本当の私
感情の魔法を使うダリアは、不気味さを感じるルメから、一歩後ろに退いた。
ルメからは、いつものルメではない笑顔をしていた。
いつものルメは、冗談を言う感じを受けるルメだが、今のルメは、まるで作り笑いのような顔をしていた。
そんなルメが喋った。
「ダリア、あなたの魔法、すごいね!私、感心しちゃった。感情を奪うなんてね。」
ダリアは、一瞬何を言っているんだと思っていた。
ダリアは、今のルメを警戒しながら、慎重に話した。
「そうだ。確かにお前の感情は奪ったはずだ。だから、お前は廃人になってなきゃおかしい!それなのに、何故、廃人ならない?いや、それ以前に笑えないはずだ!」
ルメは、作り笑いを崩さない。
ルメは、一歩ずつダリアに近づいていた。
「ダリア、最初から勘違いしているよ。」
「勘違い?何を言っている?」
「私はね、演技ができるの。最初の私はすべて演技。本物に見えていた?」
ダリアは、その言葉を聞いて、なおさら恐怖を感じていた。
(ありえない!あれがすべて演技だと言うのか?いくら、模倣が使えるからといって、長い時間演技ができるはずなど…………)
「ダリア、あなたには本物に見えていて、よかった!お礼にこの魔法を見せてあげる。」
ルメがたかたがと、手を挙げると、空中に無数の眩い光が現れた。
無数の小さい月がルメの真上に現れた。
ダリアは、すぐに、デスソシエの幹部セレナの月魔法だと、分かった。
ダリアは、ニヤッと笑った。
「フッ。その魔法は見ているし、知っている。そして、その弱点もね。」
「試してみる?私の魔法がどんなものかをね。」
無数の小さい月がダリアにめがけて、放たれた。
しかし、ダリアには当たらなかった。
この魔法は、動きが直線的だからだ。
だから、セレナは、数で弱点を補った。
ダリアは、だんだん余裕が出てきた。
ルメの魔法を避けながら、ルメに近づいた。
「ははは!その魔法は、さんざん見たからな。直線的な動きしかできないから、避けるのも簡単だ。いわば、レーザーみたいなものだ。人は何かに向けられたら、反射的に避ける。そして、おまえの魔法はセレナの魔法と違い、圧倒的に数が少ない。」
確かに、セレナの魔法は数百に対し、ルメの魔法は10くらいだった。
ダリアは、完全に勝ちを確信した。
「終わりだ!エモーションブレイク!」
ダリアの右手から魔法を繰り出そうとした瞬間、足を何かで撃ち抜かれた。
ダリアは足を撃たれた影響で、バランスを崩してその場に倒れ込んだ。
足に激痛が走った。
「ぐわああああ!一体何が?」
ダリアの足を見て見ると、眩い光の小さい月が刺さっていた。
訳が分からなかった。
避けたはず、それにはるか後ろに消えてったはずだ。
「なぜ?私はちゃんと避けたはずだ!何故、この魔法が当たっている?」
ルメは、ダリアに近づいて、しゃがみ込んで話した。
「私ってね、人の魔法をアレンジできるの!今のは、軌道を変えて、後ろからあなたを襲ったの!」
ダリアは、ルメの話しを聞いて、さらに恐怖した。
(アレンジだと!そんな…………。私は、久しぶりに恐怖を感じている。この女、異常だ。これがはぐれ魔女だっていうのか!)
「ねぇ、私の目的のひとつは魔女を救うことなの。あなた達みたいな……ね。だから、あなた達も救って見せるよ!」
ルメは、ダリアに向けて、手を差し向けた。
ダリアは、その手をとることはなかった。
いや、取れなかった。
(その手を取れるものか。知っている、さんざん利用して捨てるんだ。あいつらみたいに……。)
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ダリアは、ある国の令嬢だった。ダリアだけじゃない。
アウレリア様、ガーネット、リーベル、ユミナ、もだ。
私達の国は、圧倒的な美とカリスマを持つ女王様がいて、その下に女王様を慕う魔女がいる。
そして、国民の私たちだ。
私達は、貴族の令嬢で、親の決めた道を進む生き方がほとんどだ。
そんな時、アウレリア様だけが違った。
彼女は、世界の国について詳しく、よく女王様に進言をした。
女王様もアウレリア様も信頼していた。
そんなアウレリア様は、令嬢だけの集まりを作り、よく話していた。
「私達は、自分のしたいように生きられるの。世界は広いから。」
誰もがアウレリア様を信じていた。
それを快く思わないもの達がいた。
女王様配下の魔女達だ。
あいつらのやり方は酷かった。
私は、そんなことも知らずに手を取ってしまった。
「君達が噂の令嬢だね?応援してるよ。」
「ええ……。ありがとうございます。」
あいつらは、女王様のことを崇拝しており、だから、進言してくるアウレリア様を邪魔に思った。
令嬢を脅していた。圧倒的な魔法で。多くの令嬢は、アウレリア様から離れていった。
私は何も知らず、アウレリア様と一緒にいた。
「アウレリアさん、最近、集まりが悪いですね。」
「そうね、心配いらないわ。」
そこに魔女達が駆け込んできた。
魔女達から驚きの言葉を聞いた。
「女王様の命により、貴様達がクーデターを企んでいると気づき、国外に追放する。」
その場にいた、アウレリア、ユミナ、リーベル、ガーネットは頭から真っ白になった。
当然、私もだ。
アウレリア様は叫んだ。
「ちょっと待ってください!私達は、決してそんな気はありません。」
魔女達の後ろから、長身の高い魔女が出てきた。
この国なら、誰もが知っている魔女だ。
この国で一番強いからだ。
「あなた達は、やりすぎたのよ。アウレリア、夢を語るのは結構。ただ、力ないものは淘汰される運命なの。女王様に感謝するのね、大変慈悲深いお方だから、国外追放だけで済んだのだから。」
魔女達は邪悪な笑みを浮かべていた。
私は気づいてしまった。
あの時、近づいてきたのは、私達を嵌めるため?
アウレリア様は、すべてを悟ったみたいな顔をした。
「そう。みんな行くわよ。」
ダリアはこの時、感じたのだった。
(私は、決して信用しない!信用しなければ、こんな事にならなかったんだ)
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ダリアは、ルメの手を払った。
「私は信用しない!決して、魔女の言葉など。」
「そう、でもあなたは、救いを求めている。だって、顔が泣きそうになっているよ。」
ダリアは泣きそうになっていた。
ルメの言葉を少しずつ信用してみてもいい、気持ちになっていた。
「……信じていいのか?裏切らない?」
「もちろん、だって、私の夢だから。魔女には幸せになって欲しいの。」
ルメはいつもの冗談を言うような感じに戻っていた。
ルメとダリアは、手を取り合っていた。
ダリアは、はじめてルメ達を南の山ノースリエで見た時から、感じていた。
(ルメ、わかっていたんだ。あなた達をはじめて見た時、私達に似てることを。そして、決して折れない心を持っていることを。…………救って欲しいんだ、アウレリア様を)




