15 閑話 闇に潜む者を食らうージルビオ視点ー 中編
父親の苦難を書いてます
私が息子に会って会話をしたいと願うさなか、彼女の言葉を胸に瞑想を解き、周囲の気配を感じとった瞬間だった
「くそ暇だ、こんな所にジッとしてるより、女どもと身体を重ねてたほうが、楽しいと思わねえか?」
と何とも不快な同意を求めるため、呆れ溜め息しかでない。
「┄思うわけがないだろう、暇とか言う暇があれば、妻と一緒に働け! サリエナばかりに余計な仕事させやがって、まじでシメるぞ」
「おーこわ! 俺は働く気は更々ないんでな、変わりに色々と負のエネルギーを貯めるためには、人の痛みや苦痛、憎しみが必要なんだよ」
「それに、俺はあの方の命令が第一なんでな、だいたい領内にいても、苛めがいがないだろ?お前の」
色々とやりつくして、いちいち反応しない私に、グラビアスはつまらないらしい
知るかって話だ、もとからシリウスにあんな嫌がらせや憎しみなどをすれば、ここに来るはめになるなど明白だろうに
それにシリウスの弟で私の2番目の息子である、カリエナを苦しめるような行動をとれば、しっかりもので、弟思いのシリウスが黙ってないさ
まったく、そんなことも理解出来ぬとは、グラビアスに心がないのかね
まあ、あったら慈悲や優しさなどの正しい思いがあるかもな
そう思い、私はグラビアスなど無視をして再び瞑想をしようとしたが、彼女が言っていた王国誕生祭のことが頭に過る
「なあ、グラビアス、そんなに暇なら王都に行くのはどうだ?」
「へえ、お前が俺に提案とは、どういう風の吹き回しだ?」
「別に┄どうせ、もうそろそろ、国王より領主として、報告する義務があるんだ。行ってもらわねば、困る」
「それに王国誕生祭で、久し振りにシリウスに会って見たいからな」
「ふーん、あのガキか。確かに会ってみたいかもな、お前の溺愛してるからな。それに┄力も強くなっているんだろう、お前のように」
ニヤリと笑う姿に、こいつの企みが目に見えて不快な気分になるが、確かに強くなっているんだろうという部分には、同意出来た
もうここに来て年月がたったからな、本当なら、側で色々と教えたり、遊んでやったり、剣術などを指南してやりたかった
愛情など、とくに与えてやれず、悔やむばかりだ。
いや、嘆いても、過去になど戻れん
ただ┄ダメな父親だと思い、憎んでいるだろう
それだけでいい、だよなサリエナ
私はぎゅっと拳を握り締めたまま、グラビアスを睨みつけれ
「┄久し振りに、いい反応だ。いいぜ、王都に行ってやろう、どうせ命令待ちも暇だからな」
それだけを呟き、グラビアスは意識を外側に向けて動き出し画面が動いていった。
◆◆◆◆
私の提案にのりだして数日、手紙の書状が領主の我が屋敷に届き、グラビアスとサリエナが荷造りをして出発する
途中、我が兄であるサルファンのいる町に立ち寄り、少しの会話をするグラビアスは、普段の人格を抑えたような口調で話し
サリエナの肩を腰を抱く姿に、私はイライラするが、サリエナの方はと言えば、顔は笑顔だが、纏う空気が冷々としており、よく凍えないなと思えるが、もっとやれ! と応援したくなった。
一応の仲の良さを見せているが、兄の目は何処か相手の出方を待つ視線で見据えていた
さすがは我が家計の血筋なのだろう、敵には容赦ないような気配の研ぎ澄ましかただと感嘆の息がでた
それからあと兄から一泊するように提案され泊まることになる
◆◆◆◆
その日の夜、私はグラビアスが寝ている隙に、久し振りに力を使い、表に出るとサリエナが何故か近くにいた。
「┄サリエナ、起きていたのかい?」
私が声をかければ、サリエナはあの冷たい瞳ではなく、普段の澄んだ暖かみのあるものに変えていて抱きつかれた。
「┄おやおや、偉く甘えん坊だなサリエナ」
