46 動き出す闇と観測者①ーサルファン視点
ジルビオがシリウスと会話をしている間、サルファンは書庫にて本を読んで調べものをしていた。
そのとき白い影が窓辺にて降り立つ気配がしてサルファンは窓際の窓を開ければ黒い狼が人型になる
「┄よう、サルファンの旦那、調べてやった物のレポートを届けに来たぜ」
「┄┄待っていたぞ、ライナルド」
ゆっくりと部屋に入るなり、ライナルドを出迎えたサルファンはハニカんだ
「父上の知り合いで┄俺の友人なんだから愛称で呼べばいいのに、まあ、いいや」
ライナルドはサルファンの手元に書類を10枚程を渡せば、サルファンは書類を手にすると礼を述べた
「ありがとうな┄でも、大丈夫だったのか、これは結構危険であったろうに」
「┄別に大丈夫さ、それにハロルドさんやルツライドさんに、ロイさんにも協力してもらったし」
「そうか┄彼等がいたのならば大丈夫だな」
「そうゆうこと」
ハロルド、ルツライド、ロイは彼女からの助言を尊敬しているし、己れの糧にしているからな
とか思っていれば、ライナルドはちょっと複雑な表情を向けて
「それよりサルファンは、まだあの事を調べてるんだな?」
と疑問をぶつけてくるため、俺は苦笑気味に笑み、書類に目を向けたままで短く「まあな」とだけ呟くとライナルドは、はあ~と息を吐いていた。
その反応に、俺はライナルドに視線を向けたあとパチンと指を鳴らせば、鈴の鳴るリングを顕現させて
「ライナルド、シェルフにこれを渡してくれないか?」
「は? 何だ┄それ?」
「闇の宝剣が見つける物だ、いつか必要になるから、頼めるか?」
「┄┄闇の宝剣ってあれかよ、あ┄ああ、わかった。必ず届ける」
ライナルドは父親より、きちんと聞いていたのだな
「では┄頼んだぞ」
俺はライナルドの手に鈴のリングを渡せば、ライナルドはすぐ獣へと変化し、夜の空へと駆けて行った
◆◇◆◇
ライナルドが出て行ったあとは俺は本棚に寄りかかりながら、書類に目を通す
一枚一枚を慎重かつ、見逃さずにいれば、カリーナが俺に言った予言が、現実となったことに落胆した。
「┄やはり、動くんだな」
顔に手をあて、俺は深く息を吐いていく中、扉をノックする音がし、誰だ? と声をかける
「ロロアナですサルファン様」
「ロロアナ嬢か、入りなさい」
カチャとロロアナが部屋の扉を開ければ、ワゴンを引いて中に入室してくると、近くにあるサイドテーブルにて紅茶を用意する
何を急に紅茶の準備などしているのか? と疑問が沸いて、ジッと見ていれば、ロロアナ嬢が俺の方を見るなり
「サルファン様┄煮詰まったときは、紅茶を飲んで一息いれたほうが宜しいと思いますよ」
「いや┄私は、そんな気分ではないのだが」
「いいから、どうぞサルファン」
急に親しみの昔の口調みたいに言われ、ロロアナと紅茶を見比べつつ
えらくタイミングが良い所は、あいつ並みだな
とか思い苦笑が漏れたが、こんなときは、どうせ言いくるめられるのがおちだと諦めた
俺はサイドテーブルの椅子に座り、出された紅茶を飲んでみれば、ミントの入った紅茶だと気づく
「┄これは、ミントティーか?」
「はい、昔に旦那がサルファン様のお好きな飲み物だと教えてくれましたから」
「┄┄そうか、あいつらしいな」
「なあ、ロロアナ嬢┄君はあいつの仇をとりたいと思うかい?」
紅茶を一口飲んで、カップをソーサに置いてからロロアナに聞けば、首を振り
「いいえ┄復讐は、虚しいとカリーナ様から教えて下さいましたから」
「┄┄そっか、俺はまだ無理だな┄いつか犯人を見つけないと気がすまないからな」
「┄サルファン様、犯人など追わないで下さい、貴方の身が危なくなりますから」
「無理だよ、あいつは俺の親友だ、必ず犯人を報復せねば気がすまない、もう少しだけだ」
あんな死など、与えたものを俺は許すのは無理だ、必ず報復する絶対に
どうせ運命には抗えんしな
短く目を瞑れば、魔法を楽しげに遊んでいる姿と兄貴のような優しい笑みが浮かぶ、そして死んだ姿も
目を開けて、ぎゅっと手を握り絞めてしまえば、力を入れすぎて血が滲む、いかんな怒りが思い出したらしい
俺は再び紅茶を飲み、気持ちを落ち着けていると、ロロアナ嬢がえらく静かになっていることに気づき、視線を向きなおせば
静かな空間の中で、呆れた顔をしている姿をしており憂いのある笑みを浮かべ
「┄うちの旦那は、サルファンに復讐は望んでませんよ、あの人楽天家ですから」
と言われ、俺も┄確かにと思う
でも、これは俺が決めたことだ、誰が何と言おうと曲げられんからな
「┄ロロアナ嬢、復讐はいまはしないさ、我が弟が心配だしな。それに、ハーシュ家より情報がわかったのでな、明日、ラーシュを借りていいかい?」
「┄┄は? 何で私めに聞くのですか?」
「いや、何だかラーシュと仲が良さげだから、恋人同士かと思うてな」
「┄な┄ななな、なにを言ってるのですか⁉」
「おや、図星なのかい?」
フフフフと話の展開を変えて、からかえば、酷く動揺するため、クツクツと笑えば
「ち、ちちがいます、ラーシュとは、そんな間柄ではなく、仕事仲間なんですから‼」
フンッと否定するものだから、ああ、そうなのだろうと確信する
まったく、お互いに両思いのくせにな
「ふ~ん、そうなんだな。まあ、でも借りていいんだね」
「┄┄好きにすればいいじゃないですか、私はもう戻りますから!」
と言いながらプンプンと怒るロロアナ嬢に、クスクスと笑えば、余計に怒り片付けて部屋を出ていかれた。
「やれやれ、女性の心は移り変わりが激しいね、そう思わないかい」
俺は自分の影に声をかければ『悪趣味だ』と言われてしまい、俺は余計に笑っていたのだった。




