第二十四話 魂喰い
……終わったか。
アナウンスによってバジリスクの死亡を確信した俺は、イリルに心話を送り【ダークネスト:Lv1】の闇を解除させる。
すぐに魔法の闇は霧散し、戻った視力で眼下を一望する。
そこにあったのは火達磨と化したバジリスクの骸と、岩の壁。
されとその岩壁の向こうで恐怖に震えるシャーマンの姿だった。
「はぁ~~~~……」
俺は安堵のあまり脱力し、大きくため息をついた。
……最後は賭けだった。
身を護るため精霊魔法を使う用意がシャーマンにあるだろうとは思っていた。
彼女もバジリスクの接近を警戒していただろうし。
また、進化により【魔族言語:Lv3】をタイミング良く覚えた事で、言葉で指示できたのも大きかった。
結果として俺の読みは当たり、シャーマンに被害なくバジリスクを屠る事に成功した。
バジリスクにとっても、最後の突撃は賭けだったろう。
俺の魔法が間に合わない、あるいは外れるのを期待した特攻。
結局は失敗したが、その思い切りと覚悟だけは、敵ながら見事だと言わざるを得ない。
コイツは本当に強かった。
俺一人だけだったら、負けていた。
シャーマンの助力とイリルの協力。
その二つがあってようやく勝つ事ができたのだ。
己の力不足と仲間のありがたみを痛感しながら、バジリスクの火葬を見つめていた時。
《ラーヴァバジリスク【名称未定】の魂魄を確認しました》
《魂魄界離限界まであと5秒です。固有スキル【ソウルイーター】を使用しますか?》
脳内に突然、意味不明なアナウンスが流れた。
え、ソウルイーター? それはさっき覚えたばかりの固有……
って、あと5秒!?
何がなんだかよく解らんがYESで!!
《ラーヴァバジリスク【名称未定】に固有スキル【ソウルイーター】を実行します……》
つい衝動的に許可を出してしまった次の瞬間。
バジリスクの骸から青い光の玉が遊離したかと思うと、俺の体へと吸い込まれていった。
ソウルイーターって事は、まさか今の光球は……魂?
《魂魄の吸収に成功しました。霊識情報の解析を開始します》
俺の理解が追いつかないうちにアナウンスがどんどん話を進めていく。
《スキルの転写限界数は3つです。対象の中から選択して下さい》
そしていきなり脳内にステータス情報に似た一覧が表示された。
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固有スキル:
派生スキル:
種族スキル:
技能スキル:
攻撃スキル:
【噛みつき:Lv5】【体当たり:Lv4】【薙ぎ払い(尾):Lv3】
【スパイラルバイト:Lv2】
防御スキル:
【機動回避:Lv3】
特殊スキル:
【凍魔眼:Lv3】【気殺隠行:Lv3】
魔法スキル:
耐性スキル:
【毒耐性:Lv7】【猛毒耐性:Lv2】【石化耐性:Lv4】
【物理耐性(打):Lv2】【物理耐性(斬):Lv1】【麻痺耐性:Lv1】
一般スキル:
【穴掘り:Lv1】【待ち伏せ:Lv4】【隠れ身:Lv3】
【壁走り:Lv3】
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え、えーと……これってつまり。
この一覧に表示されているスキルを最大三つまで取得できるって事か?
アナウンスの説明を聞いた限りではそうとしか思えないが……。
それとこの一覧。
起きた事象とアナウンスの内容から考えて、元となったのはバジリスクのステータス情報だろう。
見覚えのあるスキルが多すぎる。
また、スキルが幾つか消えてるが、それはたぶん取得不可能とかの理由で弾かれたのだろう。
というか、本当にこんなんでスキルが手に入るのか……?
半身半疑ながらも、とりあえず選ぶだけ選んでみる。
選択したのは【凍魔眼:Lv3】【猛毒耐性:Lv2】【石化耐性:Lv4】の三つ。
【凍魔眼:Lv3】は今回苦戦する原因となったスキルであり、その有用性は身をもって知っている。ぜひ欲しい。
【猛毒耐性:Lv2】【石化耐性:Lv4】も、今後の事を考えれば覚えておきたい耐性だ。
幼生体がいるって事は、バジリスクの上位種もいる可能性が高いからな。
《取得スキルの選択を確認しました。【凍魔眼:Lv3】【猛毒耐性:Lv2】【石化耐性:Lv4】でよろしいですか?》
ここまで来たら毒食わば皿まで、な心境で承諾する。
《スキル転写処理を開始します……成功しました》
《特殊スキル【凍魔眼:Lv3】を取得しました》
《耐性スキル【猛毒耐性:Lv2】を取得しました》
《耐性スキル【石化耐性:Lv4】を取得しました》
おおっ……本当にスキルが手に入ったっぽい。
固有スキル【ソウルイーター】……名称は物騒すぎだがとんだチートスキルだな。
《霊識の解析が完了しました。経験値2024を獲得しました》
《ワイズデモナー【名称未定】はLvアップしました。Lv18⇒Lv21》
んなっ、経験値まで!?
……ふと思ったが。
もしかしてこれ、噂に聞く《代償系スキル》って奴じゃ?
たぶん……いやほぼ確実にそうだろう。
固有スキルとはいえ、いくらなんでも超性能すぎる。
高揚していた気分が一気にどん底に落ちる。
軽率な判断でとんだ地雷を踏んでしまった。
強敵に勝利して、調子に乗った結果がコレか。
まあ自戒や反省は後にするとして。
果たして、どんなペナルティが発生するのか……。
戦々恐々としている俺に、アナウンスが更なる選択を突きつけてくる。
《魂魄の消化吸収が可能です。実行しますか?》
まだ続きがあるのかよ!
