ぼくとトイレのぺろりんさん02
バタバタバタ!
「どうした! たれる!」
「何があったの!」
「お兄ちゃん!」
ぼくのさけび声を聞いて、お父さんとお母さん、それにいもうとのしずくまでバタバタとやってきた。
「ト、トイレに顔が! べろんがー!」
「どろぼうか! トイレのどこだ!」
「便器、便器の中に! 顔が!」
「便器の中に顔? 変質者か! たれる、あぶない! どいていろ!」
ぼくが指さした便器の中をお父さんがどなり声をあげてのぞきこんだ。
「だれだ! 便器の中にかくれているへんたいヤローは! 出てこい! へんたいヤロー! 出てきやがれ! ……ん~、だれもいないぞ?」
「え?」
お父さんのうしろから便器の中を見てみたが、そこには何もいなかった。
ただ、ぼくのうんちがプカプカとういているだけだった。
「あれ? おかしいな。たしかに顔があったんだけどな」
「人さわがせだな。ねぼけていたんじゃないのか?」
「ふう、何もなくてよかったわ。パパ、あしたも早いんだからへやにもどりましょ。たれるたちもへやにもどって、早くねなさいね」
「たれる、うんちをわすれずに流しておけよ。ふわ~」
お父さんとお母さんはねむそうにしながら、さっさと寝室にもどっていった。
こわいこわいと思っていたから、まぼろしでも見たのかな? いや、たしかにいたんだ。トイレの便器にはまった顔。
そいつは、まっ黒な顔で目をぎょろぎょろさせて、ぺろぺろと長い舌を出していた。あれはぜったいにべろんだ。
そういえば、ぼくはそいつにおしりをぺろ~んとなめられたんだっけ。
ああ、ぼくのおしりはぶじかな? べとべとになってたり、まっ赤にはれたりしないかな。
お風呂場のかがみでたしかめようかな。でも、お風呂場にもあらわれたらどうしよう……。
「お兄ちゃん、それはべろんじゃなくて、ぺろりんさんだよ」
「ひーっ!」
のこっていたしずくが、ぼくの耳もとでいった。
「びっくりさせんなよ。……って、しずくあいつのことを知ってるの?」
「うん、知ってるよ。だって、お友だちだもん」
「え? お、お友だち?」
つづく




