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エッセイ  作者: 河野吉田
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エッセイ『祖母との別れの話』2

『祖母との別れの話』2


 祖母が入院先から介護老人保健施設、通称「老健」に移った。

 祖母は頭がまだハッキリしており、トラブルは起こさないものの、面会に行けば「ご飯が不味い‘(主に柔らかすぎる)」や「赤ちゃん返りしている他の入居者がいつ暴れるか分からなくて怖い」と言っていた。

 転院先で丁度祖母の誕生日だった為「これが最後になるかもしれない」と思い、本来は差し入れ厳禁なのだが、思い切って施設の人に頼んだ。チョコレートを一粒。すると施設の人はケラケラ笑いながら「別にまだまだ生きると思うし、高血圧とか糖尿病の薬が処方されてる人じゃないんで毎日でも良いですよ」と言われました。

 それから週一回面会に行き、その度にチョコレートをあげていた。

 祖母は「あぁ……生き返る……!ずっと舐めてたいわぁ……!」と涙を流しており、普段の食事が本当に辛いんだなと感じました。私も精神科の病院に入院していた過去があるので食事は唯一の楽しみ。それが無くなったら本当に辛い。その気持ちは痛い程分かっていた。しかもおやつは出るが、本当に小さい、一口くらいの煎餅や饅頭のみ。「もっと食べたいよね」と思い本当は駄目と分かっていながらもこっそりあげていた。しかしこのままじゃ中毒のように求めてくるようになるのでは?という不安もあった。

 そんなある日、祖母のチョコレートの欲しがりはやはりエスカレートしていき「帰る時十個置いて行って?」と言われ、まぁ今まで何も言われなかったんだし良いだろうと思い、置いていった。しかしその時、というかその日、電話が掛かって来た。施設からだった。電話に出ると、祖母のチョコレートが医師の方にバレた。理由はおやつを拒否した事からだった。

 普通、おやつは一番のお楽しみの時間。それを断るという事はどこか体に異常があるんじゃないかと検査される事になったのでした。すると検査する前に部屋から大量のチョコレートの包み紙が出てきてその場で怒られたとの事。

 私も怒られ、母も怒られた。なのでその次に会いに行った時は祖母への罰としてチョコレートは無し。祖母は「良いんだよぉ!」と嘆いていたが、駄目でした。

 そしてある時、祖母が足首を捻った。母が病院まで連れ添い、検査した。特に大事ではなく、湿布で大丈夫との事。そして元々ジャンクフードが大好きだった祖母はその日、KFCをお昼ご飯に外で食べる事となった。そこで普段ならマックのハンバーガー半分しか食べられない程少食だった祖母がチキンを丸々二切れ食べたらしい。それ程、食に飢えていたのだろう。

 それから本格的に老健から特別養護老人ホーム、通称「特養」に移そうと動こうとしたその時だった。母が右脚を骨折してしまった。私が動いても良かったのだが、母としては「私にしか分からない事とかお金事情があるから」と断られ、祖母の老健生活は継続となった。

 そこでふと、今までのようにトイレ事情はどうなのかを施設の人に聞いてみたところ、どうやら漏らす機会は減ったらしい。というのも、定期的に強制的にオムツを替えているかららしかった。しかし明け方になると漏らしている事も多かったらしい。結局、家での面倒はもう見れない事が確定した。

 祖母は最近、会いに行く度に「離れたくない」「もっと一緒に居たい」「もう帰れないのは分かっているけど、後一回で良いからお家に帰りたい」「泣きたいよ……泣きそうだよ……」と別れ際に言われ、家に帰ってから罪悪感で泣く日々を過ごしていた私だった。

 そんな事も四ヶ月が過ぎ、母の脚の状態が良くなった。お金の都合もあるので早目に転居先を決めようとしていたのだが、なかなか見付からない。

 特養に行けば食事についてはある程度我が儘が通るので、早く移してあげたいなと思う今日この頃。

 続きます。


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