42 もう一人の息子ージルビオ視点②
グラビアスにとっては苦い気持ちだろうが、自分にとっての大事な事柄となるだろうことは推測でき、話を待っていれば
数秒の間を空け、グラビアスは私の方を見たあとに一度呼吸を整える
「┄俺は、クシナの魔女によって負の闇を溜め込み貯蓄し、黒い鳥を作り出す製造の魔道具なんだよ」
「俺を挿入された奴は、必ず意識をなくしてしまうんだ、それを俺がトドメをさして乗っとるはずだったんだが┄┄いままでの連中とことなりジルビオには上手く出来なくてさ」
「下手に表に出ようとするし、俺の捕縛は解くし、家族ごっこはするし、シリウスの奴には見せた事のない表情をみせるし、腹立つし、寂しいとか思うし」
「俺をどうしたいんだよ、てめえ‼」
グラビアスの支離滅裂な説明に、最初は製造の意図の意味や、私に乗り移った意味がわかり、なるほどと納得しかかった
しかし途中からグラビアスの言っている話を聞いていると、なんだか可笑しくなり笑ってしまう
「なっ!┄人が話してるのに、笑ってんじゃねーよ」
「いやはや、シリウスとお前は似ているなと思ってな」
はあー⁉ 意味がわからないんだが! と言いたげに口を開閉している姿に微笑ましくなる
「似てないからな!」
「いや、似ているよ。シリウスとお前は互いに、人を見る瞳はあると思うんだ」
「人を見る?」
「そうだ、私の息子ならば、友との交流だろうな。必ず相手を見据え遠くからの様子や気を遣える所かな。そしてグラビアスならば、私の事を気にかけるし、最近は何故か大人しくして、悪さや女遊びをしなくなっていた」
「┄それは何故か、私と会話する回数が増えたからであろう、まるで私を見ようとしているような感じで可愛かったが」
クツクツと楽しげに、笑い似ている点を話していると、グラビアスの顔が沸々と赤くなり始め
「ち、ち、ちげーし‼ 俺はお前といて楽しいとか、友達出来たとか┄思ってないからな!」
「┄┄ぷっ、はははは‼ 己れで暴露されるとか、意外に笑えるなお前は」
口を押さえて、笑っていると、グラビアスがカーーッ! と余計に赤くなりだし
机に突っ伏してしまい、ブツブツと人間くさくなるグラビアスに微笑ましくなるが、私はそんな姿に複雑な気持ちになっていた
話の経緯や行動、私に乗り移つる前の現状、いままで道具として生きてきたグラビアスの心の面持ちは、きっといままでの日では、ないものがあったのかと想像することしか、できない
しかし、グラビアスを生み出した人物がわかっただけでも、収穫はあったし
グラビアスの人間くさい感情が芽生えたのは、余計に好感が持てた
「なあ┄グラビアス、答えたくないならいいが、お前は、今後どうしたい?」
「はあ? 俺が今後したいことかよ、そんなの悪意を集めて、闇を作る事だよ」
視線を合わせず、机に突っ伏したまま、答えてくるグラビアスが、どのような顔をしているのかは、私からは見えないが
声を聞いているぶんは、やりたくない、と言っているように思え
「違う┄それはお前が命令されるときの判断だ、グラビアス自身は┄┄どうしたい?」
「┄┄┄わかんねえ~」
「そうか、なら┄いつか教えてくれないか、お前が一人の人格として、今後したいことさ」
「┄┄┄」
私が静かにグラビアスの事を思い、そう告げたが、グラビアスは何も言わず、小さく頷いた
やっぱり、こいつも助けないとな
変に子供らしくなっていくグラビアスに、そんな気分になるのと同時に、クシナの魔女に対する怒りが混み上がる
因果応報とは、よく言うが┄必ず、クシナが関わるとはな、それに┄┄あの男も
「グラビアス、お前には私の力を僅かに入れておいた、それが有る限り抵抗できる。闇は心を蝕むんだ、お前にも心が芽生えている」
「だからこそ、見つけろ! 本当に何をすべきか、お前がお前でいられるように」
私はグラビアスに近づくと頭を撫でてやり告げる。するとグラビアスは一瞬ビクッとなるが伏せたまま
「うっせ‼」
と反論するが、私は小さく笑い撫でてやる
「じゃあ、私はもう少し表にでるが、いいよな」
「勝手にしろ!」
「では、勝手にしよう、またなグラビアス」
私はそれだけ言い残すと、深層の奥より表へと移動していった




