エッセイ『祖母との別れの話』3
『祖母との別れの話』3
老健に入れた祖母。
そこで次の特養を探している中、私はふと祖母の現在の健康状態が記されている資料を見た。
そこには「認知症(弱)」といった内容が書かれていた。
軽く、いや、大分ショックを受けた。
そうか。認知症なのか、と。
また、日に日に会いに行く度に確かに精神年齢が幼くなっている事も私でも感じられた。
そして歩行について母が施設の人に「『本人は歩ける』と言っているのですが、実際はどうなんでしょうか?」と聞いたところ「歩けるなら、もう杖を突いて歩いてます」と言われたらしい。
事実、部屋(個室)からたった数メートルの面会室まで移動するのに何の躊躇も無く車椅子で移動している上に、介護士さんの手を借りないと体を起こす事も、車椅子への移動も、車椅子を自分で動かす事も出来なくなっている事にふと気付いた。
続けて母が「本人は『普通のタクシーで十分』と言っているのですが、そこはどうなんですか?」と施設の人に聞くと、食い気味で「無理です!無理です!」と言われたらしい。
それ程、もう、体に限界が来ているんだなと思うと、面会時間十五分はあまりにも短すぎるなと思った。
もっと一緒に居てあげたい気持ちはある。
家に連れて帰ってあげたい気持ちもある。
だが、心身共に、それは不可能という現実を突き付けられた。
それは排便の事である。
本人は「夜、介護士さんを起こしてまでおしっこの替えをしてもらうのは申し訳無い」という謎の気遣いで漏らし、日中も便意が来た時にはもう漏れているとの事だった。
本当に、もう、色んな意味で駄目なんだな。
そう思いながら、本来なら駄目な、ハグを長くしてあげてから帰るようにしていた。
その度に「帰らないで……!」と、か細い声で助けを求めてくるような事を言ってくるのでこちらの精神はもうグッチャグチャである。
次は銀行関係で外に連れ出す機会があるので、その時に大好きだったマックを食べさせてあげようと思った。
しかし同時に、もう二つ問題があった。それはトイレの問題と介護タクシーである。
トイレのタイミングはこちらでは把握出来ないし、本人が謎の気遣いをする為、必ずと言って良い程漏らす。それも盛大に。
そんな中、介護タクシーが汚れるかもしれないという不安と恐怖、そしていくら掛かるか分からない料金に母と今、会議中である。
続きます。




