40 ジルビオとシリウス⑤
仕事に集中していると、いつのまにやら時間はたち、俺は静かな空間で仕事に区切りをつけて背伸びをした。
う~ん、余計な事を考えてるときは、仕事をするにかぎるな
っていま何時なんだ?
外を確認すると、暗いし時間を考えてみるが、体内時計的には良くて30分か1時間ぐらいだろうと思っている
さて、このあとはどうするか?
就寝するも、明日の資料を纏めるのも良いが、どうにも目がさえて就寝する気も起きないと思っていたとき
ふと父上の事を思い出した
昨夜だが、父上が言っていたな、夜ならあのときの父上に会えると、そして不可解な部分を解消してくれるかもしれんな
俺はそう思い、父上がいるだろう場所に向かう事にした
◆◇◆◇
庭の近くにある遺跡の奥にある森に辿り着くと、どうにも父上はおらず、俺が先にきたようで空を見上げれば
前は星も煌めいていたが、うっすらと雲が出てはいるようで、なんとも寂しい感覚があった
そんな様子を俺が眺めていれば、ふと視線を感じて振り向くと、そこには父上が立ち何故か微笑ましく見られていた
「来たんだな┄父上」
変に優しげな表情に、いたたまれなくなり声をかけると、父上は俺の近くに来るなり
「それは┄私の台詞だ。まさか息子が待っててくれるとは思っていなかったからね」
ふふっと柔らかく笑っている父上は、朝に会った人物とは、本当に違い空気自体がまったく違うものだと思えた
だが┄この雰囲気は嫌いではなく┄妙にホッとしてしまうから不思議だった
「昨夜、言っていた┄よな? 夜なら会えると、なら┄聞きたかったんだ。俺の疑問を解消してほしくてな」
不可解な疑問、それは父上に対してもあったから
「そうか┄なら、聞こう┄私に何を聞きたいんだ?」
「あんたは、何で┄幼い頃から、俺を戒めるような暴力と暴言を吐いているのに、普通に会話が出来る。俺があんたに憎しみしか感じてないのは知っているだろう!」
「┄┄┄それは、私への罪だし、グラビアスの罪だ、憎しみを向けられるのはしかたあるまい」
「ただ┄私は私でいられる間に、お前の力になりたい、いつか私が消えることになろうと┄だが、これは私の自己満足で、迷惑だろうがな」
ポンポンと俺の頭に触れて、寂しげな笑みは憂いを帯びていて、胸が苦しくなった。
どうして父上は、そんな顔をするんだ?
どうして父上は、俺を労い優しさを向ける
これじゃあ、まるで別人じゃないか⁉
わからない、いまの父上は俺が知っている父上なのか?
それに┄父上から出てくるグラビアスって、なんなんだ?
余計に疑問が沸いて、父上を見れば┄何故かハッとするような表情をし、スッと手を離すと
「いかんな、あいつ妙なもんに好かれている」
「父上?」
唐突に意味がわからず、不思議そうに見ていると父上は、俺に複雑な表情を向けるなり
「┄詳しくは話せないと昨夜言ったが、緊急事態が起きたようなんだ。少し┄気を失うが私の身体を頼めるか?」
「は?┄どういうことだよ⁉」
「意識が戻ったときに説明してやる、では┄頼んだ」
それだけ言い残し、勝手に意識を飛ばして倒れそうになる父上を俺は咄嗟に掴んだ
すると意外にも身体が軽い、普通なら俺よりも背が高い男を抱えれば重いものだ
なのに軽いって、どんだけ父上は謎が多い人物なんだと思えた
あと結構、融通が効かないし、意志が強いんだな
父上の普段では知らない、意外な一面に憎しみなど何故か失せて変に可笑しくなっていた




