未来~  作者: 空乃真芽
第六章 繰り返された百年編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
115/138

第百十四話 声の先

 一人で走った道と。


 五人で戻った道は。


 同じ森へ続いていた。


「トーマの声だった。」


 レインが言うと。


 本人が眉を寄せた。


「俺は、そんなこと言ってないぞ。」


「今じゃない。」


「別の世界線か。」


 トーマは森を見る。


 さっきまでの軽さが消えていた。


     ◇


 けが人が運ばれていく。


 ガレスは門を離れず。


 レインから見えたものを聞いた。


「誰を助けろと言った。」


「分かりません。」


「ほかに誰がいた。」


「俺だけです。後ろからトーマの声がして。」


 その先は白く崩れていた。


 森も。


 空も。


 走っている自分の手さえ。


 薄い雪の向こうにあるように見えた。


【照合履歴:断片】


【追加条件が必要です】


「続きを見られないか。」


 セレスが尋ねる。


「今は、これだけ。」


「なら追うな。」


 ガレスが言った。


「見えなかった先を、都合よく決めるな。」


     ◇


 北門の外で。


 眠っていた白い魔物が動いた。


 前脚が土を掻く。


 一度。


 二度。


 森の奥から。


 小さな鐘が返った。


 一度だけ。


「まだ誰かいる?」


 ミリアが立ち上がる。


「調査に出た者は全員戻った。」


 リディアが答えた。


 白い魔物の目は閉じたまま。


 それでも耳だけが。


 鐘の方へ向いていた。


【外部接続:一時増加】


【方向:北】


 レインは表示を読み上げた。


「鐘が接続を強くしたのか?」


 ロイドが盾を構える。


「逆かもしれない。」


 セレスは地面へ水を落とした。


「接続が強くなったから、鐘が鳴った。」


 水は。


 森へ向かって細く伸びた。


     ◇


 今度は。


 誰も走り出さなかった。


 ガレスが二人の教師へ指示を出す。


 門の防護を閉じ。


 鐘が鳴った時刻と魔力の変化を記録させる。


「明日、もう一度調べる。」


「森へ入るんですか。」


「入るかどうかは、今夜決める。」


 命を助けろと言った声。


 北へ引かれる白い魔力。


 誰も鳴らしていない鐘。


 どれも同じ道の先にある。


 けれど。


 同じ答えにつながっているとは限らない。


 レインは。


 隣にいる四人を見た。


 過去の自分は一人だった。


 今は違う。


 だから。


 同じ声を聞いても。


 同じ走り方はしない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。