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奴隷市場から始まる異世界冒険譚―第一部王都編  作者: たーけし
闘技大会へ 前編

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作戦会議と方針伝達

王宮から退出したターケシたちは、オルフェンの工房で作戦を練る。

「赤牙ほどの組織なら、待ち伏せも尾行もやるだろう。」

「だから行動を読まれない。」

「今日は職人街。」

「明日はギルド。」

「次は王宮。」

「泊まる場所も、訓練時間も、移動経路も固定しない。」

「行動に規則性を与えないことが、一番の護衛になる。」

フィリアが感心する。

「……軍隊の行軍みたいですね。」

「待ち伏せされるくらいなら、面倒でも毎日変える。」

シフォンが感想を述べる。

「ご主人様って、そこまで考えてたんですね……。」

ロザリアも続く。

「だから今まで、奇襲をしても、不意打ちほぼ受けなかったのですね。」

「前のオーガ戦は遠くに釣られてる間に下から来られたがな。」

ターケシの背中にくくりつけられた子オーガのフウがぐう?と鳴く。

「フウ、すっかりご主人様の背中が気に入りましたねぇ。」

シフォンがふにふにとフウのほっぺをつつく。

「確かに、子オーガにとって世界で一番安全な場所かもしれませんわ。」

ロザリアが笑う。

ターケシはコホン、と咳払いをした。

「話を続けるぞ。」

「宿泊地は話したとおりだ。」

「昼間は王宮の訓練場を借りる。」

「そこで相撲、柔道、空手、日本拳法を教える。」

「…す、すもー…じゅーど?」

「武器を使わない体術全般と思ってくれ。体術を覚えれば、剣を落としても戦える。」

「武器を持った相手との距離の詰め方も身につく。」

三人が真剣な表情で頷く。

ターケシは続けた。

「だが、訓練だけでは足りない。」

「実戦は、訓練場では学べない。」

「恐怖。」

「歓声。」

「初対面の相手。」

「試合の空気。」

「そのすべてを経験しておく必要がある。」

一拍置く。

「2週間後、地下格闘技大会に出てもらう。もちろん王宮の公認などない、民間の大会だ。」

「「「はい???」」」

三人の…フィリアすら…声が重なった。

「地、地下……?」

「怖そうです…」

とは、シフォン。

「王宮の大会の前に、地下闘技場ですの……?」

とロザリアも少し緊張した様子。

一方でフィリアだけは冷静に、

「……王宮の公認大会の前の予行演習ですね。」

「歓声や視線にも慣れさせる。」

と先に意図を見抜く。

ターケシは三人の反応に、満足そうに頷いた。

「その反応でいい。」

「今日の夜、まずは下見に行く。」

シフォンがおそるおそる手を挙げる。

「あ、あの……地下闘技場って、本当に地下にあるんですか?」

「ある。」

ターケシはあっさり答えた。

「安心しろ。」

「普段は何でもありの無法地帯だが、おれたちが出る大会は違う。」

「武器は禁止。」

「攻性魔法も防性魔法も禁止。」

「素手だけで戦う大会だ。」

ロザリアが勢いよく立ち上がる。

「それは、本気でおっしゃっていますの?」

「本気だぞ。」

「くっ……ご主人様は、とうとう本性を現しましたのね……!」

「地下闘技場でクリーンなんて信じられませんわ!」

ターケシは呆れたように肩をすくめた。

「現してない。」

「審判もいる。」

「反則すれば失格だ。」

「観客は賭けるが、試合自体は案外まともだ。」

フィリアが腕を組む。

「……地下にあるのに、競技として成立しているのですね。」

「そういうことだ。」

ターケシは頷く。

「百聞は一見に如かず。」

「今夜、実際に見に行く。」

三人は顔を見合わせる。

不安。

好奇心。

そして少しだけ期待。

それぞれ違う表情だった。

ターケシは手を叩いた。

「さあ、夜までに拠点を整えるぞ。」

「宿泊場所も、荷物も、今日から全部切り替える。」

「赤牙にこちらの居場所を読ませるな。」

全員を見回していった。

「 赤牙との戦いは、もう始まっている。」

「「「はい!」」」

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