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第三十九話 ディアパニック(1)

第三十九話です。よろしくお願いします。


サブタイトル区切りでは短い話です。多分2・3話分ぐらいでしょうか。


いいサブタイトルが思い浮かばなかったですね。まんま過ぎです。


病気を思いっきり間違えてましたカミラの病気は風邪です。(狭心症はクローシェ達の旦那の予定の方)本当に申し訳ありません。

 零がディアに連れられて行った後、フィオナとセアラはフィオナの部屋で普段通り過ごしていた。

「もうすぐお昼だねぇ~」

 お腹の空いてきたフィオナが何気なく(つぶや)く。

 零達が帰ってくると言っていた時間が近づいたため、セアラは若干心配になった。

「レイ達……遅いわね。ちゃんと帰ってくるの?」

「サラちゃん、心配し過ぎだよぉ~。ディアちゃんもちゃんと戻ってくるって言ってたでしょ~」

「お姉ちゃんは気楽ね……」

 のんきな姉の返事にセアラはため息を付いた。

 そんな妹を気にすること無くフィオナは催促をする。

「それよりお昼の準備しよぉ~? レイくん達が戻ってきたら食べれるようにぃ~」

「お姉ちゃんが早く食べたいだけでしょ?」

「えへへぇ~、バレちゃったぁ~」

「まったく……でも、確かにそろそろ準備しないといけないわね」

「やったぁ~」

 二人は昼食のために壊れたままの扉から部屋を出る。

 すると、階下から突然人の気配がした。

「間に合いましたか?」

「えーっと……そうだね。まだ昼前だよ」

 零達の声が聞こえてきてフィオナとセアラは急いで階段を降りていく。

 だが、零達と目が向き合った所で二人は突然揃って硬直する。

 そして暫くそれが続き、零達が不思議そうに首を傾げた所で――

「「ええぇぇぇぇえぇぇぇ~っ!!」」

 ――フィオナ達二人の絶叫が響き渡った。


――――――――――――――――


 その日の日没頃、クローシェとノーマはアビーを連れて自宅の門まで戻っていた。

「はい、到着っと」

「アビー、ここが私達の家ね」

「大きな家……本当に泊まっても?」

「ええ、いいわ。約束だしね」

 三人はそう言いながら門を開けて中に入っていった。

「それにしても……非番初日から泊まりに来るなんて随分熱心ね?」

「ひょっとしてアビーもレイを狙ってるとか?」

「今のところそうじゃない。可愛い妹。あと抱きまくら」

「オイオイ……抱きまくらって……」

「今までの中で最高」

「そ、そうなの……」

 まくら扱いされている零にクローシェとノーマは少し同情しつつ玄関の扉を開ける。

 すると、何故か床にひれ伏している自分たちの子供と、それを必死に(なだ)めている零とディアの姿があった。

 遅れてアビーにもその光景が目に入り、ディアについて「誰?」と漏らした。

「今朝突然レイを尋ねてきた子ね。それはともかく一体どんな状況なの?」

 クローシェの声が聞こえた零は玄関の方へ向きを変えた。

「あ、おかえり。アビーもこんばんは。それなんだけど、僕達が用事から帰ってきた後、顔を合わせたら突然気絶して。起きてからはずっとこんな感じで――ってあれ?」

 事情を説明していた零だったが、クローシェ達の様子がおかしい事に気が付き首を傾げる。

 その時、クローシェ達もフィオナ達と同様にその場にひれ伏してしまった。

「ちょっと!? 何でクローシェ達まで!?」

「そ、そうは参りません」

「何で敬語なの!? フィーやサラに理由を聞いても混乱してて要領を得ないし!」

「せ、聖人を前に敬語は当然かと……」

「聖人? 僕が? ……いやいや、無い無い、なんでそうなるの?」

「その……貴方様自身の目をご覧になられればお察しになられると存じ上げます」

 頭にクエスチョンマークを大量に浮かべながらも、零は言われたとおりにスマホを使って自分の顔をカメラに収めた。

 そこにはいつも通りの零の顔が写っている――筈だった。

 映っていたのはいつも通りの肩まで伸びた黒髪の少女のような顔。

 だが、一点だけ明らかに違っているのは、瞳の色がいつもの黒ではなく虹のように七色に輝いている事だった。

「な、なにこれ」

 確か『カミラ教』の教祖がこんな眼だと聞いたのを零は驚きながら思い出した。

 自分の変化に驚く零を見てディアが説明をする。

「あ、それはレイにつけたマーカーの影響ですね」

 それを聞いた零はディアに一つ確認をする。

「ねえ……このマーカーって以前にこの世界の人に使った事がある?」

「はい、8000年程前にこの星の数人を無作為に調べた時、一人病気の方が居まして。協力してくれたお礼に治療をした後、経過観察のために使いましたが」

「その人の名前は?」

「えっと、確か……カミラさんです」

 零はガックリと肩を落とした後、目いっぱいの声で叫ぶ。

「それだよ!! そのせいだよ!! ディアが神扱いされてるのも、今僕が聖人扱いされているのも含めて!!」

「ええっ!? でも、単に風邪を治しただけですよ!?」

 ディアは心底驚いた様子で零に問いかけた。

「それで十分なんだって! ここじゃ今でも医学が全く無いぐらいなんだから! しかもその上で体に変化があったとなると、神の奇跡とか考えても不思議じゃないって!」

「そんな……」

「ディア……ディエウスも言ってたけど、ホントにもうちょっとこの星について調べた方がいいって! 知らなさ過ぎてまた同じ様な事が起こるよ!?」

