エッセイ『謎の人物の話』
『謎の人物の話』
防月某日。
母が働いているスーパーで煙草を買おうとしたところ、前に私の他に二人客がいました。先頭にいた老人男性が「〇〇××一つ」と商品名を言っていました。
店員さんは「番号でお願いします」と言っているにも関わらずその老人男性は「〇〇××だよ!いつも俺買ってるだろ!」と怒っていました。
店員さんは涙目になりながらも「番号でお願いします……!」と震える声で言いましたが「だから〇〇××だって言ってんだろ!」と老人男性も折れませんでした。
「あぁ、これは長引くな……」と思っていると、もう一人の客が「おい。早くしろよ」とキレ出しました。老人男性はニヤニヤしながら「おい、後ろも待ってんだよ。早くしろ」と調子に乗っていました。しかしそのもう一人の客は「テメェだよ!テメェ!番号で言えって言ってんだろ!」とキレ出しました。先の男性は「え?」みたいな顔をしていると「お前のせいで俺達が買えねぇんだよ!早くしろよこのクソジジィ!」と続けて言いました。
「何だテメェ!俺に文句あんのか!?悪いのはこの要領の悪い店員だろ!」と先の客は逆切れしましたが「どう考えてもお前が悪いだろ!店員さんが困ってるだけじゃなくて俺達も困ってんだよ!」と後ろの客もキレ返しました。
先の客は「何だよ!こんな所、二度と来るかよ!」と吐き捨てて去って行こうとしました。すると後ろの男性は「何だその態度!?出禁にするぞこの野郎!」とキレていました。母の職場という事もあって店長と副店長とマネージャーと社員の顔を知っていましたが、どれでもありませんでした。
その男性は店員さんに「怖かったね。たまにああいう客が来るもんね。頑張ってね。〇番お願いします」と買っていきました。
「何者だったんだろう……?」と思った日でした。




