41 もう一人の息子ージルビオ視点①
シリウスに無理矢理だが、私の身体を預け、奥底にある意識へと向かっていた
少しばかり事情が複雑な面もあるため、緊急を要してしまい、用件を端的に話せばシリウスが疑問符を浮かべ、慌てている姿にちょっと笑いそうなったが、帰ったら話してやるかな? 少しだけ┄
と胸中にて思いつつ、精神の奥底に入れば、グラビアスが身体を埋めている様子があった。
それに┄黒い翼のようなものがグラビアスから出ていて、苦しげに呻いていた
私が声をかけようとしたとき、グラビアスが私を見てくる、その顔はいつもの強気な表情ではなく、私を苦しげに見つめ、緑色の瞳が赤と緑で点滅していて
ラーナリアを殺したグラビアスに似ていて私は慌てて近づく
「おい┄グラビアス、大丈夫か⁉」
手を触れようとすれば、グラビアスは鋭い目付きで睨みつけ手を弾く
「┄触るな! いまの┄俺に!┄ぐっ!」
「だが┄お前! その状態は危険だろうが‼」
「うっせ! いままで喰らっていたものが、回収されてるだけだ、俺は闇の製造品なんだから┄ぐあぁぁああぁ~~~‼」
グラビアスが一層苦しげに悲鳴に似た呻き声をあげていると、大きな翼が出てきたと思えば、鳥の姿へと変化し散り始め消えていく
そんな姿は酷く苦しそうで、いままでこんなことはなかったせいか、グラビアス自身が傷つく姿を見るに耐えられず
私はすぐにグラビアスの肩を掴んだ
「なっ!┄何を┄してやがる、触るな!!!」
バチバチと雷のような痛みが私を直撃するが、私は構わず触れた肩に力を入れる
「何を┄我儘を言っている! お前は、私と対等にいられる奴だ、敵対せしものだが長く一緒にいたのだ、苦しんでいる姿など見たくない、じっとしていろ‼」
「┄っ┄なんだよ、それっ! バカじゃねぇーの!!」
グラビアスは悪態をつきながらも、自然と隠れて嬉しくなっていたが、ジルビオは逆に問題児を可愛いなど思えず、ただ┄我儘な息子かと呆れていた。
そんな感じでお互いに思うなか、黒い鳥はまだグラビアスの中より飛んでいて
ジルビオは自身のスキルを発動しグラビアスの中に、ある核の力を入れる
すると黒い鳥は霧散し、グラビアスからは力がもれ出ることはなくなったが、グラビアスはクタ~っと疲れたような表情になり「しんど~」とぼやいていた。
しかし┄すぐに私の方を見て、グラビアスが拗ねたような感じで、小声にて「ありがとう」と言うものだから、聞こえないふりをしたら
な、な、な、と言い┄バカじゃねぇ!
と少し顔を赤らめている姿に、不敵な笑いを浮かべてやったのだった。
◇◆◇◆
「それで┄お前が、製造品ってなんだ?」
精神の世界なので、椅子をイメージすれば出現するため、そこに私が座り
向かいにテーブルと、グラビアスが座れる椅子を出しているため、グラビアスを向かいに座らせ取り調べの如く睨みをきかせれば
グラビアスは犯人の如く不貞腐れ、そっぽを向いて腕を組んでいた。
「黙りか┄グラビアス」
「言えるか、いくら助けてもらっててもな」
「┄せっかく私から取り調べ、いや、お前を知ろうとしてるんだ、観念して話せ」
「いま取り調べとか言わなかったか!」
「気のせいだろ、で、話す気はないのか? あるのか? はっきりしてはどうだ」
フッと黒い笑みを浮かべて言う奴に裏があるのは明白であり、何かあるとグラビアスは思うが、自分自身にも関わろうとしてこなかったジルビオに、先程思っていたものがくる
少しは俺を見て欲しい、自分にもあんな表情を向けて欲しいと
本来ならば、拒否るべき事だが、心の自我を持ち始めたグラビアスは、ジルビオからの愛情を知りたいと思うようになり、嫉妬心も学び始めていた
だからだろうか、グラビアスはジルビオへの解答に素直ではないが、頷いたのだった