「うぅ……ごめんなさい……」

「とにかく今は、一緒にみんなの誤解を解こう」

「そ、そうですね。分かりました」

 二人は何とかその場の全員に話を聞いてもらうようにして誤解の元から全てを話していった。


――――――――――――――――


「――それであなたは『ディア』本人だけど、神ではないというのね?」

 説明が粗方終わり、クローシェがディアに再確認をした。

「はい。自らを神と僭するのは規則違反ですし、お願いですから普通に接して下さい。あと、レイの保護者の皆さんなので説明しましたが、他には誰にも言わないで下さいね?」

「言った所で誰も信じないわ。異端扱いされるだけね」

 零とディア以外はクローシェの言葉に同調して頷いた。

「それにしても……なんとも言えない話」

「まさか自分達の信じてる宗教を、それの神とされてる本人に否定されるなんてなぁ……」

「ショックが大きすぎるわよ……」

「一体なにを信じればいいのぉ~?」

「これからどうしましょうね」

 信じてたものが崩れ去った五人はそれぞれ呟いて悩んでしまった。

 そこに零が声をかける。

「べつに今まで通りでいいと思うよ?」

「「「「「えっ?」」」」」

「あくまでも僕のいた所の話だけどね。世界の成り立ちが宗教で言われていた物と実際に調べた物で違うということがハッキリと判っても、それでも宗教を信仰してる人はそれをやめてないんだよ。だから別にディアが神じゃないと言っても信仰をやめることは無いと思うよ?」

 しかし、それでも難色を示す五人に零は言葉を付け加える。

「それに……神の『ディア』がここに居るディアだと言ってるわけじゃないしね。あくまでここにいるディアが神じゃないって言っただけなんだから」

「……ぷっ。なにその理屈」

 セアラが軽く吹き出しながら答える。

 そして、それに続いてどんどん言葉が返ってくる。

「そうだよぉ~レイくん、フィーでも強引過ぎると思うよぉ~?」

「まあ、強引なのは確かだが……今はそれで騙されることにするさ」

「心配かけてごめんね」

「ありがとう、レイ」

 みんなが立ち直ったのを確認して、零はひと安心した。

「良かった。じゃあ、そろそろ夕食にしない? 実は昼食を食べ損なってお腹ペコペコなんだ」

「あら、そうなのね? じゃあ、急いで作るわね」

 クローシェが夕食の準備に取り掛かろうとした時、ディアが声をかける。

「あの……今夜ここで泊めてもらうことは出来ますか?」

「まあ、いいわよ。……でも、部屋はどうしましょうね」

「あ、あの、できればレイの部屋で……」

「あら、あなたも? レイも結構モテるわね」

 顔を赤らめるディアを見てクローシェはひやかした。

 そして、その言葉でディアはますます顔を赤らめるのだった。


――――――――――――――――


 夕食が終わり、今日もクローシェ達にスマホのゲームを遊ばせることになった。

 中でも初めて見る事になったアビーは特に興奮した様子で楽しんでいた。

 ちなみに、これを見てディアが何かを言うかと思われたが特に気にする様子はなかった。

 理由を聞いた所、極々たまに何らかの原因で世界を渡る人がいて、その場合は特に関与しないとのこと。零も特殊ではあるがこれに当てはまる様だった。

 そして、今回もまた零が強制的にゲームを中断させ、お風呂の用意をすることになった。

 だが、その際に問題が発生する。

「合わせて七人……一緒に入るには浴槽が狭すぎるわね」

 元が四人で使っているものであるので、倍近くの人数で入れるわけがなかった。

 それを聞いたディアが大声を上げる。

「一緒に入るんですか!? レ、レイも一緒に!?」

「そうだよぉ~」

「それがどうしたって言うのよ?」

 フィオナとセアラが返事を返し、他の面々も不思議そうにディアを見つめる。

 そんな中、零はディアに再び説明をする。

「ほら、今朝も説明したでしょ、こっちじゃこういった事を気にしないって」

「そ、そうですけど……ここまで気にしないんですか?」

「そうなんだよ……困ったことに……」

「そ、そうなんですか……」

 単に零と添い寝ができればいいと思っていたディアは、顔を真っ赤にしながら(うつむ)いた。

「あ、あの……レイはもう皆さんと一緒に入った事があるんですよね?」

「う、うん」

「もう裸を見たり見られたりしてるんですよね?」

「そ、そうだね」

 ディアは少しの間思い悩んだと思うと、そのまま突然姿を消してしまう。

「わ、私も……一緒に入ります……」

 そして、その後すぐにその手に服とタオルを持って現れ、消え入りそうな声でそう宣言した。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


気付いているかもしれませんがディアはドジな面があります。

今後も色々やらかしてくれるでしょう。


宗教。自分は信じる方ではないのですが……。

もし、心から信じているものが違うと判明した時どう思うんでしょうね?

作中は完全に想像に任せて書いています。


ディアは恥じらいと言う点で、この作中では貴重な存在です。

設定上、零の今いる世界では男女ともにそういう点に無頓着なので今後もまず増えることはありません。


次回は肌色回ですね。

気合入れて表現します!

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