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オシリアスの海 その2


海中から放たれた雷撃をユーシィは瞬時に出現させた魔法の防壁で防いだ。


「あ、ごめん防いじゃった でも、すぐに他が攻撃してくる筈だよ」


ユーシィが言うと、その直後にまた海中から雷撃が2人に向かって放たれた。


放たれた雷撃はユーシィの隣にいる少女に直撃した。


雷撃が直撃したアヤノはガクガクと痙攣した。


「どう?オシリアスの怪魚エクトヴァの雷撃の味は?」


「・・・・・・ちょっとピリッと来たけどイマイチですね」


少女は残念げにユーシィへ伝えた。


「まだ一撃だけだしねー、ほいっ」


ユーシィはローブから出した杖を振り、オシリアス海に青い光線を直射させた。


杖の先から放たれた青い光線が海中に消えると、水面に複数の稲妻が走り、次に複数の雷撃が2人に向かって放たれた。


複数の雷撃は次々と少女に命中した。


「どう?」


「うーーん、イマイチですね」


「黒焦げだけどね」


「他の攻撃はして来ないんですか?」


「攻撃というか、海に入ったら襲われるよ。エクトヴァも他の魚も皆人間が好物だから」


「私、入ります」


「君、泳げるの?この海結構深いけど」


「溺れても死なないですよ。 私不死身なので」


「アハッ!そりゃそっか! あ、そうだ」


ユーシィは人差し指の先で空に3回『円』を描いた。


「ほいっ」


そして、上に立てていた人差し指を下方向に向けると、指向先の地面の上にキラキラと光輝く反応が生まれたかと思えば突然光の中に『桶』が出現した。


「はい、これ」


ユーシィは魔法で出現させた桶をアヤノに差し出した。


「これは?」


「これに海水くんで。 生塩作るから」


「ああ!そう言えばここに来た目的それでしたね」


「え〜?忘れてたの〜?」


「どんな殺され方するのか楽しみで目的を忘れてました」


「まぁ……キミにとってのここに来た目的は"それ"だもんね」



アヤノは桶を取手で持ちながら怪魚が泳ぐ海へ浜から入水した。


「すみませーん!」


「なにー?」


「この桶みたいに、魔法でナイフ作ってくれませんかー?」


「短剣ならあるよー?」


「じゃあ、その短剣くださーい」


「はいよー」


ユーシィは自身が着ているローブの内側に手を入れ一本の短剣を取り出した。


「いくよー」


「えっ?ちょっと……」


「はいっ」


ユーシィはアヤノの返答を待たずして短剣を投げ渡した。


「わわっ……」


アヤノは慌てて投げ渡された短剣をキャッチした。


「ナイスキャッチ〜!」


「危なっ、普通に渡して下さいよー!」


「キャッチ出来たからいいじゃーん!」


「海に落としても責任取れませんからねー?」


アヤノは大魔女から投げられた短剣の鞘を外すと、顕になった刃で自身の片腕を深く切り付けた。


切断された動脈から多量に出血し水面にボチャボチャと真っ赤な液体が落ちる。


ドバドバと腕から血を流しながらもアヤノは刃を鞘に納めてから浜にいるユーシィに投げ返した。


ユーシィは投げ返された短剣を片手でキャッチした。


「アヤノも投げてんじゃーん」


「お返しですよー」


アヤノはそうユーシィに伝えると

腕から血を流しながら桶を海水に入れて海水をくみあげた。


その瞬間、複数の怪魚が水面から飛び跳ね、アヤノに噛みついた。



怪魚の中にはさっきのエクトヴァもいれば、別種の魚も混ざっている。


アヤノの血を嗅ぎ付けたオシリアス海の魔物達が我先に獲物を捕食しようとアヤノを一斉に襲う。


エクトヴァ達は雷撃を放ち。


鋭い歯を持つ複数の怪魚がアヤノの手足を噛みちぎり。


巨大な怪魚二匹がアヤノの胴部から下半身を噛みちぎった。


「わーお、やっぱりオシリアスの『メガザロン』の顎力ばないわ最高防御耐久のローブが意図も簡単に噛みちぎられちゃってまぁ……」


ほんの数秒にしてアヤノの肉体は見るも無惨に怪魚達に食い荒らされた。


だが、アヤノは不死身の『存在』


どんなに表面上では殺されても、真に死を迎える事は無い。


水面に広がった大量の血溜まりがブクブクと沸騰するように躍動し、水面上に浮き上がり、人型へ変形し、個体になると新しいアヤノの肉体が生まれた。


そして、アヤノを食い荒らした怪魚達が何故か次々に死に絶えた。


「あれ?私何もしてないのに……な、なんで?」


「へぇ……そうなるんだ………」


ユーシィは自身も初めて目にした光景に自然と口の端が吊り上がった。

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