ぼくとトイレのぺろりんさん17
「しずくちゃん、デーブのことを知ってるの?」
「うん、お友だちだよ」
「え、えーっ!?」
しずくの学年は大さわぎになり、しずくとデーブが友だちだということは、あっというまに学校じゅうに広まった。
とうぜん、兄であるぼくにも話がふられた。
「おい、たれる。おまえんとこのいもうと、デーブと知りあいなのか?」
「……うん、そうみたいな感じ」
「みたいな感じってなんだよ。知りあいなのか、じゃないのか、どっちなんだよ」
「しずくは、おれの友だちだ。な、たれる。ふん!」
とつぜん、デーブが話にわりこんできた。
しかもいつのまにか、ぼくのことを「たれる」ってよんでいる。
「わーっ、デーブ! いや、出井くん!」
ぼくと話をしていたヤツが、びっくりしてよこに飛びのいた。
「デーブでいいよ。ふん!」
今日のデーブは積極的だ。
みんなに「おれ、デーブ。ふん!」っていってまわっている。
みんな、デーブに急に話しかけられてとまどっているけど、いやじゃないみたいだ。
話をしてみると、自分たちが思っていたようなこわいヤツじゃないことがわかってきたからだと思う。
そのうちみんな、本人を前に「デーブ」ってよびはじめるんじゃないかな。
それにしても休み時間ごとに「たれる。たれる」って、ぼくにまとわりつきすぎだ。
もう、みんなのあいだではぼくとデーブは友だちっていうことになっているみたいだ。はあ……。
「たれる。いっしょに帰ろうぜ。ふん!」
思ったとおり、デーブが帰りをさそってきた。
こうなったら、もうどうでもいいや。なりゆきまかせだ。
きのうからいろいろとデーブと話してみたら、こわいヤツじゃないってわかったし。
「うん、いいよ」
ぼくはデーブといっしょに帰ることにした。
デーブとはぺろりんさんがいる公園まではいっしょで、そこから先はべつべつの帰り道になる。
「じゃあな、たれる。ふん!」
「じゃあね」
「ふっふ、ふっふ、ふっふんふーん!」
デーブは、はないきまじりのはな歌を歌いながら、すっきりとした顔で帰っていった。
ぺろりんさんがいる公園までデーブがひとりでしゃべりつづけ、ぼくは「うん、うん」とあいづちを打つだけだった。
長いあいだクラスでしゃべっていなかったからか、だれかと話をするのが楽しくってしようがないみたいだ。
こうして、なんとなくぺろりんさんと友だちになったぼくは、ついでにデーブとも友だちのような関係になり、しばらくのあいだ学校からの帰り道でデーブの話を聞きつづけなければならなくなったのだった。
ぼくとトイレのぺろりんさん おわり