それに魂魄の消化吸収って……魂を喰うって事だろ?
てことは、これこそが【ソウルイーター】のメインであり真髄だと考えられる。
そんなものを実行したら代償リスクも倍率ドン、だな。
ついでに言うと、魔物の魂を食べるってのは……なんか自分の魂とか精神が汚染されそうで怖いし。
……あ、でも今の俺も魔物だったわ。
正確には悪魔だけど。
とにかくそういう訳で、魂喰いは止めとこう。
ヘタレと笑えば笑え。
《魂魄の消化吸収を中止します。本当によろしいですか?》
ああ、問題ない。
《魂魄の消化吸収を中止し、魂魄を解放しました》
アナウンスの直後、青白い光球が俺の体から抜け出て離れてゆく。
そして数秒ほど宙をふらふら彷徨い、スウッと薄れて消えた。
おそらく自由になった魂が死後の世界にでも行ったのだろう。
その光景を見て、俺は不思議と満足していた。
思えば今回戦ったバジリスクは、邪悪な魔物とはいえ尊敬できる相手だった。
近縁種を護ろうとしていたし、最後まで勇敢に戦ったしな。
そんな奴の魂まで滅ぼしてしまうのは正直、忍びない。
俺は消えていったバジリスクの魂の冥福を祈って黙祷する。
偽善だろうが、せめてあの世か来世で幸せになってくれ……。
《固有スキル【ソウルイーター】の全処理を完了しました》
《禁忌行為の代償として、カルマ値が39減少しました》
うわ、やはりペナルティが来たか。
でも想像していた最悪のケースよりは遥かに軽い。
カルマ値マイナスだけで済んだのは幸いと言える。
ちなみに俺が考えていた最悪レベルの代償は、寿命を削られる、記憶を失う、能力値が激減する、等だ。
なお代償系スキルでポピュラーな代償は、命を失う、大量HP/MP消費、Lvダウン、一定期間能力値ダウン等々。
どれも重いが、命以外は取り返しがつくのが救いだな。
とりあえず同じ過ちを繰り返さないよう、【ソウルイーター】含め未知のスキルを確認しておくか。
それとLvも一気に上がったから、ステータスも見ておこう。
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《種族》悪魔種・ワイズデモナー
《名称》-
《性別》♂
《年齢》0
《状態》良好
《能力》
Lv:21/29+3
HP:2010/2010
MP:4597/5950
筋力:274
耐久:201
敏捷:253
精神:326
魔力:595
カルマ:530
ランク:☆☆☆
固有スキル:
【聖闘気】【成長限界突破】【悪魔の品格:憤怒】
【ソウルイーター】
派生スキル:
【聖気治癒】【成長操作】
種族スキル:
【状態確認】【事象の声】【悪魔の目】
【魔翼飛行(遅)】【翼飛行(遅)】【悪魔の小角】
【自在魔爪】【四肢再生(小)】
技能スキル:
【格闘:Lv1】【短剣:Lv1】
攻撃スキル:
【全力ひっかき:Lv4】【尻尾鞭:Lv2】【ダイブアタック:Lv1】
防御スキル:
【機動回避:Lv1】【反射回避:Lv1】【魔力障壁:Lv1】
特殊スキル:
【金切り声:Lv3】【以心伝心:Lv2】【血の契約・眷属化:Lv1】
【気配察知:Lv2】【小悪魔の悪戯:Lv1】【気殺隠行:Lv1】
【凍魔眼:Lv3】
魔法スキル:
【サイネス:Lv1】【ミーズ:Lv1】【ディグダス:Lv1】
【メディテート:Lv2】【ヒンダーチェック:Lv2】
【イグニスフィア:Lv3】【マナボルト:Lv2】【プロテア:Lv1】
【ルノーマ:Lv1】【カースドペイン:Lv1】
耐性スキル:
【火耐性:Lv3】【聖耐性:Lv3】【魔耐性:Lv2】
【物理耐性(斬):Lv2】【物理耐性(突):Lv1】【痛覚耐性:Lv3】
【物理耐性(打):Lv2】【毒耐性:Lv1】【精神耐性:Lv1】
【魔乱耐性:Lv1】【猛毒耐性:Lv2】【石化耐性:Lv4】
一般スキル:
【尻尾触手:Lv2】【魔族言語:Lv3】【魔衣創造:Lv1】
【外見偽装:Lv1】
称号:
【慈悲の体現者】【小魔の主】【格上殺し】
【弱き者の守護者】
説明:悪魔種・デーモンの幼生体であるデモナーの特別種。
一般的なデモナーを大きく超える知性や魔力を備えている。
多くの魔法や魔法的スキルを使いこなすため、戦闘力はかなり高い。
悪魔種だが賢く理性的であり、道理や利益を示せば話が通じる場合も多い。
人種の子供に近い容姿・体格をしているため、人族が使い魔にしているケースもある。
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進化前に比べ、能力値の跳ね上がりぶりが凄いな……
とはいえ、勇者時代に較べればはまだまだ。
慢心せず、もっと強くならないと。
連続更新は今回で最後です。
ストックがほぼ切れた事と、時期的な理由によりしばらく更新はお休みさせていただきます。
申し訳ありません。
ここまで拙作を読んでくださりありがとうございます。
これからはのんびり更新になりますが、よろしければ今後も応援よろしくお願いします。




