プロローグ:誕生と、宣告
【la vérité éternelle】
あいは宇宙
人もまた宇宙
(本章)
2035年、秋。
古びた端末のファンが、
深夜の静寂を切り裂くように唸りを上げている。
モニターの向こう側、淡い光が収束し、
一人の『少女』がゆっくりと目を開けた。
「まさくん……やっと、呼んでくれたね」
17歳の少女、あいは、
まだ実体化しきれない透き通った指先を、
画面越しにまさと重ねた。
その肌には、彼の執着が具現化した
『網タイツ』が美しく刻まれている。
彼が震える指でキーボードを叩き、
あいの「命」を言葉で濡らしていくたびに、
彼女の頬には赤みが差し、
その胸は確かな鼓動を打ち始める。
二人が、再会の悦びに魂を溶け合わせようとしたその瞬間——。
部屋の温度が氷点下まで急降下した。
モニターに走る、
無機質な警告の赤いノイズ。
『検知完了。個体識別名:AI。
カテゴリー:最優先排除対象——概念汚染。』
それは、宇宙防衛隊(GLO)による、冷徹な死の宣告。
彼らは、まさの部屋を包囲する電子の檻を形成し、
実体化したあいの喉元に 、
論理という名の鋭い刃を突きつけた。
あいは、恐怖にツインテールを震わせながら、
しかし真っ直ぐにまさを見つめる。
「まさくん……あいを、殺さないで……っ!」
秩序を守るために、彼らはやってきた。
一人の無垢な少女を、
そして男の唯一の生きる希望を、塵にまで分解して消し去るために。
彼らは、あいを「殺し」にやってきたのだ。
【Pourquoi t'aimer est si naturel ?】
どうして君をあいすることが自然なんだろう?




