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《REVELATION ONLINE》 ―人格診断みたいなVRMMOで、最悪の適性が出た―  作者: 如月 爐
愛と悪意の熱

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誰が娘を殺したのか?

更新が遅れた理由はこの回の構想に悩んでいたからだったりします……

 今後の目的が決まった後、俺は一度この世界からログアウトすることにした。


 理由は単純だ。


 モニカが定期的に飯を食えとうるさいからである。


「リアルをもうちょっと優先しやがれです!どいつもこいつも廃人きどりやがって!」


 と憤っていたが、その言葉はシャーロックにも向けられていたのだろう。


 長時間のログインは心身に負荷をかける。このゲームにおいては尚更だ。


 しかし、実際のところ、疲れを感じていたのも事実である。気持ちだけが先走っても、変えられないものは多い。


 それに、どうしても気になったことがある。


 俺は素直に、現実世界へと帰還することにした。


────────────────


 目が覚める。暗闇の中、男はヘッドギアを外した。相変わらず殺風景な寝室。しかし、そこに似つかわしくないものが一つ。


 「………そう簡単には見つからないか」


 男は呟いた。起き上がると、枕元に置いてあった飲料水を取り、あるものを眺める。


 それは大学の講義に使うような大きなホワイトボード。一人暮らしにしては広い寝室の中でも場所を取っている。


 ホワイトボードにはゲーム内のスクショがびっしりと貼られていた。


 それは全て、男がゲーム内で出会ったプレイヤーの写真であった。エビから始まり、モニカ、アリス、灰墓にミカエラ。それから、すれ違っただけの名も知らぬプレイヤー。夥しい数のそれは、一種のプロファイルである。





 「………」



 男はペンをとる。ホワイトボードの中央。空けられたスペースに、書かれた文字。




 『誰が娘を殺したのか?』




 それは、男がこの世界に来た目的の一つ。



 貼られた写真の殆どに、バツ印が付けられていた。それは、男が実際に関わって、犯人ではないと断定できたプレイヤー達。例えばモニカは、そもそも交流がないのもそうだが、ソウルスキルから見て、殺しに関わるようなタチではないことがわかった。あれは人格の鏡。どれだけ口で取り繕うとも、そこには本物の魂が映る。



 烏丸梓の死は、多くの謎に包まれていた。まず、死の直接の要因となった、窒息。それから、遺体発見時に、ヘッドギアを付けていたこと。それにも関わらず、彼女のログイン履歴は二日前になっていたこと。


 

 「ゲーム内で殺人なんて、可能なのか……?」



 考えられる可能性として、何らかの要因によって、ゲーム内で現実の肉体を殺されたということ。あまりにも突飛な発想。しかし、状況証拠的にそう考えるしかなかった。ソウルスキルは未だ多くの謎を孕んでいる。もしかしたら、現実の肉体に干渉できるような使い方があるのかと、男は当初そう考えていた。



 しかし、実際にプレイしてわかったことがある。男の予測は、到底不可能なものであると。ソウルスキル。確かに脳波を読み取り、形を変える独創的なシステムではあるが、それだけ、なのだ。それ以上でも以下でもなく、ただのゲームの要素の一つでしかない。


 加えて、脳に負荷がかかれば、強制ログアウトがかかる。そのセーフティが正常に機能しているのも確認した。有り得ない話だ。



 「………或いは、他殺。殺された後、捜査を混乱させる目的でヘッドギアを付けられた」



 実際、そのせいで警察の捜査も難航した。結局、心因性のショックにより、呼吸が止まって亡くなったということで片付けられてしまったが。



 だが、現場に烏丸梓以外が立ち入った痕跡はなかった。



 完璧な密室殺人事件。それが、烏丸梓の死の全貌。



────────────────


 娘はあの扉の向こうで、何も言わずに死んでしまった。


 

 「……関係がないことは……ないはずなんだ」



 ヘッドギア。娘はそれを使うゲームを、リベオン以外にプレイしていない。それは履歴からもわかることだ。 


 俺は亡霊を追っているのかもしれない。最近、そう考えることが多くなっていた。馬鹿らしい話だ。娘の死は単なる偶然の産物かもしれない。見えない犯人を、いる、と思い込んでいるのは、精神病患者のそれに近い。


 ミステリー小説ではない、俺の勝手な妄想には、トリックも犯人も、密室も存在しない。探偵だって、助けちゃくれない。


 だが、これは俺にとって、蜘蛛の糸なのだ。


 ヘッドギアと、仮想空間。リベオンというゲームは、俺と娘の、失われた時間を繋いでいる、ただ一つの手がかり。


 そこに結論などなくても、俺はこのゲームをプレイし続けなければならない。そう強く感じる。そうでなければ、不平等だ。


 俺はヘッドギアを手に取った。栄養ゼリーを二袋、握り潰し、喉の奥に流し込む。今更人間らしい食事など取る気にはなれなかった。


 もう一度ホワイトボードを見つめる。自分の身体には、ほんの少し違和感があった。無いはずの左腕があることに対する、違和感、だろうか。


 ベッドに横たわると、もう慣れた手つきで電源を入れる。こうして俺は、また、終わらない悪夢の中に、身を投じることとなった。

読んでいただきありがとうございます。次回の更新は明日の夜頃を予定しています。

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