「┄┄ばか、貴方が中々、表に出ないから行けないのよ! 私はグラビアスに何かに触られて気持ち悪かったんだから!」
「ごめんごめん」
よしよし、と私が頭を撫でてやれば、スリスリと甘えん坊な妻に、抱きつかれる
まったく、グラビアスの前で演技をしている姿とは雲泥の差だよな、まあ、そこが可愛いんだが、あまり甘えると少し困る┄襲いたくなるんだが┄┄┄
「┄サリエナ、余り甘えると食べるぞ」
「食べていいのよ、ジルビオ、フフ」
少し顔をあげて、上目遣いに、ウグッと呻いてしまう、久し振りすぎてサリエナの色気は色々くるな
「いや、今日は、ちょっと困るかな」
「┄酷い、せっかく誘って、その気にさせたかったのに」
ムスッと頬を膨らませる愛しい妻に、あ~もう可愛いなぁ~とか思い、私はサリエナを上からのけるなり、反対にサリエナをベッドに倒すと軽く唇を重ねた
そして深く深く貪り、サリエナの身体を重ねていった。
◆◆◆◆
数回の身体を重ねて終わりを迎えたあと、横で眠るサリエナに布団を被せたあと、私は服を着て部屋を後にする
兄がいるだろう場所は大概、執務室にて一人晩酌をするのが彼の流儀だと言っていたからな
私は兄のいる執務室に行くと、ノックをすれば
「ジルビオか?」
とまるで来ることをわかっていたような返事に、私は苦笑を溢し、返事を返せば、入室の許可を得て扉を開けて中に入る
兄は中央のソファーにて、ワイングラスにこの地の名産である赤ワインを傾けて一口飲んでいた。
「どうした? 用があって来たのだろうジルビオ、座りなさい」
ワイングラスをテーブルに置いて、私をまっすぐに見つめる目は暖かく、私を近くの席に座るように促され、素直に座るなり
「兄さん、お久し振りです」
と挨拶をすれば、小さく笑うなり、もう一つ用意していたらしいワイングラスを私の側に置く
「挨拶はいい、ついさっき、お前と違う奴がしていたからな」
そう告げる兄に私は、やはり気づいていたのかと、安堵した。
「┄よくわかりましたね」
「見ればわかるさ、お前とあやつの纏う空気は違うからな、陰と陽のように俺には見えているんでな」
兄はそれだけを話すと、ワイングラスにお酒のワインを注ぎ入れた
「まあ、そんなくだらん話しはいい、どうせ時間がないのだろう? 話をしなさい、聞くつもりで待っていたのだから」
また一口飲んでから言われ、つくづく叶わないなと思い、私は自身の考えを兄へ話すことにした。
最初はこれまでの経緯と罪、そして息子達へのことを包み隠さずに説明していけば、兄は一言「そうか」とだけしか言わず
ただ┄ワイングラスの酒を見つめていた。
短い間に沈黙が部屋を包み、静寂が場を支配する。しかし┄兄がグビグビと喉を鳴らし、一気にワインを飲み終わると同時に、ワイングラスをテーブルに置いた
「┄お前が思っていた事が現実となったわけだな?」
「はい、だからこそ、私は息子に罰して貰うつもりです。ですが┄その前にある女性の言葉のもと、賭けにでたいと」
「賭け?┄」
兄には、私の今後を見ていて欲しいことや、ある女性の声による、私の僅かな行動範囲が出来る可能性、そして息子と会話をかわした小さな願いを話した。
すると兄は、小さく笑い、真っ直ぐ慈愛の眼差しで、私の賭けに乗ってくれると了承し
自身も同行する意志を告げられ驚く
どうにも、もとより王都に用があったらしく、ついでだと思え、そう軽く言われ
嬉しくも、こそばゆい思いのなか礼を述べた。
そして軽く話をし、最近のシリウスの状況や、カリエナの様子などを話してくれ
シリウスが白騎士の隊長になったことを聞き
何だか苦笑が漏れてしまう
血筋は運命と共にくるようだな
そんな感想が私の胸に感じていた。
◆◇◆◇
夜はふけて朝には、私は珍しく、そのままの人格の中で目を覚ました。
どういう風の吹き回しだ?
そんな疑問が過ったとき、内の中より声がする
「┄今回は機嫌が良い、せっかくだから少しの間だけ身体を返してやる。王都についたら動くから、必ず起こせ、いいな」
一方的に言うだけ言って通信を切る、グラビアスに、起こせと言われて、起こす気はないが、無理矢理┄に変わられる前に、やることをしておくかと考えた。
サリエナに挨拶がてら、またもや甘えられたが、どうにか理性を止めた。
まあキスぐらいはしたがな
一応は、昨晩のやり過ぎと、久し振りでちょっと迷ったが、我慢した私は偉いと思うことにしている
朝食を済ませたあと、兄さんと妻とで、馬車に乗り入れて出発していくこと2日、兄さんの知り合いの関所を通らして貰えば、意外にも王都には、夜に着くことが出来た
「┄サリエナ、着いたな。久し振りだが、どう思う?」
「そうですわね、代わりばえはしないけど、活気があると思いますわ」
「それはそうだろうさ、いまは王国誕生祭だ、屋台や祭りが賑わっている平和な国だからな」
兄さんが賑わっている、王都の状況を見て説明しながら、何処か羨ましいような悲しげな表情をするため
母さんや父さんの事を考えていたのだろうと思い、私は兄さんに声をかけて町中を少し歩きながら屋敷に行こうと提案すれば
兄さんと妻は、一瞬だけ呆気にとられたが、すぐに頷き、ブラブラと歩いて言った。
そして途中、私に助言した女性の声が耳に入り、振り返れば屋台にて接客をしている姿があった。
ピンクの髪を1つに纏め、若い印象で明るく客を楽しませる感じの女性だった。
「┄あのこだな」
私は一度聞いた声は忘れることはないと確信して、兄と妻には先に言っていて欲しいと告げると妻が少しばかりむくれていて、ヤキモチを妬いていると感じに
頬や額や唇に熱いキスをしてやれば、顔を赤くし、「┄バカ」と文句を言いながら、兄よりも早歩きをして先に行ってしまう
そんな様子に兄さんは、クスクスと微笑ましげに笑い、後で来いよと告げて妻を追って行った
屋台で客がいなくなった隙を見て、私は彼女に声をかければ、彼女は一瞬、ハッと驚いたようだったが、私が来ることを知っていたようで
「┄待ってましたよ、ジルビオ・コードさん」
とフルネームを言われ、やはり彼女だったと余計に確信し、話をすることになった。
ここでの会話は、話が長くなるのと、彼女自身の事が関わるため割愛とさせてもらう
◆◇◆◇
彼女と会話をし、運命と言う歯車は、1つの掛け合わせで狂ってしまうと言われ、正しい物には、彼女の言う通りに白樹鈴の酒がいるのだと、念押しされた。
だからこそ、王都にあるならば探そうと歩き回った、そして私は手に入れる事が出来た
複雑な形状の酒瓶は、綺麗で一リットルはある
私は酒を片手に、屋敷へと向かえば、玄関先には妻がいて私の姿を見るなりパアッと明るい笑顔になり抱きついてきた。
こらこら、家でいちゃつくとイメージが壊れるぞ
と思っていたら、妻が「お兄樣には良いと言われています」と言われて驚くが、兄さんが何か考えがあってのことならと、抱擁することにした。
せっかく元の私の状態でいられるなら、私のままでいたいし、妻とだって愛を育みたいからな
次に食事をすることになり、使用人達が少々、私を訝しげに見ていたけれど
長く使えているロロアナがラーシュを伴い、挨拶をされ、私はどう接するべきかと思うものの、普段から嫌みなど言えるわけがないため
二人を労えば、互いに見つめ
私を見るなり苦笑すると
「今日は普通の旦那樣なのですね」
「久し振りですね、旦那樣」
静かにそう告げられ、私と妻は笑顔を向けた
それからあと、私は二人に話をすることにした。大概の事情は二人なら知っているため、今後の動きと行動に、シリウスが危険な場合の可能性を話した。
すると二人は、少々の困り顔をしつつも最初からシリウスを主として決めていたらしく頷くと、僅かな沈黙を兄さんが明るい声で壊し
私があのあとの行動を聞かれ、必要となる物を話していき、場の空気は和み楽しい会話をして行った
食事も終わり部屋を用意してくれるため、自室で言いと伝えたあと、妻と私は寝室に行った
兄さんは客間の部屋に行ってもらい別れた
◇◆◇◆
寝室には妻がリラックスモードで服を寝間着に着替えていて、髪をほどき肌が綺麗に出ていた
相変わらずの色気が凄い、まあ抱いたときも、綺麗で、味わうたび溢れる声が色々そそる
いかん、あまり見るとやりたくなる
私は視線をそらし、ベッドに腰をかけたあと
部屋を見つめてみた
そこはあまり変わらず、領内に移動した頃のまま時間が止まっているようで、何だか寂しくなる
「変わらないものもあるか」
ふっと笑い、複雑な気分になっていたら
急にサリエナが抱きついてくるため、勢いが良すぎで、押し倒された。
何だろうか、前にも同じような状況がなかったか?
「┄えっと、サリエナ。まさか┄私を食べる気かい?」
「ふふ、今日は私がご奉仕してあげるわ」
「いやいや、せっかくついたんだから、休もう、普通に┄」
「いや! 貴方がいる間は甘えるって決めてるの! 覚悟しなさい!」
「嬉しいけど、いや、あのさあ、ちょっ」
こうして、抵抗虚しく、なんやかんやで私もやる気はあったので、互いに求めあい、身体を重ねたのであった。
うん、若いな┄俺ら、ふっ┄┄┄
何時間かたったころ、私は疲れたせいで眠くなれば良かったのだが、どうにも身体が余計に目覚めてしまい
散歩でもしようと考えた
チラリと妻を見れば、物凄く満足そうに眠っていて、眠気は妻にもっていかれたんじゃないかと勘違いしたくなる
うん、やめよう考えたら終わりな気がする
私は上着を羽織り、部屋を出て見るが目的もない散歩も味気ないと、昔からある秘密の場所に行こうと決めた




